1武漢ウイルス(新型コロナウイルス)対策について 2その他

一般質問

1 武漢ウイルス(新型コロナウイルス)対策について

(1)避難場所・避難所について

(2)9月入学制について

(3)二足制について

(4)区の対策組織の在り方と物品調達の在り方について

(5)その他

2 その他

○議長(高橋かずちか)
次に、吉田 康一郎議員。
〔吉田 康一郎議員登壇〕
○12番(吉田 康一郎)
一人会派となりました政治団体であります、育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会、[4]吉田 康一郎です。

本日は、武漢ウイルス(新型コロナウイルス)対策について、伺います。

質問の順番を一つ入れ替えまして、9月入学制については時間が残れば最後に質問いたします。

まず、避難場所・避難所について、伺います。

先般、内閣府から、避難所における武漢ウイルス感染症への対応について、示されました。本通知には、避難所の密を回避するため、指定避難所以外の避難所の指定や避難所におけるソーシャルディスタンスの確保等について助言があったところであり、現在、区でも対応方針について検討していると伺っています。

そこでまず、震災時を想定した場合、避難者一人当たりの避難スペースは、都が示す基準、避難所で1.65平米、避難場所で1平米が確保できているのか、伺います。

次に、同通知では、避難所のソーシャルディスタンスとして、できる限りの範囲での対応と前置きをしつつ、人と人との間隔や避難スペース間の間隔を1メートル以上確保するよう推奨しています。

そこで、区が確保している避難所や都が指定している避難場所の避難有効面積から試算すると、この推奨を満たした場合、充足率はどのくらいになるのか、伺います。

都市部では、国が推奨する避難所のソーシャルディスタンスの確保が難しいことは理解できますが、各会派から、避難所における対策について、種々早急の対応が求められており、私も賛同、そしてお願いするところであります。一方、避難場所については、東京都が指定するため、区として具体的な対応が困難であることは承知していますが、これからの避難所や避難場所は、今回のパンデミックの知見を踏まえ、これまでとは全く異なる危機管理の視点や避難者の安全と生活を考えた空間確保が求められています。そのため、今回の武漢ウイルス等の感染症予防を考慮した視点から、避難場所の拡充について都に必要な働きかけを行っていくことも必要と考えますが、見解を伺います。

ソーシャルディスタンスは、避難所と避難場所の計画に、そして中野区が様々な公共施設の配置や公園やオープンスペース等の基盤整備計画、例えば、区の政策の柱となる基本構想・基本計画策定を考えるに当たっても考慮しなければならない、新たな危機管理の視点であります。東京都に深く強く働きかけるとともに、区の危機管理行政を進めるに当たっても真剣に、例えば地震と疫病といった複合災害の際にも区民の命と生活と安全を確保できる取組を実践していただくよう強く要望します。

次に、二足制について、伺います。

本年4月10日、CDC(米国疾病管理予防センター)の専門誌「Emerging Infectious Diseases」電子版に新しい研究結果が発表されました。中国・武漢でウイルス感染者を収容した病院のウイルス汚染状況を調査したところ、コンピュータのマウス、ごみ箱、手すりなど広範にウイルスが検出された中で、特に問題となったのが床であり、集中治療室で働く医療従事者の約半数が靴底で武漢ウイルスを運んでいることが分かりました。この結果から、論文では、医療スタッフの靴底は保菌物として機能するかもしれない、患者がいる病棟を出る前に靴底を消毒することを強く勧めると注意喚起がされています。

3月25日の「Huffingtonpost UK」誌でも、人口の多いエリアや職場で履いた靴が汚染源になる可能性が高いとし、同記事で公衆衛生の専門家は家へ入る前に玄関で靴を脱ぐことを推奨しています。こうした研究を受け、日本の感染者数、死者数が外国に比べて少ない一因として、玄関で靴を脱ぐ日本古来の習慣がある可能性があると指摘されています。

現在、教育委員会が進めている小・中学校施設整備計画では、今後建て替えを行う小・中学校は上履きを用いない、一足制の校舎を整備していくこととしていますが、これらの研究結果から、一足制による学校整備に大きな危惧を感じています。

東日本震災に際しても、先人の知恵を無視して、海辺に家を建て、まちをつくり、痛ましい大きな犠牲が出ることとなりました。国が設置した新型コロナウイルス感染症専門家会議の提言を受けて、新しい生活様式への切替えが求められている中、教育委員会においても、このコロナ以前に策定された旧来の計画に固執することなく、二足制についても感染症対策という新たな物差しによる見直しを行い、高温多湿のこの国土の中で先人が選び取ってきた、二足制による学校整備を再検討するべきと考えますが、教育委員会の見解を伺います。

次に、区の感染症対策組織の在り方と物品調達の在り方について、伺います。

今回の感染症対策のための物品の調達について、区全体として、部門間の調整が十分に行われず、一体的・効率的に行われていない点があると感じています。今回調達が行われる、また行われてきた物品として、空気清浄機、非接触型体温計、マスク、消毒液、手袋、窓口や各課の執務室等の飛散防止のためのアクリル板パネル、ビニールシート等がありますが、各部からおのおの購入するのではなく一括購入することで、スケールメリットにより単価が下がることや事務の集約、入札が行われ、透明性・公開性が分かりやすく確保できることなどが想定されます。
物品購入は、80万円以上で区長契約、指名競争入札もしくは業者指定、80万円以下で主管課契約、随意契約と理解していますが、区民から随契にするために分割して購入しているのではないかと意図せざる疑念を抱かれるおそれもあります。文房具等について用品の集中購買制度を実施していた時期もありますが、今は廃止されたとも聞いています。文房具のように日々消耗する物よりも、今回の感染予防物品のように一度に大量に調達するような場合はより一層、各課がそれぞれ同じような検討と作業をするのではなく、全庁まとめて一括調達ができる体制を構築することが必要だろうと考えます。飛沫防止のビニールシートとアクリル板パネルの設置も各課の努力に依存する面が大きく、専門的な防疫の知識がある人のチェックがあったわけでもないことが分かりました。
初めての感染症対策でやむを得ない点があることはもちろんありますが、次も同じことの繰り返しであってはなりません。しかし、今の中野区には、感染症対策に関する調達について全庁を調整して一括調達を行える仕組みがそもそもありません。限られた区の予算と人員の中で、アメリカのFEMAのような組織をつくれとは言いませんが、感染症対策が必要なときに組織が素早く立ち上がり、担当部局が適切に予算や全庁調整を行うための権限や人員を確保でき、機能できるよう、今回の事態を契機に、実際に物品の調達の一括調達を実施すべきと考えますが、見解を伺います。

次に、育児支援について、伺います。

政府は、5月29日の閣議で、今後5年間の少子化対策の指針となる第4次少子化社会対策大綱を決定しました。大綱は、希望出生率1.8を今後5年間で実現する目標を明記しました。2018年の合計特殊出生率は1.42にとどまっていますので、希望出生率1.8という目標を改めて提起したことは、人口置換水準2.07には及びませんが、我が国の将来を真剣に考えた使命感ある決定であり、評価したいと思います。

中野区は、全国でも最も出生率の低い自治体の一つであり、酒井区長は子育て先進区を目標として掲げています。私もそれに意を強くして、我が区の育児環境全体の底上げを図るため、区独自の子ども手当を創設するなど、欧州に比べて最も不足している現金給付による支援を提案してきたところでございます。

今回の武漢ウイルスという事態に直面をして、育児世帯が特に大変だということで、国とは別に独自の現金給付に取り組んでいる自治体があります。兵庫県明石市はひとり親家庭支援として児童扶養手当の対象に5万円を給付、神戸市など児童手当の対象に国の給付金とは別に1万円を給付、千葉県八千代市は今年4月から来年3月31日に生まれた新生児の保護者に1万円を給付、23区では、目黒区、北区、練馬区は児童扶養手当の対象者に5万円を給付、板橋区は児童育成手当の対象者に現金給付、品川区はこの1日、育児世帯支援ではありませんが、全区民に一人3万円、中学生以下には一人5万円を給付すると発表しました。
子育て先進区を掲げる我が区は、育児世代への支援として、他の自治体の取組を参考に、区独自の現金給付に取り組むべきだと考えます。育児世代の生活不安が高まっている今だからこそ、国の制度に頼るのみならず、区独自の支援策に力を入れて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

時間となりましたので、質問は以上で終わります。

〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人)
吉田 議員の御質問にお答えいたします。

まず1点目に、避難者一人当たりの確保面積ということで御質問がございました。震災時における区内の避難想定者数は約5万人と東京都地域防災で計画されております。国の指定避難所は、避難有効面積を約10万平方メートル確保していることから、一人当たり約2.2平方メートルを確保しているところでございます。一方、広域避難場所は、隣接自治体からの避難者を含め約54万人の収容を想定しておりまして、都の地域防災計画では広域避難場所の避難有効面積は約81万平方メートルを確保していることから、一人当たり約1.5平方メートルを確保しているものと認識しております。

次に、社会的距離を踏まえた確保面積と充足状況でございます。ソーシャルディスタンスを踏まえた避難所の一人当たりの必要避難スペースは通常の約3倍の5.35平方メートルとなり、避難想定者数を必要避難有効面積で除した充足率は約40%となります。一方、広域避難場所は、一人当たりの必要避難スペースが4平方メートルとなり、充足率は約37%になると認識しております。

避難場所の拡充についての都への働きかけということでございます。国や都の動向を注視しつつ、今後都が実施する広域避難場所の指定見直しに合わせて、広域避難場所や避難有効面積の拡充について必要な申入れをしてまいりたいと考えております。

次に、物品調達の在り方についての御質問です。今回の物品調達に当たりまして、感染拡大期におきましては、マスクや消毒液をはじめとする様々な物資は全国的な流通量の不足によって一括調達が極めて困難であったことから、個別に調達可能な物品について各所管で対応を図ったものでございます。現在も全庁的に必要となる物品については取りまとめて購入できるよう調整しているところでございまして、今後のコストやスケールメリットなどの観点から適切に物品購入ができるように取り組んでまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕
○教育長(入野貴美子)
私からは、二足制についての御質問にお答えいたします。

教育委員会では、新しい時代の新しい学校を整備する上で、今後の新校舎に備えるべき教育環境の一つとして一足制を導入することとしております。一足制により校庭と教室の間を円滑に移動できることとなり、教育活動の効率性が向上するほか、災害時等における安全な避難が可能となるなど安全性の向上につながり、また特定の昇降口以外でも出入りが可能となるなど利便性の向上についても期待できるものと考えております。

新型コロナウイルスの感染症の拡大防止に当たっては、一足制校舎であろうと、二足制校舎であろうと校舎内の消毒を定期的に行うことが肝要であり、加えて、児童・生徒、教職員の手洗い、うがい等の励行を徹底するなど衛生管理を強化してまいります。/dd<>

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕
○子ども家庭支援担当部長(小田史子)
私からは、子育て世帯の支援策について、お答えいたします。国では、子育て世帯の金銭的な不安を軽減するため、子育て世帯への臨時特別給付金の支給や困窮するひとり親家庭の現金給付等の取組を進めているところでございます。一方、区は、住民に最も身近な自治体として、地域の実情に合ったきめ細やかな支援策に取り組むことが重要であると考えており、迅速に就学援助世帯に対し、区立小・中学校の臨時休業期間の昼食費相当額を支給するなどの取組を行ってまいりました。今後も国の現金給付などの施策を踏まえつつ、子どもと子育て家庭の生活状況等をしっかりと把握し、地域の実情を踏まえた支援策に取り組んでいきたいと考えております。
○議長(高橋かずちか)
以上で吉田 康一郎議員の質問は終わります。