1中野区基本計画について 2武漢ウイルス対策 3在留・在外外国人施策について 4商業振興対策について 5その他

一般質問

1 中野区基本計画について

(1)育児分野について

(2)都市基盤分野について

(3)その他

2 武漢ウイルス対策について

3 在留・在住外国人施策について

4 商業振興対策について

5 その他

○議長(内川和久)
次に、吉田 康一郎議員。
〔吉田 康一郎議員登壇〕
○12番(吉田 康一郎)
育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会、吉田 康一郎です。よろしくお願いいたします。

まず、基本計画における子育て先進区の客観的指標について伺います。

私は、子育て環境が先進的であるかを示す指標として合計特殊出生率など客観的な指標と目標値を設定すべきだと訴えてまいりました。我が区では、現行の10か年計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、「区がめざす将来推計」として、合計特殊出生率の目標を掲げてきましたが、2月に示された基本計画(素案たたき台)では合計特殊出生率の指標はなく、将来人口推計の項目に、子ども女性比の増加と維持が必要であると記載されているのみでした。
そこで私は、新しい基本計画にも現在と同じく合計特殊出生率の目標を提示すべきであるし、あるいは、国立社会保障人口問題研究所が示している理想子ども数や今回の基本計画で用いた子ども女性比について目標値を設定すべきであると訴えてきました。

5月に示された改定素案では、「子ども女性比の一定の維持や出生数・合計特殊出生率の増加が必要です。妊娠・出産、子育て期にあたる20・30歳代が生まれた1980年~1990年代の子ども女性比は、現状値0.135よりも高い水準でした(平均値0.147)。この水準を目指し、さらなる子ども女性比の増加を図る」との記述が入りました。この出生数、合計特殊出生率の増加が必要ですとしたこと、そして子ども女性比について具体的な数値を示したこと、それを目指すとしたことは高く評価します。ようやく数字に基づく議論と検討が行えるところまでまいりました。
しかし、この数値自体は理解しがたいものであります。なぜ今、妊娠・出産、子育て期に当たる20代、30代が生まれた時代の数値を目標にするのか分かりません。今より高かったからというならば、もっと高い時代があったのではないでしょうか。なぜ、一番高い時代の数値を目標としないのか。そして、何より1980年代から1990年代とは、合計特殊出生率が昭和56年で1.17、昭和58年1.22、昭和60年1.18、昭和62年1.12、平成元年1.01、平成3年0.92と年々、今の数値よりも低い水準まで下がり続けた時代であります。
人口置換水準2.07なければ人口は維持ができないところ、1.2から0.9まで下がり続けていった時代の指標を目標として掲げるのはいかがなものでしょうか。その時代の中野区が子育て先進区だったのか、他の自治体より出生率が高かったのかといえば、その時代も全国最低水準でありました。

改定素案には、「この水準を目指し、さらなる子ども女性比の増加を図る」とあります。将来さらなる増加を図るのであれば、当面目指す水準についても先進区という目標にふさわしい水準を示すべきだと考えます。区は、本定例会において基本計画の策定に関する報告を予定しています。子ども女性比の目標値については明確に意欲的な数値の設定が必要と考えますが、区の見解を伺います。

次に、都市基盤分野について伺います。

中野区の道路が狭いという問題について、私は様々な機会に様々な指標を用いて、全国最下位の水準であることを訴えてまいりました。例えば、幅員4メートル以上の道路に接していない住居の比率は23区の平均が27.3%であるのに対し、中野区は37.3%で最下位。全国でも最下位水準です。この道幅が4メートルに満たない狭隘道路が区内の道路の約43%という高い比率を示していることもあります。道路率も23区平均が16.5%であるのに対し、中野区は13.9%であり、下から3番目です。区が様々な施策を用いて努力していることは理解しています。しかし、この中野区の道が狭いという現状の認識と様々な観点から優先して取り組むべき課題であることについて、基本計画の該当分野において明示的に記載していただきたいと思います。区の見解を伺います。

次に、武漢ウイルス対策について伺います。

自宅療養者については、様々、他の議員の議論がありましたので割愛させていただき、後遺症について伺います。

世田谷区が武漢ウイルスに感染した区民約9,000人を対象にして実施した後遺症に関するアンケートがあります。3,710人から有効回答があり、そのうち後遺症があると回答した人が1,786人、48.1%であったと報じられています。症状、年齢など、内容の詳細についてはこの場で触れませんが、数千人規模の調査は全国でも珍しく、貴重な調査結果であるとのことであります。区としてこの48.1%の方が後遺症があったと、このように回答している、これをどう受け止めているか。そして今後の対応を含めて伺います。

次に、在留・在住外国人対策について伺います。

9月3日、「中国当局が米国在住のウイグル人をハッキングしているとFBIが警告、一般にも捜査協力求める」というタイトルの報道がなされました。FBIは、中国政府関係者がトランスナショナル・リプレッション(国境を越えた抑圧)を行っていると警告しています。これは外国政府が国境を越えて物理的、デジタル的な手段で国外の居留者・居住者や亡命コミュニティのメンバーを脅したり、口止めしたりすることを示す言葉です。
FBIは、共産党独裁中国政府が直接訪問とデジタル戦略、両方の手法を使って米国在住のウイグル人、チベット人、法輪功修練者、台湾、香港の活動家など難民や反体制派の人たちを脅迫し、口を封じ、嫌がらせ行為を行い、中国政府への服従を強要しようとしていると警告しています。
従わなかった場合の脅しとしては、米国在住者の家族や友人、中国国内での拘束、中国国内の資産の差押え、継続的なデジタル及び対面での嫌がらせ、中国政府による強制送還の試み、コンピュータや携帯電話のハッキング、デジタル攻撃、オンラインID乗っ取りなどが日常的に行われているとFBIは警告しています。
そして、このような国境を越えた抑圧活動は、米国の法律や個人の権利を侵害するのですと指摘し、米国の法執行機関職員及び一般市民に対して、中国政府による嫌がらせの疑いがある事件を報告するよう求めています。

この共産党独裁中国政府による国境を越えた抑圧は、我が日本国内においても平然と行われています。例えば、昨年10月19日の西日本新聞は、「スパイ行為を要求」、「家族を人質に」、「在日ウイグル人に中国の抑圧」という記事を報じました。その中では、「中国・新疆ウイグル自治区出身で、今は日本に暮らす少数民族ウイグル族が中国当局の圧力にさらされている。当局側は故郷に残る家族を“人質”に取り、日本で反中国活動に関わるウイグル族組織の情報を流すよう『スパイ行為』を要求。自治区に住む両親が収容施設に送られ、仕送りを断たれた留学生もいる。中国の抑圧政策が在日ウイグル社会にも影を落としている」と書き起こし、具体的な事例を生々しく紹介しています。

この記事で紹介されている。ハリマト・ローズさんは、現在日本ウイグル協会の理事を務め、在日ウイグル人社会の代表として活動しています。私は2008年6月、今から13年前の日本ウイグル協会立ち上げに関わって以来、在日ウイグル人の支援に取り組んできました。現在は、ウイグルを応援する全国地方議員の会の理事長を拝命し、地方議員の有志の皆様、仲間とともに活動を続けており、中国国内、そしてまた日本においてウイグル人が置かれている状況について、直接当事者たちから聞く機会を得ています。
過去には、日本ウイグル協会の初代会長が、えたいの知れない中国人に襲われたときには、夜いきなり支援者から連絡があって、被害者である当人を私が身元引受人となって品川の高輪警察署に迎えに行ったこともあります。
ウイグル人や南モンゴル人、チベット人は我が国の入管難民法では中国籍の中国人として取り扱われていますけれども、実際には中国政府に保護されているのではなく、抑圧され、本人も親戚も命の危険にすらさらされています。
この現実に鑑み、議員の会では、在留カードの国籍・地域欄に、中国の新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区と香港の記載を認めるよう、国に入管難民法の政令改正を求める等の活動を行っており、去る8月28日には、この感染症の状況でオンライン上ではありますけれども、上川陽子法務大臣に直接面談し、要望を行いました。また、去る6月15日には、この議場におられる同僚議員各位の御賛同により、中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書を可決していただき、中野区議会としてこの問題について明確な意思表示をしていただき、感謝にたえません。実際に住民を預かる中野区としても、人権侵害を受けている事実上の難民に対して支援する姿勢が必要だと考えます。

そこで、まず、区では難民を把握しているのか。次に、区における難民の所管はどこか。そして最後に、区長は、現在策定中の基本計画においてもSDGsの推進を掲げています。そのような立場であるならば、入管難民法に自治体の責務が明示的に定められていないとしても、経済的な利益を求めてではなく、ウイグル人などのように、政治的な理由により帰国できない区内の居住者が支援を求めてきたときに、これを支援することができる区であることが必要であると考えますが、区の見解を伺います。

最後に、生活応援事業について伺います。今月1日から30日まで、生活応援事業のキャッシュレス決済によるポイント還元事業が行われています。第2回定例会において、都の補助金事業は、キャッシュレス事業だけではなく、紙のプレミアム付商品券への補助と併用する事業も用意されていること、そして昨年我が区が実施したプレミアム付商品券事業は、区商連からも、消費者の区民の方々からも評判がよく、また実施をしてほしいとの要望も寄せられていることから、紙の商品券事業の検討をお願いいたしました。

本事業について、他区の状況を伺うと、23区中、紙の商品券事業も実施した区が17区、しなかった区は中野区を入れても6区でありました。おおむね4分の3の自治体が実施し、4分の1の自治体が実施しなかったということであります。
キャッシュレス化は、中長期的には進むものと考えますけれども、現状としてはスマホのポイント還元を使いこなせる一部の人しかプレミアム分の恩恵を受けることができないこと、また、決済システムの個人情報保護等のセキュリティにいまだ懸念が払拭できないことなど課題があります。
他方、紙の商品券事業については、費用、事務処理等の問題があることを重々理解しています。そこでこの費用の削減、業務委託の在り方など、障害となっている問題の改善・解決に向けて、区として研究・検討していただきたいと思いますけれども、見解を伺い、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人)
吉田 議員の御質問にお答えいたします。

初めに、中野区基本計画についてで、子ども女性比の目標値についてでございます。近年、中野区の子ども女性比は横ばいから減少の傾向にあることから、今後は増加傾向に転じていくことを目指し、基本計画(案)において目標値を設定しているところでございまして、適切な目標値だと考えております。子育て先進区の実現に向けて子育て家庭の定住を促進していくためにも、子ども女性比の増加を目指すものでございまして、そのために必要となる環境や経費等を考慮しながら着実に取り組んでいく考えでございます。

続きまして、狭隘道路が多い中野区の現状についての記載についてであります。基本計画、施策42、防災まちづくりの推進におきまして、狭隘道路が多い中野区の現状は、まちの課題の大きな要因となっております。このため、区民にその現状を知っていただくことは極めて重要であることから、中野区の管理道路の構成は4メートル未満の狭隘道路が占める割合が最も高いこと、これについて追記を検討してまいります。

次に、後遺症に対するアンケートや今後の対応についてでございます。世田谷区において、新型コロナウイルス感染症の後遺症に関するアンケートが行われ、幅広い年代において出現率が高かったことについては把握をしております。この結果につきまして、本年2月に国立国際医療研究センターから報告されたものと同様であることから、本区においても同じ状況であると認識をして相談対応を充実してまいります。後遺症の症状は個別性も高く、その治療は長期間にわたることもあるため、相談窓口を設置している都立・公社病院だけでなく、身近な医療機関においても対応ができることが望ましいと考えます。区としては、これまでの後遺症に関する知見を分かりやすくホームページに掲載するとともに、区医師会と連携して受診しやすい環境を整備してまいります。

次に、外国人難民の把握についてでございます。区では、外国人の住民登録手続を在留カードに記載されている内容に基づいて行っておりますが、この在留カードには、難民であるかどうかの記載がございません。こうしたことから、区として外国人が難民であるかどうかというのは、直接は把握はできていないところでございます。

次に、外国人難民の所管部署と区の支援についてでございます。難民については、専門に対応する部署は設置しておりません。難民を含め、区に在住する全ての外国人住民が安心して暮らすことができるよう支援をしてまいります。

最後に、紙の商品券事業の検討についての御質問です。プレミアム付商品券事業は、中野区商店街振興組合連合会への補助事業でございまして、区内の消費喚起策としてこれまで4回実施をし、一定の成果を上げてきております。しかし、紙の商品券には、印刷、販売、在庫管理、集計、コールセンター設置等の事務経費が多額になる上に処理に時間がかかる、余剰金が発生するといった課題がございます。また、利用者にとっては、お釣りが出ない。購入場所、時間等の制約が生じるなど使い勝手の問題もございます。新型コロナウイルス感染症対策として、新しい生活様式が求められていることもあり、区としては区内商業施設における決済の電子化を進めていく考えでございますが、高齢者や零細な事業者など、すぐにはデジタルへの対応が難しい方々に対しても十分配慮をしながら、商品券事業の在り方について研究してまいります。

○議長(内川和久)
以上で吉田 康一郎議員の質問は終わります。