2015/11/23 7:26



6億人の経済圏「ASEAN共同体」創設。EUよりも多様な宗教と、各国が複雑な民族構成を有する国々から成るASEANは、経済統合は先行して進み得ますが、人の移動の自由化は、深刻な政治的緊張を生じ得る危うさも内包しています。その不安定さを抑える鍵となるのが、共同安全保障体制の構築かもしれません。いずれにせよ、いかにして中国の従属下に組み込まれない様にするかが課題です。

《6億人の経済圏「ASEAN共同体」始動 「2030年、世界4位経済圏に」》
2015.11.22 産経新聞
 【クアラルンプール=吉村英輝】東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国の首脳は22日、マレーシアの首都クアラルンプールで、6億人の単一市場や共生社会の実現を掲げる「ASEAN共同体」創設の宣言に署名した。12月31日に正式発足させる。

 域内関税の撤廃に加え、人や資本の移動の自由化による経済統合を目指す。また、政治や安全保障での協力も模索。経済成長の加速と国際社会での発言力強化で、地域で台頭する中国やインドへ対抗していく。

 マレーシアのナジブ首相は署名式で、域内の統合を進めることにより、「2030年にも世界4位の経済圏になる」と述べた。

 昨年の域内合計国内総生産(GDP)は約2兆6千億ドル(約320兆円)で、アジアでは中国、日本に次ぐ規模。平均年齢は30歳以下と若く、先行6カ国域内でほぼ100%の品目で実施された関税撤廃が予定通り18年に全加盟国へ広がれば、巨大市場が形成される。

 ただ、域内国家間の所得格差は最大50倍。関税撤廃以外の取り組みは遅れており、各国は自国産業保護のために多くの非関税障壁を設けている。熟練労働者や資本の移動に加え、サービスや政府調達などの域内自由化が「行程表」通り進むかは定かでない。国家主権を一部制限し、通貨や金融政策も統合した欧州連合(EU)と異なり罰則や強制力もなく、実効性の確保が大きな課題となる。

 一方、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉を進める日中やASEANなど16カ国の首脳は22日、当初の目標としていた交渉の年内妥結を断念するとの共同声明を発表した。

http://www.sankei.com/world/news/151122/wor1511220034-n1.html

《【ASEAN首脳会議】6億人の単一市場掲げASEAN共同体を宣言 年末発足、格差が課題に》
2015.11.22 産経新聞

 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国の首脳は22日、マレーシアの首都クアラルンプールで、6億人の単一市場や共生社会を掲げる「ASEAN共同体」を12月31日に発足させると宣言した。ASEANは冷戦下の1967年に5カ国で地域協力機構として出発して以来、関係深化の新たな段階に入る。

 加盟国間で最大50倍以上ある経済、所得格差を縮小し「ASEAN市民」としての一体感を育めるかが課題となる。

 共同体は「経済」「政治・安全保障」「社会・文化」の3本柱で構成。経済面では、10カ国が18年までに域内の関税を全廃。税関手続きの簡素化、一部労働者の移動の自由などで生産基地や消費市場としての魅力を高め、中国やインドの巨大市場に対抗する。

 政治統合も強化し、国際社会での発言力を高める方針。ただ、ASEANの意思決定は「全会一致」「内政不干渉」を原則としており、どれだけ実効性を持たせられるかは不透明だ。(共同)

写真:マレーシアのナジブ首相主催の夕食会に臨む各国首脳ら。右端は安倍首相=21日、クアラルンプール(ベルナマ通信提供・共同)

http://www.sankei.com/world/news/151122/wor1511220021-n1.html