1育児支援政策について 2緑と水のまちづくりについて 3国民保護施策について 4人権行政について 5自治施策について 6その他

一般質問

中野区議会議員 吉 田 康一郎

1 育児支援政策について

2 緑と水のまちづくりについて

3 国民保護施策について

4 人権行政について

5 自治施策について

6 その他

○議長(内川和久)
次に、吉田 康一郎議員。
〔吉田 康一郎議員登壇〕
○12番(吉田 康一郎)
育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会、吉田 康一郎です。よろしくお願いいたします。

まず育児支援政策について伺います。

昨年9月に区が策定した中野区基本計画において、私が繰り返し指摘した出生率の向上を図ることが盛り込まれました。この出生率の向上について、なかなか記載すらしようとしなかったという過程について理解に苦しんでいましたけれども、実際に中野区の過去3年間の出生率を調べると、過去の定例会で申し上げたとおり、平成29年に23区内で豊島区と同率で下から2番目、翌平成30年は単独で最下位から2番目、そして令和元年では単独最下位になりました。酒井区政になってから子育て先進区を掲げていながら、出生率はどんどん下落し、順位も下落し、最下位になったわけであります。そして、社会動態については、0歳から9歳については転出が超過、区外に出て行く人が多いとなっています。

経済紙系の調査で、2021年版「共働き子育てしやすい街ランキング」で6位になったと指摘する向きもありますが、それはあくまで共働きのランキングであって、子育て世帯全体の評価ではない上に、実際の出生率とその順位が下落しているのに、子育てしやすいというのは、使いにくい商品の売上げが落ちているのに顧客満足度ナンバーワンと宣伝しているようなものです。

これまで3年半の区政について、出生率が下がって、結果として子育て後退区になったというのにもかかわらず、10日の施政方針演説においては、この点についての反省は一切ありませんでした。これまでの施策が失敗であったということを認め、それを転換する、こういうことがなければ未来において子育て先進区ということは実現できません。

令和4年度予算において子育て支援の中心を担っている子ども教育部では、出生率の向上に向けてどのような事業を実施する予定なのか。それはこれまでと同じなのか。変わるのか。新規、拡充、廃止によって、これまでの事業の継続と比較して、出生率が何ポイント向上する見込みなのか。そして子ども関係の予算は令和3年度よりも減少しているけれども、これは事業も予算も拡充すべきなのではないか。そして、これまで繰り返し指摘しましたが、我が国の育児関連政策は、フランスや北欧などに比べて育児世帯への手当の支給が極めて低い。国の児童手当と別に区として手当金を支給するなど思い切った施策が必要だと考えますが、見解を伺います。

次に、産後ケアについて伺います。2月4日の読売新聞に「妊産婦孤立させない 中野の助産院拡大移転へ 来院殺到 安らげる場所に」という記事が掲載されました。概要は、「新型コロナウイルス感染拡大による母親学級の休止・縮小などの影響で、出産や子育てに不安を募らせる妊産婦が増えている。中野区のしらさぎふれあい助産院には昨年暮れ頃から、相談に訪れる妊産婦たちが殺到。支援体制を整えようと、近くの施設に拡大移転することを決めた」という内容で、私も院長にお話を伺いましたが、現在クラウドファンディングで整備費を募っているとのことです。

自治体の産後ケア事業を受託している施設の修繕等に対する国・都の補助制度として、妊娠・出産包括支援緊急整備事業がありますが、この制度は区市町村や委託先の施設が所有している施設が対象で、賃貸で運営している施設は対象となっていません。中野区は、この補助事業を活用した事業を実施していないと聞きます。

そこで伺います。都内でこの制度を活用した事業を実施している市や区はあるのでしょうか。

そして次に、区内の産後ケアを行う施設に対して、国や都の制度を活用できない場合でも、中野区が子育て先進区を標榜するのであれば、このような助産院などを支援する事業を行うべきではないんでしょうか。中野区は南部で施設の整備を検討しているやに伺っていますが、北部においても、この助産院を含め支援の検討を行うべきと考えます。また、国や都に対して、賃貸で運営している施設に対しても補助できる制度の整備を働きかけるべきであると思いますが、見解を伺います。

次に、緑と水のまちづくりについて伺います。

これまで私は、中野区には公園面積が非常に少ないことが問題であることを繰り返し指摘し、1人当たりの公園面積が23区内で下から2番目、緑豊かな公園やオープンスペースを増やし、人々が憩え安らぎを持てる空間づくりが大事だと要望してまいりました。そして緑とともに重要なのは、水辺のある空間であります。水辺は人々に潤いと憩いを与え、良好な都市景観を形成する上でも極めて重要な要素であります。魅力ある水辺空間、さらには多様な生物の生息できる環境に配慮したまちづくりを積極的に進めることが、魅力と価値を格段に高める都市形成になっていくことは言うまでもありません。

そこで伺います。区内の公園で池や湧き水、噴水など水辺を生かした公園は幾つあるのか。具体的に公園の名称を挙げていただきたい。

次に、公園以外の、例えば昔から自然に湧き水が出ている水辺や池、沼などが現在の中野にどれだけあるのか伺います。神社仏閣などにあるものは、一部私、思い浮かびますけれども、例えば観光資源や歴史的資源として区内にどれだけあるのか、区は把握しているのか伺います。そして把握していないのであれば、これからは把握し、公表すべきであると思いますが、見解を伺います。

さらに、こうした緑や水を生かしたまちづくりについて、改定中の都市計画マスタープランでは、どのような方針を盛り込んでいるのか伺います。この水辺空間を生かしたまちづくりを積極的に進めることを強く要望します。

次に、人権行政について伺います。

去る2月1日、衆議院において「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」が可決されました。参議院も北京五輪後に決議採択を目指しているとのことであります。共産党独裁体制下の中国の新疆ウイグル、チベット、南モンゴルなどにおけるジェノサイド、これについては多くの国が中国への非難と制裁を始めています。そして、北京五輪についても多くの国がボイコットを行い、我が国も事実上の外交ボイコットを行いました。このような中、我が中野区が北京市西城区との友好事業を行うことは、中野区が中国政府のジェノサイドを問題視しないと表明するに等しい行為です。西城区はその区内に人民大会堂など中国の政府、共産党、軍の重要機関が密集し、中国共産党高級幹部専用住宅街である中南海などが位置し、まさに中国共産党独裁の中枢であり、人権侵害政策の中枢であります。

私は昨年12月20日、竹村あきひろ区議とともに、このような趣旨でこの友好区35周年行事の中止を申し入れましたが、区長は行事を行ったようであり、残念に思います。今年は日中国交樹立50周年に当たりますが、到底これを祝うような状況にはありません。中国独裁の人権状況について、そして我が国国会の決議について、区長の見解を伺います。

そして次に、北朝鮮拉致問題です。北朝鮮人権侵害週間には、昨年も人権週間と重なる期間のみポスター掲示を行い、そして一つよかったことは区のホームページに、「12月10日から16日は北朝鮮人権侵害問題啓発週間です」と題するページを作りました。これは国や都のページともリンクを張るなどいい内容でありましたが、なぜか今は影も形もなくなっています。現在、区のホームページの人権啓発活動というページを見ると、人権週間については詳しくコンテンツが掲載されていますが、北朝鮮拉致問題については1件も掲載されていません。そして「北朝鮮」と検索しても、拉致問題について1件もヒットしない。気持ち悪さすら感じました。北朝鮮人権法に定められた自治体の責務、これは拉致問題が解決するまで、北朝鮮に拉致された国民の最後の一人が帰ってくるまで恒常的に掲示、啓発を続けることが責務となっているのではないでしょうか。見解を伺います。

自治体によっては、幹部職員にブルーリボンバッジの着用が呼びかけられ、全幹部職員が着用している自治体もあります。区長の人権に対する認識が偏り、そして低過ぎると思います。ぜひこのジェノサイドなどの問題、あるいは北朝鮮拉致問題、このような問題について積極的に区としても広報や啓発を行うべきと考えます。令和4年度予算に盛り込んだものは何なのか見解を伺います。

そして啓発に当たっては、これは昨年の第4回定例会で伺いましたが、時間切れで答弁をいただけなかったので改めて伺いますが、中野駅ガード下ギャラリーの壁が老朽化しており、掲示効果を低下させています。ここを塗装や改修、補修など壁面の改修を行い、そしてこの啓発事業を行うべきだと考えますが、見解を伺います。

最後に、町会・自治会の支援について伺います。

中野区は、区内の町会・自治会、そして町会連合会に対し、長年にわたり防災や防犯、交通安全、福祉活動、古紙の集団回収など、様々な地域の公益活動を依頼し、協力を得ています。改めて頭の下がる思いであります。しかし、武漢から始まった新型ウイルス感染症により、活動の抑制、縮小を余儀なくされ、その状況が長引くにつれ、活動の再開と活性化に苦心、苦労する状態になっている町会の活動に対し、区が評価し、再開を期待していることを示す意味からも、財政的支援があれば激励されるとの要望をお聞きします。このような新たな財政的支援措置を検討すべきと考えますが、見解を伺い、全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人)
吉田 議員の御質問にお答えします。

まず最初に、令和4年度予算における育児支援政策についての取組についてです。

令和4年度予算におきましては、子どものセーフティネットを強化するとともに、子育て・子育ち環境や地域全体で子育てを応援するための体制の整備に向けた予算案を編成しております。具体的には、(仮称)中野区子どもの権利に関する条例に基づく救済機関などの設置、教育相談体制の充実、子どもの貧困対策の推進、児童相談所の設置及び子ども・若者支援センター等運営、児童館での一時預かり、ベビーシッター利用支援など実施を予定しております。こうした事業の実施を通じて、中野区基本計画の重点プロジェクトの一つである子育て先進区の実現を図ってまいります。

次に、合計特殊出生率の向上についてでございます。区は、基本計画において、子育て家庭の定住を促進していくために、子ども女性比の増加を目指すことを掲げております。近年、区の子ども女性比は横ばいから減少の傾向にあることから、今後は増加傾向に転じていくことを目指し、安心して子どもを産み、育て、住み続けられる環境の整備を進めてまいります。

次に、子ども関連予算の拡充についてでございます。令和4年度の予算案におきましては、基本計画で掲げる重点プロジェクトなどを重点事項とし、限られた財源を優先的に配分し、子育てや教育関連などの施策を強く推進していくための予算を計上したところであります。今後は、基本計画で示す重点プロジェクトに基づき、子ども関連施策のさらなる充実を図ってまいります。

過去の子どもの関連施策と現金給付についてでございます。過去3年間の子ども関連予算では、様々な新規拡充推進事業に取り組んでいるところでございまして、令和元年度から令和3年度までの3か年で、新規拡充推進事業は74件、予算ベース約618億円、一方、廃止した事業件数は1件で768万円でございます。一律の現金給付などの経済的支援につきましては、その効果や公平性、財政負担などを総合的に勘案していく必要がありまして、今後他自治体の取組等も研究してまいります。

次に、国・都の補助制度活用による産後ケア施設の修繕事例についてでございます。令和3年度に三鷹市と府中市において、妊娠・出産包括支援緊急整備事業を活用した施設の修繕等を実施しており、いずれも委託先の法人が所有している施設の一部改修工事であると聞いております。

次に、施設整備に関する補助制度の検討と要望についてでございます。産後ケア事業を行う施設については、区内における偏在の解消を含め、適切なサービス提供を図ることができるよう、どのような支援が可能か検討を進める考えでございます。また、施設整備に関する補助制度の充実につきましては、賃貸物件も補助対象となるよう、国や都へも働きかけてまいります。

次に、緑と水のまちづくりについて、区内の池や噴水を生かした公園についてで、じゃぶじゃぶ池を除き、池や噴水などがある区立公園は、新井薬師公園、哲学堂公園、紅葉山公園など9公園ございます。

次に、区内の池や沼の把握についてでございます。民有地について、例えば大和町の蓮華寺の池など公開されているものは一定程度把握しているところであります。

次に、都市計画マスタープランと緑と水のまちづくりでございます。改定中の都市計画マスタープランでは、基本的な都市構造として、まちを守り、うるおいを生み出すグリーンインフラの育成強化を図ることとしております。この中で、みどりと防災の環境軸、水とみどりの親水軸の形成など、緑や水辺を生かした都市整備の在り方を示しております。

次に、人権行政についてで、衆議院における新疆ウイグル自治区等の人権状況に対する決議についてです。衆議院において人権状況に対する決議が行われたことは承知をしております。国からの正式見解はまだ示されておりませんが、政府の今後の動向を注視していきたいと考えております。

最後に、北京市西城区との交流についてでございます。北京市西城区とは、1986年の友好区関係締結以降、行政間交流のほかに文化の分野では書道や茶文化など、スポーツの分野では少年軟式野球などを通じた民間レベルでの交流がこれまで行われてきたところであります。昨年12月には、友好区関係締結35周年記念交流事業をオンラインで実施し、その中で友好関係の継続発展に関する覚書を交わしたところでありまして、今後も引き続き交流関係を継続してまいります。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕
○企画部長(高橋昭彦)
人権行政のうち、国際社会の人権問題についての御質問でございます。

北朝鮮の拉致問題の恒常的な啓発についての御質問でございます。北朝鮮拉致問題につきましては、北朝鮮人権侵害問題啓発週間にポスター掲示のほか、区ホームページでの周知を行ったところでございます。北朝鮮拉致問題につきましては、政府の拉致問題対策本部が設置され、恒常的な広報が行われていることを鑑み、区としても恒常的な啓発に取り組んでいきたい、そのように考えてございます。

続きまして、国際社会におけます人権問題に係る予算についてでございます。世界で起きております人権問題については、国の動向を把握しながら情報収集に努め、必要な対応について検討していきたいと考えているところでございます。令和4年度予算に国際社会の人権問題に特化した予算は盛り込んでございませんが、ホームページ掲載等、広報手段を工夫してまいりたい、そのように考えてございます。

もう一つ、ガード下ギャラリーの壁面改善についてでございます。平成9年にガード下ギャラリーについては、JRが壁面塗装工事を実施しておりますが、時間の経過により塗装が劣化してございます。掲示効果を高めるためにも、壁面の改善が必要だと認識しているところでございます。令和4年度予算案では、壁面工事の経費は計上しておりませんが、例えば、今年度区内事業者、JR中野駅と区が連携して、中野駅北口広場前に制作した壁画と同様の手法をガード下で実施できないかなど、壁面の改善に関係機関とともに検討していきたい、そのように考えてございます。

○議長(内川和久)
質問時間は過ぎておりますので、御答弁は結構です。

以上で吉田 康一郎議員の質問は終わります。