1中野区の出生率と育児支援政策について 2公園政策について 3道路行政について 4その他

一般質問

1 中野区の出生率と育児支援政策について

2 公園行政について

3 道路行政について

4 その他

○議長(高橋かずちか)
次に、吉田 康一郎議員。
〔吉田 康一郎議員登壇〕
○12番(吉田 康一郎)
育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会の吉田 康一郎です。新人議員2名で新たに結成しました会派でありまして、この会派の名前になっております三つの課題に取り組むとともに、中野区民が安全・安心で、そして将来に期待と活力と誇りを持って暮らせる、そのような区になるよう、精力的に、誠実に取り組んでまいる所存でございます。

まず初めに、中野区の出生率と育児支援政策について、主に財政的な側面から伺います。

我が国は、2008年の1億2,808万人をピークに人口減少が始まっています。この状況に対し政府は、「現在の少子化の状況は、個人・地域・企業・国家に至るまで多大な影響を及ぼし、社会経済の根幹を揺るがす危機的状況にある」とした上で、「スウェーデンやフランスでは、子育て支援の充実や仕事との両立支援策など、長期にわたる少子化対策により、一旦は低下した出生率が2.0程度までの回復に成功した。少子化危機は、決して解決不可能な課題ではなく、克服できる課題である」との認識のもと、「少子化社会対策基本法」と同法に基づく、「少子化社会対策大綱」を定め、施策に取り組んでいます。

さらに、2016年、政府は「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定し、その中で、人口1億人を維持するため、2025年に出生率1.8の実現を目指すとの目標を掲げ、本年10月1日からの幼児教育・保育の無償化も打ち出しました。基本的にこれを歓迎するものであります。

この「少子化社会対策基本法」では、第4条で、「地方公共団体の責務」として、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、少子化に対処するための施策に関し、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と定めています。そこで、中野区の少子化対策・子育て支援政策についての認識と姿勢を伺います。

まず、中野区の合計特殊出生率の現状と推移について、国や東京都との比較、またフランス、イギリス、スウェーデンといった先進諸国との比較においてどのような状況にあるのか、また傾向が見られるのか、区の認識を伺います。

ここで、この今挙げた三つの国々では、OECDの統計などによれば、子ども家庭分野について、対GDP比において3%から4%の予算を支出している。これに対し、日本は1.3から1.4%と、3分の1から4分の1しか予算を計上していないということを付言して伺います。

次に、区長は、区政運営の柱として「中野区を子育て先進区へ」と、こういう目標を掲げておられます。子育て先進区の実現に取り組むとおっしゃるのであれば、「先進区」ということが実現をした姿というのは、出生率において、当然国の目標である1.8を超えて、人口置換水準である2.07が実現した姿なのだろうと私は考えますが、見解を伺います。

次に、子どものためにかける財政の規模も大変重要な指標となります。子ども1人当たりの予算、経費は、我が中野区は23区の中でどのくらいに位置しているのか。子育て先進区の実現に取り組むのであれば、予算措置についても、少なくとも23区の中でトップレベルでなければ成し遂げることはできないと考えますが、見解を伺います。

そしてこの項の最後に、一部の対象ではなく、全ての子どもを対象として、中野区の育児環境全体の底上げを図るため、フランス、イギリス、スウェーデンなどが手厚く行い、他の区市町村でもさまざまな事例のある区独自の子ども手当の支給は意義がある政策だと考えますが、御見解を伺います。

次に、中野区の公園行政について伺います。

都市環境を健康で良好なものとし、災害に対する安全性を向上させ、住民の活躍の場、憩いの場を形成し、豊かな地域づくり、地域の活性化の拠点として不可欠である公園の意義については、改めて論じる必要はないと思います。

しかし、この都市の機能に不可欠なインフラである公園の整備状況に関して、中野区の状況は、長年にわたり劣悪の一言しかないと言わざるを得ません。区からいただいた資料ですけれども、人口1人当たりの公園面積は、中野区については1.38平米、1人当たりです。23区中22位。そして23区の平均は4.27平米で、中野の3.09倍、東京都全体の平均は7.4平米で、中野の5.36倍。諸外国を見ると、アメリカニューヨークは18.6平米で、中野の13.48倍、ロンドンは26.9平米で19.49倍、ベルリンは27.9平米で20.22倍、ワシントンDCは52.3平米で37.9倍、ストックホルム(スウェーデン)80平米で、中野の57.97倍の面積が1人当たりあります。中野区民が支払っている税金は、今挙げた他の先進国と比べても、都内の他の市区町村と比べても同等と見なせると考えますが、公園行政に関しては、負担に見合う行政サービスを提供しているとは到底考えられないと言わざるを得ません。

そして次に、区内172カ所の公園の規模別、面積別の分布を見ると、500平米未満の公園が61カ所で、36.9%、このうち、さらにその半分、250平米に満たない小規模な公園が17カ所、500から1,000平米は47カ所で28.5%、つまり、1,000平米以下の公園は108カ所で、65.4%を占めます。ここで、国が定める最少の単位である街区公園の標準面積は0.25ヘクタール、2,500平米であります。これを満たす中野区の公園は30しかありません。

震災等により大規模火災が発生した場合、輻射熱の影響は100メートルを見るので、小規模の公園は有効避難面積を確保することができません。したがって、同じ面積であるならば、小さな公園が数多くあるよりも、数は減っても、ある程度の広さの公園であることが災害時に機能する、こういうことも踏まえる必要がございます。そこで、現状の中野区の公園の整備状況、そして課題についてどのように認識をしているか、見解を伺います。

次に、公園は区民の生活環境を支える都市インフラとして重要であることから、最低限、23区平均のレベルまで、そして先進諸外国の実情を踏まえれば、それ以上に整備を進めるべきと考えますが、今後の公園整備に関する区の見解を伺います。

そして、これまで申し述べたとおり、中野区の公園は、他の先進国はもとより、都内の他の自治体と比較しても少ない上に小規模であります。しかし、区の限られた財源の中では、区単独で整備していくことには大変限界があります。ここで私が指摘したいのは、中野区は、東京都内の自治体の中で唯一、都立公園などの都立の緑地が設置されていないという事実であります。東京都の潤沢な公園予算が、中野区にだけ使われていないということであります。今後、都と一層連携した用地の取得、都有地の利活用のみならず、さらに、新たな都市計画公園の立案と整備等も検討していくべきと考えますが、区の見解を伺います。

次に、中野区の道路行政について伺います。

道路もまた都市の根幹的なインフラであり、その整備状況が、その都市の機能と価値を形づくるといっても過言ではありません。しかし、中野区は道路が狭く、幅員4メートル以上の道路に接していないという住居が約43.3%をも占めており、全国最下位の水準であります。23区の平均が28%であることを考えても、中野区の状況は深刻であります。この状況を区はどのように認識し、また改善をしていくのか伺ってまいりたいと思います。

まず、区民の意見や要望をお聞きしていますと、狭隘道路の拡幅整備部分、あるいはセットバック部分を区が買い取ることが、狭隘道路解消の促進に有効であるとよく感じます。この点について区の見解を伺います。

次に、道路率で見ても、23区平均の16.5%に対し、中野区は13.8%であり、これもまた全国最低の水準であります。この全国最低の道路率の状況について、区はどのように認識しているのか伺います。そして、狭隘道路の整備について、積極的に道路幅を広げる努力をしているのか伺います。

そして次に、我が国の高齢化に伴い、高齢者や障害者等を含めた誰もが安全・安心、快適に利用できる道路を整備していくことは、国全体の課題となっています。そこで、道路のバリアフリー化、歩道の段差解消について、現状をどのように認識しているのか、また、今後どのように進めていくのか伺います。

そして最後に、私は、私の地元の商店会長も務めていることから、切実な要望として区にお願いをしてまいったんですけれども、一昨年来、私がおります新井薬師柳通り、ここの早稲田通りとの交差点に中野五丁目停留所というバス停がございます。ここには何も停留所にベンチなどがないものですから、ここでバス待ちをする高齢者の方々は、ずっと吹きさらしの中で立ってお待ちになっています。しかし、このすぐ近くの早稲田通り、ここには各町会などが設置をしたベンチがある。この状況を調べますと、早稲田通りは都道でありますので、東京都は、例えば商店街、あるいは町会がベンチを停留所に設置した場合には、これを私的占有、しかし使用料を免除するということを都はやっております。しかし中野区は、月6,000円の使用料を取る。私も商店街の一員として、商店街の会計をよくわかっておりますので、毎月6,000円、年間で7万2,000円になりますが、これを恒常的に支出していくのは大変難しいというか、ほぼ不可能でありますので、高齢者の方の役に立ちたいと思いつつも、ベンチの設置を躊躇しております。こういう状況にありましたことから、区にお願いをしてまいりました。東京都は免除していますよと。前の田中区長のときに、当局、現局のほうはですね、これは都に倣って頑張っていきたいとおっしゃっていたのですけれども、区長選の後、動きがとまっております。ぜひ新区長におかれても、この区道の歩道上にあるバス停、ここにベンチを設置したいと、このような地域の要望がある場合に、都に倣ってこの使用料を免除することをぜひ検討していただきたい、このようにお願いを申し上げます。これは区商連からの要望をさせていただきました。

以上で質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人)
私からは、吉田 議員の質問のうち、公園行政についてお答えをいたします。

まず最初に、現状と今後の公園整備についてでございます。区内に167の公園が現在ございますが、小規模な公園が多数を占めているというのが現状です。公園条例では、1人当たりの標準公園面積を5平方メートルとしておりますが、現時点では児童遊園も含めた1人当たりの公園面積は1.38平方メートルでございます。区民1人当たりの公園面積は23区中22位でございまして、23区の平均4.27平方メートルにも遠く及ばない状況については、可能な限り改善していかなければならないと認識しております。

大規模公園等の整備については、全区的な配置や地域特性に応じて適正な配置に努めてきたところでございまして、今度も適地等の条件が整えば、さらなる整備を進めてまいりたいと考えております。

次に、東京都と連携した整備等についてでございます。区の財政負担の軽減を目指していきたいところでございますので、都との連携等や整備手法について研究してまいります。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕
○子ども家庭支援担当部長(小田史子)
私からは、中野区の出生率と育児支援政策についての御質問にお答えさせていただきます。

まず、合計特殊出生率の推移でございます。我が国の合計特殊出生率は、2005年に過去最低の1.26まで落ち込んだ後、微増傾向でございまして、2017年は1.43でした。東京都でもほぼ同様の傾向でございまして、2001年に過去最低の1.00となった後、2017年には1.21となっております。中野区は東京都と同様の傾向を示しておりまして、2004年に過去最低の0.75となった後、近年は微増傾向が続いておりますが、依然として都内では最低の水準でございまして、2017年は1.04でございます。また、フランス、イギリス、スウェーデンの3カ国は、1980年代に1.5から1.6の台まで低下した後、2000年ごろから回復傾向となり、2017年は、いずれの国も1.7を超えている状況でございます。区としては、以上のような傾向が見られるというふうに認識しております。

次に、合計特殊出生率の目標についての御質問でございます。子育て先進区を実現し、出生率の向上や子育て家庭の転入・定着による年少人口の増加、将来の人口減少の緩和など、まちの活力の維持・向上を図ることは、区の将来にとりまして非常に重要な課題であるというふうに認識してございます。基本構想・基本計画についての検討や子育て先進区の実現に向けた検討の中で、子育てに関する指標や目標値などについても明らかにしていきたいと考えております。

次に、23区におけます子ども関連の予算額でございます。子ども1人当たりの経費につきましては、東京都が作成しました平成29年度特別区決算状況に基づきますと、中野区は23区中14位となっておりますが、今年度予算につきましては、校割予算の増額など子ども関連予算の充実を図ったところでございます。子どもにかかわる予算につきましては、中野区の未来を担う人づくりの重要性を踏まえつつ、持続可能で効果的な財政支出になるよう十分考慮していきたいと考えております。

最後に、区独自の子ども手当についてのお尋ねでございます。区独自の子ども手当につきましては、子育て家庭の経済的負担の軽減を図るものではございますが、一方、区の財政負担が大きな課題となるため、費用対効果などを慎重に検討する必要があると考えております。他の自治体におけます事例など、政策効果のあるものにつきまして今後研究してまいります。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕
○都市基盤部長(豊川士朗)
私からは、中野区の道路行政についてお答えをいたします。

まず、中野区の狭隘道路のセットバック事業についてでございます。中野区内の道路の幅員が狭いということは、これは区でも以前から課題としているところでございまして、昭和59年より、狭隘道路拡幅整備事業を開始いたしまして、東京都の中でも先行的に取り組んでまいったところでございます。拡幅整備につきましては、主に建物建てかえにあわせて行っておりまして、今後も確実に拡幅整備を行っていきたいと考えております。

その道路の後退用地につきましては、建築基準法で制限される部分であり、建築物の建築ができないところでございます。後退用地を区が道路上に整備することによりまして、道路空間として空間が確保されてきております。そのために、原則として、道路事業用地として買収することは考えてはございません。

次に、道路率と狭隘道路整備についてでございます。道路率につきましては、一般に良好な市街地を示す指標とされておりますが、土地利用現況調査での区の道路率は、私道も含めますと17.7%となっておりまして、23区平均の29.4%より低く、都市計画道路をはじめとして計画的な道路整備が必要と考えてございます。

狭隘道路につきましても、災害時の避難経路の確保や緊急車両の通行など、防災性の観点からも拡幅整備が必要と考えておりまして、沿道の建てかえにあわせて、権利者との協議に基づく狭隘道路の拡幅整備事業により道路整備を進めているところでございます。

主に建築行為にあわせて整備を行っておりますが、整備対象地に隣接する土地で権利者の協力が得られた場合には、任意整備を実施してございます。今後も沿道の建てかえの機を捉えまして、権利者への積極的な働きかけにより狭隘道路拡幅整備を着実に進めていきたいと考えてございます。

それから、道路のバリアフリー化についてでございます。歩道の段差解消については、バリアフリー基本構想における重点整備地区をはじめ、駅からおおむね500メートル圏内の生活関連施設を結ぶ歩道のある道路について、車道の舗装打ちかえに合わせて、順次バリアフリー化を進めてきたところでございます。これまで、新たに薬師柳通り、南台の神田橋の通り、中央の鍋屋横丁通りのバリアフリー化を進めてきたところでございまして、今年度は新井天神通りを予定してございます。区内の歩道のバリアフリー化につきましては、引き続き取り組みが必要と考えておりまして、今後も、道路舗装の老朽化に伴う舗装打ちかえ工事とあわせまして、路線を選定し、計画的にバリアフリー化を進めていく考えでございます。

それから、最後にベンチ占用料の免除についてでございます。現在は、中野区道路占用料等徴収条例施行規則によりまして、ベンチの占用料は2分の1減免しまして、一斉に7,100円を徴収してございます。区では、歩道のバリアフリー化の整備を進めておりまして、占用手続によるベンチの設置を促すべく、占用料の全部を免除する検討を進めているところでございます。

○議長(高橋かずちか)
以上で吉田 康一郎議員の質問は終わります。