令和2年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

議案 認定第1号 令和2年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

討論

○議長(内川和久)
これより討論に入ります。吉田 康一郎議員、山本たかし議員、南かつひこ議員、羽鳥だいすけ議員、渡辺たけし議員、石坂わたる議員から討論の通告書が提出されていますので、順次、通告議員の討論を許します。

最初に、吉田 康一郎議員。

〔吉田 康一郎議員登壇〕
○12番(吉田 康一郎)
育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会、吉田 康一郎です。よろしくお願いいたします。

令和2年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場で討論を行います。

理由の第1は、育児支援政策にあります。先月24日の決算特別委員会の総括質疑において、中野区の過去3年間の合計特殊出生率を伺ったところ、平成29年1.04、平成30年1.00、令和元年0.93と3年連続で下がったとの説明がありました。その質疑において、質疑の前日に放映されたテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」というニュース番組で報じていた関東近県の自治体の出生率を紹介いたしましたが、基準年が若干異なっているところがありましたので、改めて、東京都が昨2020年12月1日に公表した、すなわち最新の報告であります「令和元年(2019年)東京都人口動態統計年報(確定数)」を調べますと、平成29年から令和元年にかけては、東京都全体として見ても出生率1.21から1.15に0.06ポイント低下しています。
しかし、中野区は、もともと低い1.04から0.93と0.11ポイント、すなわち東京都全体の倍近く下がっております。この結果、23区での順位は、平成29年、豊島区と同率で最下位から2番目、平成30年、単独で最下位から2番目、そして令和元年、単独最下位と順位でも下落し、出生率の数値自体の低下には一定の理解ができるとしても、「子育て先進区」を掲げる酒井区政になってから、都内23区26市で最下位に下落いたしました。
そして、中野区の出生率が1を割った令和元年でも、23区で出生率1.3を超える自治体が中央区、港区、江戸川区の3区、1.2を超える自治体は千代田区、荒川区、葛飾区、江東区の4区あります。もちろん26市の平均はもっと高いわけです。

私が予算の審議に当たって、あるいは中野区基本構想や基本計画の策定に当たって、子ども文教委員会において、様々な議会の場において、育児政策に関わる根本的な指標である出生率を基本に据えた上で、エビデンスに基づく政策の実施を求めてきたことを受け止めず、3年間行ってきた区政の結果がこれであります。

次に、決算の認定に反対する理由の二つ目、中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)の再開発事業であります。本年3月の第1回定例会における令和3年度中野区一般会計予算案に対する審議を含め、これまで様々な場で申し上げてきたとおり、区は、区議会に対して重要な数値を全く示さないで今に至るまま、議会の賛成を求め続けてきました。これは、予算特別委員会などこれまでの議会で確認をした事実であります。

まず、定期借地制度、豊島区やほかの区で行っている70年定借などの方式と、土地を売ってしまう、この選択に当たって金額、数値を区議会に示さず、定借という方式は無理だという雰囲気だけをにおわせて、区議会に対し、土地を売ってしまう方式による再開発の計画をどんどん進め、承認を求め続けてきました。
一昨年12月の中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会において、多くの議員が定借制度により得られる前払い地代の算定を区に繰り返し求めたところ、ようやくそれまで一切出さなかった数字を出しましたけれども、それは、区役所の整備費は254億円かかるが、前払い地代は180億円しか得られないという全く誤った金額でありました。算定根拠を聞くと、租税公課だけを算定し、期待収益率を0と置くという、正規の不動産鑑定の方法ではあり得ない算定でありました。

これについては議員有志が日本最大手の不動産鑑定会社に調査を依頼し、ホテルやアリーナなど採算性の低い事業を組み込んでもなお、少なくとも約600億円の前払い地代が得られるとの結果を得て、これを区に提出し、区として正規の不動産鑑定を行うよう求めましたけれども、これを行わず、土地を売り払う開発計画を進め、しかし、議会の要望により、プロポーザルに応じた企業に対し、区が土地を保有する形で事業を行うケースについても考え方を示すよう求めることとなりました。
ところが、今年3月2日の予算特別委員会での選定候補事業者に関する報告の際にもその結果を示しません。選定候補事業者となった野村不動産が従前資産を令和元年の路線価で560億円と評価したということも、私がこの計算で合っていますねと聞き、その計算で合っていると思いますと、こういう形でようやく議会に数字を示しました。
落選した東京建物は、野村不動産より100億円多く従前資産を上積みして算定していました。令和2年、中野区の駅前の土地は15%地価が増加しており、100億円多く区の財産を算定してくれて、それだけの評価をしても事業の採算が取れると、その能力を示しました。これについても、中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会では説明がなく、予算特別委員会で執拗に質問した結果、ようやく公表しました。

議会に対して、議会が判断する際に重要な事項であっても、区は適正な調査をしない、数字を示すということをしない、こういう予算の執行でありました。適正であったと認定することはできません。その他の様々な事業についての決算には賛成であるということを申し述べて、反対の討論といたします。ありがとうございました。