2015/11/24 6:18



香港の地方選、民主派が議席を伸ばす。取り敢えずは朗報です。来年の立法会議員選、2017年春の行政長官選に向けて、北京政府がどういう手を打ってくるか。

《【香港区議選】デモ参加の「傘兵」が善戦、民主派が議席伸ばす 政治に覚醒、投票率も過去最高》
2015.11.23 産経新聞

 【上海=河崎真澄】香港で22日に投票された第5期区議会(地方議会)議員選は23日に開票が終わり、香港紙、明報(電子版)によると、民主派政党が現在の78議席から106議席に伸ばして善戦した。選挙制度の民主化を求めた昨年の街頭占拠デモ後、香港全域を対象とする選挙は初めて。「雨傘運動」と呼ばれたデモに参加した若者で「傘兵」と名付けられた新人候補者も8人が当選。これを加え、民主派は合わせて114議席になった。

 有権者は18歳以上で登録済みの369万4千人。1人1票の普通選挙で、投票率は過去最高の47%に達した。昨年9~12月の民主派デモを機に、大学生など若者を含む香港市民の政治意識が高まったとみられる。

 香港を18区に分けた区議会選は、431の選挙区ごとに1人ずつ選出するが、今回は立候補者が1人で無投票当選が決まった68選挙区以外の363議席を、867人の候補者で争った。

 明報によると、民建聯や工聯会など親中派政党は現有の222議席から199議席に勢力が後退。民協など民主派政党や「傘兵」と明暗が分かれた。4年ごとの区議選で過去2回、大敗を喫した民主派勢力は大きく盛り返し、退潮に歯止めをかけた格好だ。

 ただ、民主派最大政党の民主党では何俊仁・前主席が落選。前回から4議席減の43議席にとどまるなど、大学生が主導した昨年のデモで存在感が薄かった旧来の民主派政党への不信感も浮き彫りになっている。

 香港政治に詳しい立教大学の倉田徹准教授は、民主派勢力の善戦について「香港そのものの民主化に関心を強めた若者らが『政治を変えたい』との意識を覚醒させた」とみる。
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 香港では来年9月に立法会(議会)議員選、2017年春に行政長官選が予定されている。区議会選が今後の選挙の前哨戦とみられていただけに、「政治の季節を迎えた香港では『変化』がカギになる」(倉田准教授)可能性が高い。

 23日の開票結果について梁振英行政長官は「香港の民主主義にとりよい実践例になった」と強調した。一方で、親中派の香港政府や中国共産党政権は、中国本土の民主化運動にも影響を与えかねない香港の民主派勢力の動きに神経をとがらせる展開になりそうだ。

 今回の選挙では政府委任枠が撤廃され、香港に古くから住む住民の権益を守るため無投票で決まる27議席を除き、初めてほぼ全議席が直接投票で選ばれた。

写真:区議会選の候補者のポスターが並ぶ香港の街頭(ロイター=共同)

http://www.sankei.com/world/news/151123/wor1511230048-n1.html