2014/06/13 1:17

微笑みの国タイの闇の一面、奴隷労働。根絶しなければいけませんし、その様にして生産された商品を購入してはいけません。中国の奴隷労働と同様、政府レベルの対応が求められます。

《世界で売られる“奴隷労働”養殖エビ 日本にも拠点…国内流通か》

 養殖エビの世界最大の輸出国であるタイで、ミャンマーやカンボジアの出稼ぎ労働者がエビの餌となる魚を獲る漁船で過酷な労働を強いられ、少なくとも20人が死亡するなど深刻な虐待を受けていると、英紙ガーディアン(電子版)が6月10日、報じた。

 タイ最大手の食品メーカーが魚を加工した魚粉を餌として買い取りエビを養殖して輸出しており、“奴隷労働”によるエビが欧米の大手スーパーで売られていると警鐘を鳴らしている。この食品メーカーは日本にも拠点があり、国内でも流通しているとみられる。

■ タイ食品会社が輸出

 「死ぬと思った。やつらは私を鎖につなぎ、食事も与えなかった。われわれは動物のように売り払われた」

 公海上で操業していた漁船から脱出したという、カンボジアの元僧侶の被害者は、ガーディアンにこう明かした。

 ミャンマー出身の被害者は「一生懸命働いても殴られた。数え切れないほどのミャンマー人が奴隷として売られた」と説明し、「20人の仲間が殺されるところを見た」と証言した。

 約半年にわたる調査に基づいた報道によると、労働者たちは無給で、1日20時間の労働を強いられた。眠らないように覚醒剤を打たれたり、拷問を受けたり、見せしめに仲間を殺されたりしたという。労働者たちは、もともと工場や工事現場で働いていたが、ブローカーによって1人250ポンド(約4万3000円)以下でトロール船の船長に売られ、拘束されたとしている。

 こうして獲られた魚のうち、食用に適さなかったものが魚粉に加工され、養殖エビの餌として販売されていた。

 それを購入していたのがタイ最大の食品会社「チャルーンポーカパン(CP)フーズ」。タイ最大のコングロマリット(複合企業体)「CPグループ」の食品部門として、年商330億ドル(約3兆3000億円)を誇り、総輸出量50万トンといわれるタイ産エビの約10%を担っている。

 CPフーズの担当者は、ガーディアンに対し、過酷な労働によって獲られた魚であることを知っていたと認めた上で、「金もうけのために行われてきたことは明らかなので、解決したい」とコメントした。

■ 日本でも流通か

 CPフーズの取引先には、米国のウォルマート・ストアーズやコストコ、フランスのカルフール、英のテスコという世界4大スーパーが名を連ね、日本の大手もCPフーズの養殖エビを販売しているとみられる。

 国際団体、反奴隷制インターナショナルの責任者エイダン・マクウェイド氏はガーディアンに「タイ産のエビを購入することは、奴隷労働で生産した商品を購入することだ」と非難。タイ政府も「人身売買との戦いは国家の優先事項である」とコメントし、問題解決に本腰を入れて取り組む姿勢を示した。

 また、米ウォルマートは「タイのシーフード輸出産業から奴隷制度を根絶するための重要な役割を果たしたい」とし、CPフーズとの取引を見直すことを示唆した。

 国際労働機関(ILO)によると、タイでの人身売買や奴隷労働は世界最悪の水準にある。また国際移住機関(PDE)の2011年のリポートは、タイの漁船で奴隷労働に従事した人の59%が、同僚の殺害を目撃していたと報告している。
http://www.sankeibiz.jp/express/news/140612/exd1406120935001-n1.htm