2014/10/13 4:08

いつの間に我が国は、領海内で貴重かつ高価なサンゴを密漁し、傍若無人に振舞う中国船に怯える国民を守る事もできない国になったのでしょうか。

《小笠原に押し寄せる中国船、「宝石サンゴ」密漁か 「守るすべない」「島民は不安」》
2014.10.12 産経新聞

 世界自然遺産に登録されている小笠原諸島(東京都)沖に中国船とみられる不審船が押し寄せている。目的は高級サンゴの密漁とみられ、その数は日を追うごとに増加。夜間には水平線に不審船の明かりが並び、島の近くまで接近する船もある。「自分たちの領土で好き勝手にされているのに、見ていることしかできない」。傍若無人な振る舞いに地元漁業にも影響が出ており、国境の島では不安が広がっている。(松岡朋枝)

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 今月8日夜、皆既月食を観測しようと母島のヘリポートに集まった島民は息をのんだ。南の海上に「えらい数」の漁船の明かりが見えたからだ。小笠原では、集魚灯を使用した漁業は禁止されている。

 「夜間だけではない。最近は日中にも目撃されるようになった。かなり広い範囲で堂々としたものだ」

 小笠原村議会の佐々木幸美議長は説明する。父島と母島を結ぶ定期船からも、航路上で日中に10隻ほどの不審船を確認したとの報告があったという。

 父島でダイビングショップを営む男性も、不審船を目の当たりにした一人だ。9月22日、客を連れて訪れた嫁島付近で東の水平線から不審な船が姿を見せた。5隻、10隻、15隻-。鉄製で中国旗を掲げた船団は、あっという間に20隻程度に膨れあがった。

 「中国から小笠原沖まで航行して採算が取れるのはサンゴしか考えられない」

 東海大海洋学部の山田吉彦教授(海洋政策)は中国船とみられる船の狙いがサンゴの密漁だと分析する。

 日本産のサンゴは品質が良く、中国では高値で取引される。日本珊瑚商工協同組合によると、「宝石サンゴ」とも呼ばれる赤サンゴの卸値は10年で約5倍に上昇。平成24年の平均取引額は1キロ約150万円で「金より高値で取引されることもある」(同組合)。

 宮古島(沖縄県)沖や五島列島(長崎県)周辺もサンゴの生息地だが、山田教授は「警備が厳しくなった結果、小笠原まで足を延ばすことになったのではないか」と指摘。「サンゴは貴重な資源であると同時に、海底の形状にも影響する。サンゴの乱獲は生態系を壊すことにもつながる」と警鐘を鳴らす。

 海上保安庁も小笠原周辺で中国船とみられる不審船を確認。その数は9月15日に17隻、23日に25隻、今月1日には40隻と増加を続けている。

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 今月8日、佐々木議長ら小笠原村議8人全員が東京都千代田区の海上保安庁を訪れ、警備の強化を要望した。海保の担当者は産経新聞の取材に「9月中旬以降、相当数の船がいることを確認しており、警備態勢の増強に努めている」と説明した。

 横浜海上保安部(横浜市)は5日、父島から10キロの日本領海内でサンゴを密漁したとして中国船籍の漁船(乗員11人)を拿捕。船長(39)を外国人漁業規制法違反(領海内操業)容疑で逮捕した。この日は、兄島から1キロほどの海上でも、航行する不審船が目撃されたという。ダイビングショップを営む男性は「いつ上陸されてもおかしくないが、私たちには守るすべがない」と嘆く。鉄製で巨大な中国船との衝突を恐れ、出漁を控えるなど地元漁業にも影響が出始めている。

 佐々木議長は「これは国の問題。政府間で話し合いを持たなければ解決できない」と指摘。「人の住む島のそばで密漁が行われ、島民には不安が広がっていることを知ってほしい」と訴えている。

【用語解説】赤サンゴ

 主に日本近海の水深100メートル以上の深海に生息するサンゴ。硬質で磨くと光沢が出ることから「宝石サンゴ」とも呼ばれる。ネックレスや数珠に加工されるほか、大きく完全な形のものは観賞用になる。赤色が濃いほど価値が高く、中国ではアクセサリーのほか、魔よけなどとしても用いられている。
http://www.sankei.com/politics/news/141012/plt1410120003-n1.html


《小笠原諸島周辺“サンゴ密漁 取締り強化を”》
2014.10.08 NHK

小笠原諸島の周辺で、中国の船とみられるサンゴの密漁船が急増し漁場が荒らされているなどとして、小笠原村議会の議長らが海上保安庁を訪れ、取締りの強化を求めました。

小笠原諸島の周辺では、最近、中国の船とみられるサンゴの密漁船が相次いで目撃され、海上保安庁によりますと、先月15日には17隻、23日には25隻、今月1日には40隻が確認されたということです。
今月5日には、父島の南およそ10キロ沖合の日本の領海内で、中国のサンゴ漁船1隻が操業しているのを海上保安庁の巡視船が見つけ、船長を外国人漁業規制法違反の疑いで逮捕しています。
こうした事態を受けて、8日、母島漁協の組合長で小笠原村議会の佐々木幸美議長ら議員8人が海上保安庁を訪れ、漁船が進路を妨害されたり漁網が壊されたりするなど深刻な被害が出ていると訴えました。
そのうえで、島民や観光客が不安を抱いているほか、漁場が荒らされ地元の漁業に影響が出かねないとして取締りの強化を求めました。
申し入れのあと、佐々木議長は「密漁船は港の入り口まで来ていて不安が広がっている。国には罰則を重くするなど法律を変えることも含めて取締りに力を入れてほしい」と話していました。
海上保安庁や水産庁は、今後、パトロールにあたる航空機や巡視船の数を増やし警戒を強めることにしています。

■ 密漁は「宝石サンゴ」

密漁が行われているのは「宝石サンゴ」とも呼ばれる赤い色が特長の「アカサンゴ」で、産地は世界でも限られ、日本では、四国や九州、沖縄、それに小笠原諸島周辺の数十メートルから数百メートルほどの海底に生息しています。
装飾品などに加工され、中国や台湾では赤い色が幸福などを意味することから、富裕層を中心に人気が高まっているといいます。
日本で取れた「アカサンゴ」の多くは、中国や台湾に送られているということで、日本珊瑚商工協同組合によりますと、ここ10年で価格がおよそ5倍に跳ね上がり、質のいいものは1キロ当たり150万円を超えるということです。
一方、乱獲を防ぐため、東京都は採取を許可制にしていて、許可を受けているのは地元の4つの事業者のみとなっています。
中国漁船によるサンゴの密漁は、これまでに九州や沖縄の沖合でも摘発されていて、小笠原諸島周辺では、ことし4月に一隻が摘発されましたが、その後も中国の船とみられる漁船が繰り返し目撃されていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141008/k10015240521000.html