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2014/11/10 12:17
「日本が強くなれば、中国が日本と戦争したときのコストは大きくなる。そうすると戦争はしない。日本が中国との戦争を防ぐには、日本の軍事力を大きくすることだ。大きくすると平和になる」。こんな当たり前の事が、世界の中で一部の日本人だけが分からない。愚かです。 — 《【正論講演】中国は日米と戦争するか スケープゴートは日本 尖閣に手を出す可能性は「ある」 防衛大・村井教授》 2014.11.10 産経ニュース 群馬「正論」懇話会の第36回講演会が10月30日、前橋市の前橋商工会議所会館で開かれ、防衛大教授の村井友秀氏が「東アジアの『戦争と平和』」と題して講演、パワーシフト理論を使って米中、日中間で戦争が起きる可能性を分析し、「米中は戦争しないが、日中は起こり得る」と指摘。戦争を抑止するために、日本が軍事力を増強する必要性を訴えた。詳報は以下のとおり。 ■ 軍事力の変動から説くパワーシフト理論 戦争が起こる仕組みをパワーシフトの理論を使って説明したい。この理論は過去500年間に欧州で起きた200件の戦争について言えることだ。 仮に今、Bという国がAという国よりも軍事力の点で優位で、B国がA国に追い付かれそうになっているとする。この状態でB国がA国に仕掛ける戦争を「予防戦争」と呼ぶ。逆にA国がB国をすでに追い越し、追い越したA国が自国の優位を固めるためにB国に起こす戦争を「機会主義的戦争」と呼ぶ。戦争には、この2種類しかない。戦争は軍事上、強い方が始める。 予防戦争の例を挙げると、1941年の日米戦争が当てはまる。当時の国力は米国を5とすると、日本は1。それなのに、なぜ日本は戦争を仕掛けたのか。日本の方が強いと思ったからだ。なぜか。太平洋に展開できる海軍力は日本の方が上だったからだ。 ■ 米中間のパワーシフト 今、米国と中国の間でパワーシフトが起こっているといわれている。この理論において、戦争が起きやすい軍事力の差はプラスマイナス20%ぐらいといわれている。圧倒的な差が付くと戦争は起きない。戦争をしなくても圧倒的な差があれば、弱い方は言うことをきくからだ。 米中間のパワーシフトを考える上で重要なのは、どの場所で衝突が起こるかということだ。(米ハーバード大教授の)ジョセフ・ナイ氏は「米中間のパワーシフトは起こらない。今の実力は米国を10とすると中国は1。軍事力が将来にわたって逆転することはない」といった。しかし、この議論は雑だ。これでは日米戦争を説明できない。 これを説明するには、軍事力は距離が遠くなればなるほど落ちるLSGという理論が必要になる。制空権は距離の2乗に反比例するといわれている。 日本周辺の東シナ海、西太平洋でみると、米国の場合、軍事力はあまり下がらない。制空権がなければ制海権はなく、制海権がなければ、上陸(地上戦)はできないとされるが、米国の特徴は、航空母艦を多数抱え、肝の制空権が下がらない点だ。9万トンの空母なら90機、6万トンなら60機の戦闘機を載せられる。これは動く飛行場で、9万トンの空母が3隻あれば日本の航空戦力(約200機)に匹敵する。米国の空母は原子力で動くため航続距離も長いから、距離が離れても軍事力はほとんど下がらない。 中国はどうか。何とか空母は造ったが、技術的な問題で、スピードが出ない。スピードが出ないと重い飛行機を飛ばせないから、それほど脅威にならない。 今の戦争は何が攻めてくるか。戦艦でも飛行機でもない。ミサイルだ。中国は沿岸、陸上に数多くのミサイルを保有するが、中国が飛ばせるミサイルの距離はせいぜい600キロ。日本周辺で比較すると、米国の方が上だ。 ■ 弱きをたたく航空母艦、強きをくじく潜水艦 航空母艦の役目は何か。空母は自分より弱いものをたたくときに圧倒的な効果を発揮する。逆に強い相手には弱い。防御が脆弱だからだ。強大な相手には「走る棺桶」になってしまう。世界一の軍事力を持つ米国は、だから空母を世界中に展開している。英国とフランスも空母を持っているが、それは米国に対するものではない。自分たちよりも弱い相手に向けてのものだ。 一方で、自分より強いものを相手にするときに有効なのが潜水艦だ。弱い国は空母ではなく、潜水艦を持つ。中国も、これまでは潜水艦を造り続けてきている。 では、なぜ今、中国は空母を造ったのか。想定しているのは米国ではなく、東南アジア、南アジア。そう、自分より弱い相手に向けて、自分の強さを、より効果的に展開しようとしている。 そういった点を考慮すると、現時点で米中間にパワーシフトは起こっていない。だから、米国と中国は戦争しないということになる。 ■ 日中戦争は起こり得る 日本と中国ではどうか。日本と中国では、パワーシフトが起こっているといわれている。戦争が起きる可能性が高いのは、米中ではなく、日中の方だ。 では、日中間では、どういった戦争が考えられるか。 戦争には、大・中・小がある。中国共産党は合理的な政府で、徹頭徹尾、損得の利害で動く。異質なのは韓国。あの国は利害関係を無視し感情的に走ることがある。中国は米国が出てくるような大規模な戦争はしない。負けるからだ。 では、中規模なものならどうか。これも米国が出てくるから、やらないだろう。 米国の国益の考え方には、死活的国益、戦略的国益、周辺的国益の3つがある。死活的国益は、例えば「9・11」(2001年米中枢同時テロ)だ。周辺的な国益では、例えばソマリア内線がある。ソマリアでは作戦中、米兵に死者が18人ほど出ただけで撤退した(1993年のモガディシュの戦闘)。「9・11」は、まったく異なる。 日本を見捨てれば戦略的国益に影響が出る。「米国は同盟国を守らなかった」という評価が世界中に流れるのは、米国にも非常にデメリットが大きい。だから中規模な日中戦争なら米国は出てくる。中国はそう考えているはずだ。 ■ 中国が考える日中戦の勝機は「米国抜き」 中国が日本に勝てる条件は、絶対に米国が出てこないこと。この視点から問題になるのが、尖閣周辺などで想定される小規模な戦争だ。中国は小さい戦争なら米国は出てこないとみている。その根拠は何か。米国は尖閣について2つの立場、見解を示す。1つは「日米安保条約の適用範囲だ」という。一方で、領有権について「米国は中立の立場だ」ともいっている。これはどういう意味か。中国にも日本にも「尖閣に出てくるな」ということだ。双方を抑止しようとしているということで、だから中国は尖閣をめぐる戦争に米国は出てこないと思っている。 日本と中国との間に戦争が起きないようにするには、どうすればいいか。それは、日本が単独でも勝てるようになるか、中国に米国が必ず出てくると思わせるかのどちらかしかない。しかし、米国が必ず出てくると思わせることは無理だ。なぜなら、あの国(中国)は同盟というものを信じていないからだ。 だから、日本が単独でも勝てるようにするしかない。 ■ 尖閣を先鋭化させたのは中国の国内事情 中国が尖閣に手を出す可能性はあるか否か。私はあると思う。 ここでスケープゴート理論というものを説明したい。 そもそも、尖閣をめぐって日中関係が緊張しだしたのは、日本による尖閣の国有化とは関係がない。尖閣については中国は2008年から動き出した。中国は日本をスケープゴートにしようとしているからだ。その最大の原因は国内の暴力的なデモだ。中国ではデモが頻発している。年間10万件を軽く超えているだろう。しかもデモの特徴は大規模で暴力化、凶暴化している。体制にとって、これは深刻な危機なのだ。 原因は何か。すさまじい国内格差だ。中国では今から20年前に経済改革が始まったが、当初は一部が富を得て、遅れて貧しい者も豊かになるといわれた。だが、そうはならなかった。格差は広がり、ひどくなる一方だ。金持ちしか偉くならない共産主義に、貧しい者たちが激しく抗議している。 そんな内部でたまった国民の不満を外に向けて、目をそらそうとしている。日中間の緊張と日本の国内状況は関係ない。国内の緊張を外に向けて、緊張を一定範囲内に保とうとしている。だから緊張が下がりすぎると工船を日本領内に侵入させたりして緊張を高め、緊張が高まりすぎると下げる。今の中国の動きも、日本との関係改善をしようとしているわけではない。緊張関係を操作しているだけだ。 中国のスケープゴートは日本でなければいけないのか。スケープゴートになるのは、国民的に盛り上がる存在でなければいけない。中国には日本以外にロシアという格好の国がいるが、中国は選ばない。ロシアは危険すぎるからだ。あの国は何をするか分からないところがあって、本当に怖い。逆に日本はちょうどいい、安全な敵なのだ。 ■ 反日キャンペーン、中国の目的はアジアの覇権 中国は今、世界中で反日キャンペーンをやっている。目的はアジアの覇者になるためだ。なぜ反日キャンペーンか。日本をおとしめるためだ。 中国は経済力、軍事力などで日本を追い抜いたが、まったくかなわない決定的なものがある。ソフトパワーだ。ソフトパワーは、その国の影響力。いい国だと思わせる力、説得力。相手は、その国を信用し、言うことを聞いてくれる。今の中国には、その力が日本より遥かに劣る。だから中国は80年も前の日本を持ち出してきて非難する。80年前の日本と今の中国を比べようとしている。 だから、中国の土俵で戦ってはダメ。今の日本、将来に向けた日本で勝負すべきだ。 ■ 戦争と平和のコストから見る日本の道 最後に今の日本はどうしたらいいか、述べたい。 日本が望むのは中国と戦争しないことだ。日本には2つの選択肢がある。戦争でいくか、平和でいくか、だ。どちらを取るかは軍事的コストで選ぶ。戦争のコストが小さければ、戦争をする。大きければ戦争はしないで、平和的な手段を取る。合理的な政権であれば、そうする。 […]
2014/11/10 11:17
日本復活、頑張れ! — 《知財ニュース:世界よ!これが日本だ! 革新企業トップ100、日本から世界最多の39社が選出》 2014.11.07 MONOist ■ トムソン・ロイターは、知財・特許動向を分析して世界で最も革新的な企業100社を選出する「Top 100 グローバル・イノベーター 2014」を発表した。日本企業は2013年の28社から大幅に増加し39社が選出。米国を抜き、初めて世界首位に躍り出た。 情報サービス企業であるトムソン・ロイターは2014年11月6日、保有する特許データを基に知財・特許動向を分析し、世界で最も革新的な企業100社を選出する「Top 100 グローバル・イノベーター 2014」を発表した。100社のうち日本企業は39社を占め、国別で初めて米国(35社)を抜き、世界首位となった。国別でみると2桁以上の社数がランクインしているのはこれら2国のみで、世界のイノベーションを日米がけん引している状況が浮き彫りとなった。 同賞の開催は今回で4回目。選出基準は、「特許数」「成功率」「特許ポートフォリオの世界的な広がり」(過去3年間)と「引用における特許の影響力」(過去5年間)の4つで、単純な特許数だけではなく、社会への貢献度やビジネス的な影響度などを考慮していることが特徴だ。 選出された39社の日本企業は、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、富士通、日立製作所、三菱電機、NEC、パナソニック、シャープ、ソニー、東芝、キヤノン、富士フイルムなどの主要企業が名を連ねた。 また前年は選出されておらず、2014年に新たに入った企業としては、アイシン精機、カシオ計算機、ダイキン工業、デンソー、古河電工、花王、神戸製鋼所、小松製作所、京セラ、リコー、住友ゴム工業、東京エレクトロン、ヤマハの13社がある。一方で、2013年は入っていたが、2014年は選出されなかった企業としては、ジャトコとオムロンがある。 Top 100 グローバル・イノベーター 2014を受賞した日本企業(アルファベット順、右列は日本語の正式名称) Aisin Seiki Co., Ltd. アイシン精機株式会社 Asahi Glass Co., Ltd. 旭硝子株式会社 BROTHER INDUSTRIES, LTD. ブラザー工業株式会社 Canon Inc. キヤノン株式会社 CASIO COMPUTER CO., LTD. カシオ計算機株式会社 DAIKIN INDUSTRIES,LTD. ダイキン工業株式会社 DENSO CORPORATION 株式会社デンソー FUJIFILM Corporation 富士フイルム株式会社 Fujitsu Limited […]
2014/11/10 2:46
日本の狭い常識だけで物事を判断する人達が認めようとしない数字の一つがこれです。が、私はこの数字でもまだ足りないだろうと思っています。 — 《持ち逃げ資産は19兆円超…中国の習主席が逃亡汚職公務員捜査、カナダ首相に協力要請》 2014.11.09 産経新聞 中国の習近平国家主席は9日、北京の人民大会堂でカナダのハーパー首相と会談し「中国は反腐敗闘争を一層強化している」と述べ、国外に逃亡した汚職公務員の捜査での協力を要請、ハーパー氏は応じる考えを表明した。中国の通信社、中国新聞社が伝えた。 中国では、公務員が汚職でつくった資産をカナダなどに持ち逃げする事件が相次いでいる。1992年以降、国外逃亡した幹部の公務員は少なくとも2万人を超え、国外流出した資産は1兆元(約19兆円)以上との報道もある。(共同) http://www.sankei.com/world/news/141109/wor1411090038-n1.html
2014/11/09 22:52
ロシアがウクライナ東部で実行している「新しい戦争」の概念。「住民の蜂起と正規軍の軍事的圧力を組み合わせた、平時とも有事ともつかない状態を作り出し、公式の戦争を起こすことなく政治的目的を達成するという考え方」。中国の「キャベツ戦略」も類似しています。—《「ウクライナ危機3.0」の可能性を考える》2014.11.04 Yahoo! JAPAN ニュース 小泉悠 以前の小欄で、収束と緊迫化を繰り返すウクライナ危機の性質について書いた。一度は停戦合意が成立するものの、その履行を担保するメカニズムが存在しない以上、危機は再燃し、しかもその度に既成事実が積み重ねられていくということが今回のウクライナ危機では繰り返されている。 そしてここしばらくの間に、ウクライナでは新たな緊迫化の兆候が顕著になってきた。 ■ これまでの経緯 イスラム国やエボラ出血熱騒動ですっかり忘れられつつある感もあるので、まずはここで簡単にこれまでの経緯を振り返っておきたい。 8月初頭、ウクライナ東部の親露派武装勢力はウクライナ政府軍の攻勢に対してほぼ壊滅寸前の状態に陥っていたが、8月半ば頃からロシアはロシア軍の直接介入を含む大規模な軍事援助を行い、瞬く間に形勢を逆転させた。 8月28日の拙稿をご覧頂ければ分かるとおり、一時期は壊滅状態に陥っていた親露派はわずか3週間ほどでウクライナ政府軍を押し戻し、版図を大幅に回復した。 さらにその後、親露派武装勢力はこれまで進出してこなかったウクライナ南部のアゾフ海沿岸地域まで一気に侵攻し、ドネツク州の暫定州都が置かれているマリウポリ(本来の州都であるドネツクは親露派に占拠されているため、こちらに疎開していた)の目前まで電撃的に侵攻した。以下の図は、ウクライナ国防安全保障会議(SNBO)が公表した、ウクライナ東部における最新の戦況図である。 ここに至り、ウクライナのポロシェンコ政権はついに、これまで拒否してきた親露派との停戦交渉を受け入れ、9月5日にベラルーシの首都ミンスクで停戦合意が成立したのである。 ■ なし崩しになる停戦 この結果、ドンバス(ドネツク・ルガンスク両州を併せた呼び方)では全体的に戦闘が下火になり、一時的に平穏が戻った。ただ、ドネツク空港周辺では依然として戦闘が続き、政府軍と親露派武装勢力の間で争奪戦が続いてきた。 両者がドネツク空港にこだわる理由ははっきりしないが、米USAトゥデイがウクライナの在米大使らに行ったインタビューでは、親露派はいずれ航空戦力を保有することを見越して空港を死守しようとしているという見方が示されている(もっとも、USAトゥデイが実際に現地の空港を防衛している親露派武装勢力司令官にインタビューを行ったところ「ロシアの飛行機ならどこでも望むところに降りるさ」と一笑に付されている)。 さらに停戦後もウクライナ政府軍と親露派武装勢力の戦闘は散発的に続いており、特に政府軍側はトーチュカ-U弾道ミサイルや多連装ロケットといった正規軍ならではの火力を活かした攻撃を継続した。 特に9月にはウクライナ軍の発射した弾道ミサイルが新学年の始まったばかりの学校に落下して生徒らが死亡するという痛ましい事件が発生したほか、10月にも親露派の占拠する地域の化学工場が弾道ミサイル攻撃で大爆発を起こしたことが広く報じられた。 また、ウクライナ軍はドンバス地域でクラスター爆弾を多用しており、民間人の犠牲者が増加していることに人権NGOヒューマンライツウォッチや国連当局者が懸念を表明するなど、ウクライナ軍の停戦違反に対して国際社会がフラストレーションを高めつつあることも見て取れる(ウクライナはクラスター爆弾使用を否定)。 もちろん、この間には親露派武装勢力や国境沿いのロシア軍による砲撃も続いていると見られるが、7月のマレーシア機撃墜事件当時、親露派武装勢力やロシアの国際的立場が大幅に悪化していた頃からするとやや潮目が変わりつつあるように見える。 また、9月には、ウクライナ国家親衛隊が占拠していた地域で大量の遺体が埋葬されているのが発見された問題で、ロシアは「ウクライナが虐殺を行っている」と非難を強めている。事件の真相は依然として明らかでは無いが、ウクライナ政府が軍の弱体化を補うために組織した数十もの自警部隊の中にはアイダル大隊のようにネオナチまがいの組織も多く、こうした部隊が虐殺を働いている可能性は否定できない。 凄惨な内戦の中で、ウクライナ側も「無垢の被害者」でばかりはいられなくなりつつあると言えよう。 ■ 2つの選挙 こうした中で、10月26日、ウクライナでは国会にあたる最高会議の総選挙が実施され、ポロシェンコ大統領率いる与党「ポロシェンコ・ブロック」が圧勝した。さらにこの選挙の結果、ロシアよりの立場を示すことが多かった共産党は全ての議席を失い(正確にはその前の7月の時点で議席を全て没収されており、その復活が叶わなかった)、議会での親欧米派の勢いは格段に高まった。 だが、総選挙はロシアの占拠下にあるクリミア半島では実施されず、ドンバスの2州でも親露派の支配地域では選挙が実施されなかった。 さらに11月2日、親露派支配地域でも「選挙」が実施された。 これにより、ドネツクではドネツク人民共和国(DNR)の「首相」を自称するザハルチェンコ氏が75%、ルガンスクでは同じくルガンスク人民共和国(LNR)のプロトニツキー「首相」が65%の得票で首長として続投することとなった。もっとも、この選挙は国際的な監視の下に実施されたものではなく、いずれも「自称」である。 ウクライナ政府はこの選挙を「まやかし」と呼び、承認しない姿勢だが、ロシアは同選挙の支持を表明。これに反発したウクライナ政府は、9月5日の停戦合意後に制定した「東部2州の特別の地位」を認めた法律の撤回を決定し、停戦合意自体が崩壊する可能性が高まってきた。 ■ 「親露派」はどこまで「親露」か ところで、これまで一律に「親露派」と呼んできた勢力の中身がここのところ大きく変質しつつあることにも触れておきたい。 8月頃までDNRの指導部の地位にあったイーゴリ・ストレリコフやアレクサンドル・ボロダイといった面々は、ロシアからやってきた大ロシア主義者であり、イデオロギー的な理由からかつてのロシア帝国の版図を取り戻そうという情熱に駆られた人々であった。 彼らの多くは歴史や哲学など人文系の高等教育を受けた人々であり、ストレリコフなどは中世の甲冑や第二次世界大戦中の軍服など、かつてのロシアの栄光を思い起こさせるコスプレ姿で度々写真に収まっているのは、彼らのこうした思想的傾向を端的に示すものと言える。 だが、親露派の劣勢と共にこうした人々は自らウクライナを去ったり、あるいは権力闘争に敗れるなどして次第に姿を消していく。代わって台頭してきたのが、ザハルチェンコのような地元出身の指導者や、ロシアが送り込んだ軍事のプロたちであった。 後者について言うと、ロシアは7月末から8月初頭にかけて、モルドヴァの分離・独立地域である「沿ドニエストル共和国」(もちろんモルドヴァ政府は認めておらず、いわゆる未承認国家である)からアンチュフェーエフ元「保安相」やカルマン元「副大統領」などを送り込み、DNRの要職につけはじめた。要するに、イデオロギーに駆られた親露派ではなく、よりクレムリンに忠実な分子で親露派の幹部を固め始めたのである。沿ドニエストルはロシアの後ろ盾によって成立しており、その指導部に対するロシアの発言力は強い。 だが、9月に入ってから、アンチュフェーエフは地元出身指導部との権力闘争に敗れて罷免されており、地元出身勢力とクレムリンとの間で確執があることが見て取れる。 今回の「選挙」を経てこうした体制がどう変化するかが、今後のひとつの注目点となろう。 ■ 紛争は再発するか? もうひとつの注目点は、もちろん、これが再び大規模な戦闘の再開につながるかどうである。 ウクライナ総選挙により、情勢が安定化に向かうのではないかとの期待感も一時期、国際社会では高まったが、親露派の独自選挙とこれに対するウクライナ政府の反発を見るに、その望みはどうも薄そうである。 そもそも、停戦合意後の一連の緊張緩和は選挙前のポロシェンコ大統領のポーズではないかとの見方は以前からあった。選挙を乗り切り、自身の基盤を固めたポロシェンコ政権が、再びドンバスの平定に向けて大規模な軍事作戦を再開するのではないかとの観測は根強い。 これに加えて、親露派の動向も不透明だ。ロシアの介入を得て版図を拡大した親露派であるが、4月の官庁占拠運動の中心地となったスラビャンスクなど、親露派にとっての「栄光の地」は依然として政府軍に奪回されたままである。「選挙による正統性」という旗印を得た親露派が、クレムリンの送り込んだ沿ドニエストル人脈の排除をさらに進め、再びスラビャンスクなどの奪回に出る可能性は否定できない。 さらに、仮に戦闘が再開することなく済んだとしても、ドンバスを親露派が占拠し続けている状況には変化はない。ポロシェンコ政権が「東部の特別の地位」を撤回した以上、徐々にドンバスを再びウクライナ政府の下へと再統合するというシナリオは崩れたわけで、このまま国家の分断が固定化する可能性が高いと考えられよう。 モルドヴァにおける沿ドニエストルの例や、グルジアの南オセチア及びアブハジア、アルメニアとアゼルバイジャンの間におけるナゴルノ=カラバフなどの例を見ても、一度分離独立地域が形成され、未承認国家化してしまった場合、法的親国への再統合は極めて困難である。 ■ ロシアの戦略 最後に、この事態の背後に居るロシアの戦略について触れておきたい。 9月5日の停戦後、ロシアはウクライナ東部及び国境地帯から部隊を撤退させたとも報じられた。しかし、ウクライナの軍事専門家ティムチュークは、依然としてロシア軍やロシアの支援を受けた武装勢力はウクライナ領内に留まり続けており、およそ3万人が4つの作戦集団を形成しているという(「キエフ・ポスト」2014年11月3日付け)。 ティムチュークは激烈な反露的記事を執筆し続けてきた人物であり、この数字がどこまで信用に足るものかは不明であるが、依然としてロシアがウクライナへの軍事援助を続けているらしいことは各種報道から推察できる。 また、ウクライナに隣接する南部軍管区はもともとイスラム武装勢力やグルジアを睨んで全ロシアの軍管区中で最も濃密な兵力配備が敷かれている地域であり、一度は撤退したロシア軍部隊を再展開させることはそう難しくない(これまでにもロシア軍はかなり短期間でウクライナ国境に部隊を展開させ、また撤退させるということを繰り返している)。 これについて注目されるのが、昨年以降、ロシアの戦略家達が口にし始めた「新しい戦争」の概念である。 […]
2014/11/09 16:35
滋賀報知新聞の素晴らしい社説。 — 《すべての慰安婦問題を検証せよ》 2014.11.08 滋賀報知新聞 【社説】 外務省はアジア女性基金サイトの閲覧者に誤解を招きかねないと、元従軍慰安婦に「償い金」を支払った「アジア女性基金」の拠出呼びかけを外務省のウェブサイトから削除した。 背景には安倍首相が衆院予算委員会で従軍慰安婦問題の誤報に関して「日本のイメージが傷つき、日本が国ぐるみで『性奴隷』にしたと世界で中傷されており、客観的な事実に基づく正しい歴史認識を形成し、日本の取り組みが国際社会から正当な評価を受けることを求めていく」との発言があるといえる。 更に、国連人権委員会が採択した「クマラスワミ報告」についても、日本政府はスリランカ人で法律家のラディカ・クマラスワミ氏に対しても内容の一部撤回を申し入れている。 誤報により日本人の名誉が大きく傷つけられたことは事実であり、その誤報を根拠に強制連行での従軍慰安婦があったかのように隣国は主張するが、その歴史は誤報により捏造されたものであり主張する根拠は崩れ去ったといえよう。 政府は速やかに誤報を根拠とする公文書や準公文書などの記述を訂正又は破棄し、事実関係を正しく伝えなくてはならない。 日本国民を陥れた誤報を信じさせてきた様々な組織(国家を含む)に対して、歴史的に最大の赤っ恥をかくのは誰なのかを知らしめる必要がある。 過去に各国の戦争には慰安婦がつきものだったが、女性地位向上のためにも他国における慰安婦問題を検証する必要があり、あえて日本がその手を挙げるべき時であろう。 http://www.shigahochi.co.jp/search.php?type=editorial&run=true&sort=open_time&sort_PAL%5B0%5D=desc