総括質疑

総括質疑

〇山本委員長
 次に、吉田 康一郎委員、質疑をどうぞ。
〇吉田 委員
 育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会の吉田 康一郎です。よろしくお願いいたします。
まず、私からは、中野区基本構想・基本計画、男女平等基本条約等について伺います。
区長は、2018年第2回定例会の施政方針説明において、他の事項に続けて、国籍等によって分け隔てられることなく、多文化共生を推進する、差別のない地域社会づくりを進めますと述べています。
区は、中野区基本構想・基本計画、男女平等基本条例の改正案について検討を進めており、本年1月31日には、男女共同参画、多文化共生等の推進に向けた今後の取組についてが出され、この中で、国籍等を理由とする差別や偏見等は根強く、「国籍等を理由とする差別的取扱いや、あらゆるハラスメント等を根絶し」と記載され、中野区男女平等基本条例の改正の項で、多文化共生等の推進における指針として位置付け、国籍等を理由とした差別的取扱いの禁止について新たに規定するとし、さらに、(仮称)男女共同参画多文化共生推進審議会を設置する等としています。
そこで、国籍という点について、絞って伺ってまいります。
今から10年前の2010年10月16日、今も首相を務めるアンゲラ・メルケルドイツ首相は、ドイツの多文化主義は完全な失敗だったと講演で断言しました。ポーランド系の先祖を持ち、移民の受入れに寛容で、国際協調を重んじ、リベラルな政治姿勢で国内外をリードしたメルケル氏と、朝日新聞に評されるメルケル氏でありますが、ドイツに多文化社会を建設するという試みは完全な失敗だった、そして、この30から40年の失敗は、すぐには穴埋めできないと訴え、その上で、移民はドイツ語を学び、ドイツ社会に融合しなければならない、すぐにドイツ語を話せない人は誰一人歓迎されない、ドイツ社会で生きていくなら、法に従うだけでなく、私たちの言語を習得しなければならないと言い、世界に大きな反響を呼びました。
ドイツでは、この発言に先立つ2005年に移民法を制定しました。それまでにドイツ社会から遊離した移民による並行社会が形成されつつあり、これが将来のドイツ社会に脅威を与えるおそれがあることから、移民をドイツ社会に統合することが不可欠であるとの認識の下、移民にドイツ語教育やドイツの社会、歴史などを学ぶ市民教育を統合講習として受講を義務化し、移民の社会統合を目指し始めました。これを統合政策と呼びます。
同時に、この移民法には、特別な危険、またはテロの疑いがある外国人に対する入国制限と退去強制令が盛り込まれました。これにより、既に入国している外国人に対し、事実に基づく危険予測に基づいて国外退去を命じることができるようになりました。多文化共生政策から統合政策への転換、しかし、これでドイツ社会の深刻な分断が簡単に解決されたわけではないことを後に述べます。
次に、2011年2月6日、イギリスの当時の首相であったキャメロン首相は、ミュンヘン安全保障会議において、国内の若いイスラム教徒が過激思想に走るケースが相次いでいることを念頭に、イギリスでの多文化主義は失敗したと述べました。多文化主義国家のドクトリンは、様々な文化が互いに干渉せず、主流文化からも距離を置いて存在することを推奨してきました。そうしたいわば隔離されたコミュニティが我々の価値観と正反対の行動をとることすら許容してきましたとし、異なる価値観を無批判に受け入れる受動的な寛容社会であってはならないとしました。これをTBSは、多文化主義は同化を妨げてきたとの認識に立ったものですと報じています。
イギリスの一つの現実を示す事例として、CNNが報じたのが、アンジェム・チャウダリーというロンドンを拠点に活動するイスラム教の指導者が率いるイスラム系移民たちが、イギリス、ひいては世界中にイスラム国家を樹立することを目的に、イスラム法シャーリアをイギリスで施行するよう要求し、バッキンガム宮殿をモスクに変えるよう主張し、エリザベス女王はイスラム教に改宗するか、イギリスを去るかどちらかだという活動をしています。
本年1月31日、イギリスは正式にEUを離脱しましたけれども、多くの専門家が、この離脱の理由は、他国からの移民の急増が大きな要因として挙げられるとしています。
次に、最も早くから多文化主義政策を進めてきたオランダです。例えば、ヒンズー教やイスラム教系宗教学校など、マイノリティたちによる言語や文化の民族教育は、国が全額補助しました。国営放送のテレビやラジオの放送時間の20%は、民族マイノリティ向けの番組に充てることが法律で義務付けられるなどしていました。さらに、民族コミュニティ内の自治を認め、国は一切干渉しないこととしていました。しかし、それらの多文化共生政策がもたらしたものは、国の中に移民の別のルールの国がたくさんできるという結果でありました。オランダで移民について批判的な言論がタブーであった2000年、大きな反響を呼んだ記事、多文化のドラマというものを書いたアムステルダム大学教授のポール・シェファー氏は、移民政策の失敗が社会不安を引き起こす最大の脅威となっていると指摘し、多文化主義は完敗したと結論づけました。人口構成の大きな変化の結果、オランダの最大都市アムステルダムや第2の都市ロッテルダムでは、人口の半分が移民出身となっていて、アムステルダムの学校の子どもの3分の2が移民家庭の出身です。イスラム教はオランダ第2の宗教になり、異なる価値観や文化を持つムスリムコミュニティをホスト社会にどう融合させるのか、どうやって共に生きていくのか、多くの人が懸念しています。
パリ、ブリュッセル、ベルリン、ロンドンなど欧州中で、イスラム系テロが発生するので、その懸念が強まるばかりだとしています。ホーム・グロウン・テロリズムの温床になっているというわけです。
かつてアムステルダムが同性愛者に対して非常に寛容であった、しかし、今は、まちじゅうでこれまでどおりに同性愛者であることをオープンにはできなくなったと言います。同性愛者への暴力事件が発生するからだ。これは、英国のロンドンやバーミンガムでも発生している。学校ではホロコースト、ユダヤ人大虐殺について教えることが難しくなっている。ムスリムの子どもたちが、ホロコーストは起きなかったと言うからだ。起きたということを認める子どもも、非常によいことだったと言ってしまう。生物を教えることも難しくなった。ムスリムの子どもたちは進化論を否定するからだ。性教育も同様だ。親が性教育の教科書の一部を破り捨てるからだ。男女共学も嫌がる親がいる。中東やアフリカの伝統的社会から来た移民たちの中には、個人の自由や人権よりも、グループの伝統を重んじて、彼らの慣習が法的に問題となっている。一夫多妻や、女性性器の割礼、名誉のための殺人、これはすなわち家族や地域の名誉を傷つけたとして、レイプ被害者などを殺害してしまう、こういったものです。
また、LGBTなど性的マイノリティへの暴力も起きている。パレスチナ、イスラエルの紛争の国際問題に触発されて、露骨な反ユダヤ主義を唱え、殺傷事件を起こすイスラム教徒も後を絶たない。こうした異文化は、一般市民の反発を買い、そして過激なマイノリティに対して弱腰な政府への不信、国としての結束、信頼と文化の違いという二つの理念のバランスがとれなくなってしまった。
さらに続きます。
カリスマ的政治家、リム・フォルタインは、オープンなゲイで、元は左派の大学教授だったけれども、反イスラム活動家に転向した直接の原因は、イスラム系移民によるゲイへのハラスメントだったと言われています。彼の政党は、2002年に総選挙で政権奪取することが予想されていましたが、党首自身が熱狂的動物愛護者によって暗殺され、実現しませんでした。このフォルタインの暗殺と、2004年の映画監督、テオ・ファン・ゴッホの2人の殺害事件を契機に、オランダ世論は決定的に転換しました。
ありのままでという多文化主義が行き詰まり、オランダ政府も方向転換を余儀なくされました。国としての結束を重視し、移民に対してシビック、公民としての自覚を持たせるように、政策はシフトしています。例えば、市民権取得テストに、オランダ国憲法や政治制度、歴史など、公民基礎知識の問題が加わりました。また、生活保護を申請する移民や外国人には、オランダ語や文化についての集中講義を義務付けました。永住を希望する移民、入国後3年以内にオランダ文化についての有料の試験に合格しなければならない。一方、マイノリティの社会統合を阻害していると批判の多かった民族教育への助成金普及制度も、2004年に打ち切られました。小学校でのバイリンガル授業も全廃されました。また、2011年には、ブルカの禁止を閣議決定しました。フランスと一緒です。マイノリティの文化や宗教の自由を規制する方向に転換していることが明らかです。
次に、デンマークの事例、これは時間の関係で省略します。
政治学者の施光恒九州大学教授が、欧州が移民受入れで国が壊れた4ステップが、認識の甘い日本にもこれから同じことが起きると指摘しています。
以下、欧州が大量の移民受入れによってどのような深刻な社会問題が生じたかを描いたイギリスのジャーナリスト、ダグラス・マレー氏の「西洋の自死、移民・アイデンティティ・イスラム」の施教授による解説を紹介します。
欧州諸国は、戦後、移民を大量に受け入れた。そのため、欧州各国の国の形が大きく変わり、私たちの知る欧州という文明が自死の過程にある――自死というのは、自ら死ぬですね――とマレー氏は警鐘を鳴らします。イギリスで出版された原書は350ページを超える大著であるにもかかわらず、ベストセラーとなった。その後、欧州を中心に23か国語に翻訳され、話題を巻き起こしている。
著者は、同書の冒頭に、次のように記します。欧州は自死を遂げつつある。少なくとも欧州の指導者たちは自死することを決意した。結果として、現在欧州に住む人の大半が、まだ生きているうちに欧州は欧州でなくなり、欧州人が家、ホームと呼ぶべき世界で唯一の場所を失っているだろう。
この書では、イギリスをはじめとする欧州諸国が、どのように外国人労働者、移民を受け入れ始め、そしてそこから抜け出せなくなったのか。その結果、欧州や文化がいかに変容しつつあるか。マスコミや評論家、政治家などのインテリの世界で、移民受入れへの懸念を表明することがどうして半ばタブー視されるようになったか。彼らがどのような論法で、一般庶民から生じる大規模な移民政策への疑問や懸念を脇にそらしてきたかなどを詳細に論じています。
イギリスをはじめとする欧州各国では、大量移民の影響で、民族構成が大きく変わっています。各国のもともとの国民、典型的には白人のキリスト教徒ですが、これは少数派に転落していっています。2011年のイギリス国勢調査で、ロンドンの住人のうち、白人のイギリス人が占める割合は44.9%、ロンドン33地区のうち23地区で白人は少数派です。2014年にイギリス国内で生まれた赤ん坊の33%は、少なくとも両親のどちらかが移民です。オックスフォード大学のある研究者の予測では、2060年までには、イギリス全体でも白人のイギリス人は少数派になると指摘されています。
スウェーデンでも、今後30年以内に、主要都市で全てスウェーデン民族は少数派になると予測されています。国全体としても、スウェーデン民族は、現在生きている人の寿命が尽きる前に少数派になると推測されています。
民族構成が変わるだけでなく、欧州諸国の文化的、宗教的性格も変容します。イギリスのキリスト教徒の割合は、過去10年間で72%から59%に減少し、2050年までには国民の3分の1に減る見込みです。2016年にイギリスで生まれた男児のうち、最も多かった名前がモハメッドでした。
同様に、ウイーン人口問題研究所は、今世紀半ばまでに15歳未満のオーストリア人の過半数がイスラム教徒であろうと予測しています。それ以降、オーストリアはイスラム国家になる可能性が高いということであります。
欧州諸国でイスラム教徒の影響が増大することは、宗教や文化が大きく変容するだけでなく、政治文化が変わることも懸念されます。欧州が伝統的に育んできた言論の自由や寛容さが失われるという懸念です。従来、欧州の知識人は、移民出身者であっても、欧州で長年暮らすうちに自由民主主義的価値観になじみ、それを受容すると想定しました。しかし、そうはならなかった。そして、欧州では、イスラム教徒に対する批判を行うことは既にかなりハードルが高くなっています。批判者は人種差別主義者、排外主義者などのレッテルを貼られ、社会的地位を失いかねない状況になっている。イスラム教徒の利害を守る圧力団体が欧州各地で数多く組織化されていると言います。あるいはシャルリー・エブド事件など、イスラム教に不敬を働いたという理由で襲撃される事件も、さほど珍しいことでなくなりました。
本書を読むと、移民の大規模受入れに至った欧州の状況は、現在や近い将来の日本によく似ているのではないかと感じざるを得ないと、この施教授は言います。そして、欧州諸国の移民大量受入れの推進をした者たちの論拠は、次のようなものでした。移民受入れは経済成長にプラスである、少子高齢化では受け入れるしかない、社会の多様性が増すのでよい、グローバル化が進むので仕方がない、止められない。著者は、これらの論拠について一つひとつ証拠を挙げながら反駁し、どれも説得力がないものだと示しています。
そして……
〇山本委員長
吉田 委員、質疑をどうぞ。
〇[6]吉田 委員
質疑、やりますよ。
説明をはしょりますけれども――この施教授の指摘、四つの指摘というのは、次のようなものです。
学者やマスコミは、政治的な正しさ、ポリティカルコレクトネスに過敏になり、移民受入れに肯定的な見解や調査結果は積極的に報じる一方、否定的なものは報じない。そして、移民の受入れは財政的に大きなマイナスだなどという研究結果は報道されない。そして、移民の犯罪についても、人種差別だというレッテル貼りを恐れて、警察もマスコミもはっきりと犯人の社会的属性や事件の背景などを発表しなくなる。そして、移民受入れを懸念する動きが一般国民に広がると、ことごとく極右排外主義、人種差別など攻撃する。問題そのものではなく、問題が引き起こす症状のほうを攻撃するようになる。こうしたことが続く結果、エリートと一般国民の間の意識のずれがますます大きくなり、国民の分断が生じるというわけであります。
そして、この施教授の指摘は、現実に日本にも懸念がされるんですけれども、日本が学ぶべき事件を二つ確認したいと思います。
英国のロザラム児童性的搾取事件とドイツのケルン大みそか集団性暴行事件です。この二つの事件を中野区が把握、理解しているか、伺います。
〇杉本企画課長
委員が指摘する二つの事件は、児童や女性に対する人権侵害が行われた事件であるというふうに認識をしております。
〇吉田 委員
大変短い把握ですけれども、このロザラム児童性的搾取事件というのは、1997年から2013年という16年にわたって――16年間ですよ――イギリスのサウスヨークシャー州ロザラム及び近郊都市において広範に組織化された児童性的虐待事件です。主にイギリスに住むパキスタン系住民の男性たちの集団により、少なくとも1,400名の児童が性的虐待を受け続けていたと推定されている事件です。報告された虐待には、児童に対する強姦、集団強姦、誘拐、拉致、拷問、人身売買が含まれていました。この事件は、白人の少女への虐待が問題となりましたけれども、アジア系の少女たちに行った性的暴行はほとんど表沙汰にならず、泣き寝入りし、問題はより大きいと見られています。

そして問題なのは、この問題を人種差別だと批判されることを恐れた地元の警察当局や、問題を把握しながら、長年問題を放置し続けてきた同州の政府の怠慢があり、さらに同州の議会議長を含むパキスタン系地方議員らが、人種差別や反移民などの分断を招くとして、問題の解決を妨げてきたと指摘されていることです。

そして、ケルン大みそか集団暴行事件というのは、2015年の大みそか、ドイツのハンブルグ、ケルンその他において、アラブ人、北アフリカ人を主体とした1,000名による、女性に対する強姦を含む集団性的暴行、強盗、そして被害者のほとんどが10代から20代前半の女性であったという事件であります。この事件についても問題なのは、事件があった翌日の1月1日元旦、ケルン警察は、おおむね平安であったと発表し、そして翌週になるまで事件についてメディアに公表をしなかった。そして、ドイツ当局は、4日間にわたり事件を隠蔽しようとした。そして、ドイツ公共放送、第2ドイツテレビは、事件から5日たってやっと取り上げた。そして、数百人が抗議を行っているにもかかわらず、事件について速やかに報じなかったことを後に謝罪しました。

そして、ケルンのイスラム教イマーム、指導者であるサミ・アブ・ユスフという人は、女性は半裸で香水をつけていたのだから、男たちが襲おうとすることは驚くべきことではないという見解を表明しました。まさに文明の衝突であります。

ここで、先ほど申し上げた移民の犯罪について、人種差別だというレッテル貼りを恐れて、警察もマスコミも、当局もはっきりと捜査をすることを遅らせたり、発表することを遅らせたりして、事件を拡大してしまったという点であります。

そして、日本でも既にその障害は起きています。例えば、2019年8月27日、朝鮮学校を高校の授業料無償化の対象から除外した国の処分が適法だったかどうかを争われた訴訟で、適法とした判決が最高裁で確定しました。しかし、例えば在日朝鮮人の人が主催する反レイシズム情報センターなる団体は、私のことを、吉田氏自身が誇る仕事として吹聴しているが、朝鮮学校に対する補助金の打切りであった。吉田氏が誇る朝鮮学校補助金削減は国連勧告に真っ向から反するものであり、社会的に強い差別扇動効果を発揮する極めて憂慮すべきものだった等と主張し、私を差別主義者と断定し、誹謗中傷しています。

平成29年9月の一審、東京地裁判決は、文部科学大臣が無償化の適用対象に指定するかどうかの判断に当たり、朝鮮総連が朝鮮学校と密接な関係にあり、教育内容に影響を及ぼしているとする公安調査庁の長官の国会答弁などを考慮したことを不合理とは言えないと指摘し、就学支援金が授業料に確実に充てられるという十分な確証が得られないとして、不指定とした判断に裁量権の逸脱濫用があったとは認められないとしました。

30年10月の二審、東京高裁判決も、教育内容や人事に朝鮮総連が影響を及ぼしているなどとした公安調査庁の調査を根拠に、無償化の対象外とした判断は裁量権の範囲を逸脱したものとは言えない、朝鮮学校の資金が朝鮮総連に流れている疑いが報じられていると指摘、一審判決を支持し、原告の控訴を棄却したというものであります。

私には、いまだに「死ね死ね」と書き連ねられたはがきやファクス、メールなども来ることがありますけれども、ここで伺います。朝鮮学校を補助金の対象外とすることは差別でしょうか。社会的に強い差別を扇動するような憂慮すべきことでしょうか。

〇杉本企画課長
東京都は、朝鮮学校の教育内容や学校運営に係る実態調査の結果等を総合的に勘案して、運営費補助金を交付していないものと認識しておりまして、この判断自体につきましては差別に当たるとは考えてございません。
〇吉田 委員
ありがとうございます。外務省のホームページの人種差別撤廃条約のQ&Aには、国籍による区別はこの条約の対象となるのですかという質問に対し、この条約上、人種差別とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づく差別と定義されていることにより、国籍による区別は対象としていないと解されます。この点については、第1条第2項において、締約国が市民として法的地位に基づいて行う区別等については、本条約の適用外であるとの趣旨の規定が置かれたことにより、締約国が行う国籍の有無という法的地位に基づく異なる取扱いは、この条約の対象とはならないことが明確にされていますとあります。国籍による区別は差別でないということです。

ここで、今、国際社会全体の大きな問題となっている武漢で発生した新型コロナウイルス肺炎、中国でも台湾でも香港でも、メディアは武漢肺炎と呼んでいるので、そう呼びますが、中国国家移民管理局によると、13日時点で世界130国が、中国人の入国停止や健康状態の申告義務付けなどの入国制限措置を実施しています。入国禁止は、これは外務省、ジェトロ、中東調査会などで調べたんですが、アメリカ、ロシア、インド、モンゴル、北朝鮮、ベトナム、シンガポール、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド、キルギス、イラクなど、40か国、それから航空便の停止をした国、イタリア、トルコ、イラン、タジキスタン、ウズベキスタンなど11か国、そしてビザの発給停止をした国、チェコ、カザフスタン、ミャンマー、ラオス、パラグアイなど5か国、中国人の隔離を行った国、ヨルダン、チュニジア、アンゴラ、コンゴ、ジャマイカなど、全部で130か国になるんですけれども、このような中国にいた人、あるいは中国に滞在した外国人の入国を規制する、あるいは例えば14日間はほかのところにいて、状況を見てから入国させる、このような措置は差別でしょうか。

〇杉本企画課長
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために、中国国籍の方や中国に渡航歴のある外国人への入国制限措置を行っている国や地域があるとは聞いておりますが、他国の取った措置につきまして詳細を把握してございませんので、判断できません。
〇吉田 委員
資料要求が間に合わなかったので、そのような回答は結構です。

日本政府も、湖北省と浙江省に限って、これは閣議了解によって、出入国管理法及び難民認定法第5条第1項、第14項の運用を変更し、湖北省及び浙江省に対象を拡大して、上陸を拒否することとしました。この措置は差別でしょうか。

〇杉本企画課長
日本政府の取った措置につきましては、国内への感染症拡大を防ぐことを目的としたものでございまして、この措置が差別に当たるとは考えてございません。
〇吉田 委員
一つ質問を飛ばしますけれども、武漢肺炎は中国全土に猛威を広げており、そして24日には、韓国の中央防疫対策本部が、韓国での感染者数が833人となったと説明し、日本を超えて世界第2の感染者数となりました。韓国政府は、危機レベルを最高の「深刻」に引き上げました。これらを受けて、中国全土と韓国を出入国規制の対象として拡大しなければ、武漢肺炎制圧に向けた全世界の取組を日本が阻害することになってはいけないと議論をしている人たちがいますけれども、このように議論することも差別でしょうか。
〇杉本企画課長
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐことを目的としたものと認識しておりますが、詳細につきましては把握しておりませんので、判断はできません。
〇吉田 委員
似たような事例で、国籍には関わらないですけれども、インフルエンザが広がったときに、学校が学級閉鎖、学年閉鎖、全学級閉鎖――全校閉鎖のことですね――を行うことがあります。これはどのような法と基準に基づき実施するのか。これは、感染していない児童・生徒の教育を受ける権利を奪う措置でありますけれども、これは差別かどうか、伺います。
〇石崎学校教育課長
インフルエンザ等感染症の予防上必要があるときは、学校保健安全法第20条で学校の全部、または一部の休業を行うことができるとされてございます。感染症の蔓延防止のため、必要な措置と認識してございます。
〇吉田 委員
当然の御認識だと思います。差別でないものを差別と言い募る人がいます。これは非常に問題です。

似たような事例として、同和問題に関連して、えせ同和問題、えせ同和対策というものがあります。これはどういうものなのか。中野区はどのように対応しているのか、お聞きします。

〇杉本企画課長
えせ同和行為は、同和問題の解決を阻む大きな要因となってございます。このため、当区におきましても、職員に対する研修を実施しているほか、人権啓発等におきまして、区民への周知を図っているほか、人権施策に関する法務局や東京都などの関係機関との情報共有に努めているところでございます。
〇[15]吉田 委員
るるお聞きをしてまいりました。多文化共生の推進とは、深く考えないと、非常によいことなんだと、そのように考えてしまうだけかもしれません。しかし、これまで示したとおり、十数年前からこれを実施推進してきた欧州では、一生懸命やってきたけど、失敗だったと、このように理解をされ、統合政策に転換を既にしています。欧州でも誰も成し遂げたことのない多文化共生推進という政策、欧州の失敗を繰り返さずにどうやるのか。私は今からでも統合政策のほうに、欧州と同じようにかじを切るべきだと思いますけれども、ロザラム事件やケルン事件のような事件をこの中野で起こさないために、どのように多文化共生の推進というのを行うのか、お聞きをしたいと思います。

そして、差別でないことを差別として攻撃して、区民の思想、言論、行動を抑圧しようとする勢力に加担することもあってはなりません。

ここで設置をするとしている審議会なるものには、偏った立場、偏った思想、偏ったイデオロギーではない者で構成される必要があります。区別と差別の誤解を招きやすい、「国籍による」という部分を私はこれは除外すべきだと考えますけれども、この点も含めて見解を伺います。

社会主義や共産主義の実験も、いいことだと思ってやってみたら大失敗だった、後に大きな悲惨な結果を残しました。これと同じように、後に大きな混迷と、区民の分断、不利益、あるいは被害、損失を引き起こすことのないよう、慎重に考えてもらいたいと思いますが、区長のお考えを伺います。

〇酒井区長
中野区は、地域における人と人とのつながり、そして温かみがあるまちであり、国籍や出身国の違いによって差別することなく、互いに尊重しながら個性や能力を発揮している地域社会を実現できるまちだと捉えております。

中野区男女平等基本条例の改正を議論する中で、多文化共生に係る問題についても、考え方を整理していきたいと考えております。そのため、審議会の検討対象として、国籍等を理由とした差別的取扱いの禁止についても盛り込んだところであります。

審議会設置につきましては、男女共同参画、性的指向、性自認、多文化共生への学識経験者4名に委員をお願いする予定でございまして、中立的な立場による議論、運営を確保する考えです。

〇吉田 委員
最後に、いい期待できる御答弁をいただいたと思います。

次に、道路のバリアフリー化について伺います。

中野区バリアフリー基本構想についてです。これまでバリアフリーに関する法律は、交通バリアフリー法、ハートビル法の時代から、バリアフリー法となり、高齢者、障害者などの移動等の円滑化を促進するため、生活環境の整備が求められています。誰もが利用しやすく、安全で快適な道を実現するため、中野区バリアフリー基本構想では、どういったところを整備していく考えなのか、伺います。

〇安田交通政策課長
中野区バリアフリー基本構想では、鉄道駅など不特定多数の利用する公共施設等が集まる地区を重点整備地区に設定して、その地区の駅や道路、公園、公共施設などをバリアフリー化していくこととなっております。
〇吉田 委員
バリアフリーを包括する形でユニバーサルデザインのまちづくりの考え方があります。中野区ユニバーサル推進計画では、中野区バリアフリー基本構想で設定した歩道の整備率は、目標に対して現在どの程度進んでいるのか、伺います。
〇安田交通政策課長
ユニバーサルデザイン推進計画では、バリアフリー基本構想で示す公共施設等の整備の考え方を踏襲しているところでございます。

ユニバーサルデザイン推進計画では、バリアフリー基本構想で示す公共施設等の整備の中で、そこで示される歩道の整備目標は、2023年までに69.7%整備する目標に対して、昨年度行政評価で示された2018年度時点の整備達成率は51.7%でございます。

〇吉田 委員
ありがとうございます。2023年度の目標値は69.7%です。これ、達成できる見通しはございますでしょうか。
〇安田交通政策課長
歩道のバリアフリー化は、重点整備地区内の公共施設等の整備や、これに関係する道路の維持、補修工事に併せて計画的に整備しているものでございます。公共施設等の整備の進捗に影響を受けるものでございますけれども、現在のところ目標達成に向けて計画的に進んでいると考えてございます。
〇吉田 委員
中野区ユニバーサル推進計画にある目標値は、区内の歩道全てが対象とはなっていません。重点整備地区以外のバリアフリー化はどのように考えているのか、伺います。
〇安田交通政策課長
バリアフリー基本構想では、重点整備地区以外のバリアフリー化についても規定してございます。道路や不特定多数が利用する建物、建築物等の整備の際に、バリアフリー法や東京都の福祉のまちづくり条例等に基づき、基準に適合するよう整備することが求められており、こうした個々の施設のバリアフリー化に併せ、できる限り関連する施設のバリアフリー化も行い、それらを連続することにより、区全体のバリアフリー化を推進していくことが示されてございます。
〇吉田 委員
よろしくお願いします。

次に、区道のバリアフリー化に関して、中野区ユニバーサル推進計画のハードの施策では、安全で快適に通行できる道路、歩行空間の整備が主な取組にあります。区は、これまで具体的にどの路線の整備を行ってきましたでしょうか。

〇井上道路課長
これまでの道路のバリアフリー化整備についてですが、新井の薬師柳通りや南台の神田橋の通りなどを舗装の改修と併せて整備を行ってきました。
〇吉田 委員
私の地元、最初にやっていただいて、大変感謝をしております。このバリアフリー化を実施してきた箇所を選んだ理由を伺います。
〇井上道路課長
これまでバリアフリー化を整備してきた路線の選定理由についてについてですが、バリアフリー化では、歩道と車道の段差を解消する必要があるため、車道をかさ上げして歩道のレベルにそろえるように施工するのが一般的であります。このため、舗装と排水施設などの改修も必要となることから、これらの改修が必要な路線から順次整備を進めていっております。
〇吉田 委員
来年度はどこを整備する予定か、伺っていいでしょうか。
〇井上道路課長
来年度バリアフリー整備を行う路線についてですが、中野坂上駅周辺地区として、宝仙寺入り口から青梅街道までの約80メートルについてバリアフリー化整備を予定しております。
〇吉田 委員
ありがとうございます。ユニバーサルデザイン推進計画の目標値に向けて、バリアフリー化の推進を加速していくためにどのような方策を考えていただいているのか、お伺いします。
〇井上道路課長
バリアフリー化の推進についてですが、既存の区道のバリアフリー化は、道路の全面的な改修が必要となることから、通常、舗装改修工事よりも経費を要する工事でございます。このため、国費や都・区費を活用しながら、道路の補修工事と併せて、計画的に推進していく考えでございます。
〇吉田 委員
ぜひ加速していっていただきたいと思います。

次に、都施行の都市計画道路のバリアフリー化について伺います。

方南通りは、途中でバリアフリー化が終わっているというか、止まっているように思いますけれども、中野通りから杉並区界の整備は今後どのように進捗していくのか、伺います。

〇安田交通政策課長
中野通り以西の方南通りに関しましては、2016年3月に策定されました東京における都市計画道路の整備方針(第4次事業化計画)において、おおむね10年後に優先的に整備する都市計画道路の優先整備路線に位置付けられているところでございます。

東京都はこの目標に従い、計画的に整備を進めていく予定と聞いてございます。

〇吉田 委員
ありがとうございます。そして、中杉通りなんですけれども、杉並区側はバリアフリー化が進んでいるように思いますが、中野区側はいまだに歩道が狭く、段差があって、地元の人たちは非常に困っておられます。車椅子が通れないどころか、車道に落下する危険のあるところや、歩道の真ん中に電柱があるところもございます。今後のバリアフリー化はどのようにしていくのか、伺います。
〇安田交通政策課長
都道中杉通り、補助133号線の妙正寺川以南の区域につきまして、東京都は、方南通りと同様に第4次事業化計画で優先整備路線に位置付けてございまして、この区間、新設道路でございます。これにつきましては、都市計画道路の整備に併せて、歩道のバリアフリー化も計画的に進めていく予定となってございます。

なお、現在の中杉通りの段差解消やバリアフリー化に関しましては、現状については東京都に伝えてございます。現段階では、維持補修は除いて、すぐに全部路線を整備するとは、予定はないと聞いてございます。

今後、西武新宿線沿線まちづくり整備方針(鷺ノ宮駅周辺地区編)(案)で示されるとおり、中杉通り現道の、沿道のまちづくりルールの導入を検討する中で、バリアフリーや無電柱化を含めた沿道整備に対応していくものと考えてございます。

〇吉田 委員
この項最後に、区は都に対してどのように働きかけをしていくのか、お伺いします。
〇安田交通政策課長
整備を推進するように働きかけてまいりたいと思います。
〇吉田 委員
次に、区施行の都市計画道路のバリアフリー化について伺います。

そもそも中野区内で、東京における第4次事業化計画の優先整備路線にしている路線はどこか、伺います。

〇安田都市計画課長
区施行の都市計画道路の優先整備路線でございます。現在、西武新宿線沿線まちづくりに伴って進めている新井薬師駅前の区画街路第3号、沼袋駅周辺の区画街路第4号及び補助220号もみじ山通りの3路線でございます。
〇吉田 委員
それらの路線は、いつ優先整備路線に選定したのか。そしてもう一つ、具体的にこの優先整備路線の進捗状況について、併せてお聞きします。
〇安田都市計画課長
東京における都市計画道路の整備方針2016年3月策定の第4次事業化計画において定められているものでございます。区画街路第3号及び第4号、また補助220号の五中つつじ通りから線路北側付近に関しましては、都市計画事業の認可を受け、現在は各用地取得交渉を進めているところでございます。
〇吉田 委員
それらの具体的形状ですが、セミフラット化すると思うんですが、ちょっと道路の構造について伺います。
〇安田交通政策課長
区施行の都市計画道路のバリアフリー化でございます。道路構造は、まちづくり事業の中で詳細設計を検討していくこととなってございます。一般的には、歩道のセミフラット化によるバリアフリー化を行うのが通常と考えてございます。
〇吉田 委員
今後の具体的な展開について、最後に伺わせてください。
〇安田交通政策課長
区施行の都市計画道路に関しましても、まず道路用地取得を行うことが先決でございます。一定程度用地取得が進んだところで、順次整備を進めていくこととなってございます。
〇吉田 委員
ありがとうございます。

では次に、廃棄物処理について伺います。

一般質問でもお聞きしましたが、区民から排出される廃棄物は、大別してどのようなものがあるのか、まず伺います。

〇伊東ごみゼロ推進課長
まず、燃やすごみ及び陶器、ガラス、金属といった不燃ごみをごみに、次に、瓶、缶、ペットボトルやプラスチック製容器包装及び古紙、古布などを資源に主に大別してございます。

なお、現在は、陶器、ガラス、金属ごみは、ごみとして収集しますが、収集後、資源化を行ってございます。

〇吉田 委員
それらのごみの廃棄物の全体の量と、その内訳を伺います。
〇伊東ごみゼロ推進課長
まず、廃棄物の全体量でございますけども、昨年度の年間全体量でございますが、7万8,792トンでございました。その内訳は、まず、ごみが5万7,196トン、資源が2万1,596トンとなってございます。
〇吉田 委員
資源は、文字どおり資源化していると思うんですが、ごみについてはどのように処理をしていますか。
〇伊東ごみゼロ推進課長
まず、燃やすごみでございますけども、清掃工場に運びまして、そちらで焼却処理を行い、そこで発生します熱エネルギーを発電や熱供給に有効利用してございます。そこでつくられた電気や高温水などは、清掃工場を稼働するために施設内で利用し、電力購入量や燃料費の削減に寄与してございます。さらに、余った電気は、電気事業者に売却をしてございます。

次に、陶器、ガラス、金属ごみでございますけども、ごみとして収集ますが、平成29年10月から、収集した3分の1を資源化する事業を開始しまして、現在、今年度からは収集した全量を資源化施設において分別資源化をしてございます。

そして、全量、資源化施設に持っていきますが、約9割は品目別に資源化され、残りの約1割、例えば細かく砕かれたプラスチックですとか、ゴム、金属、木片、あと水分を含んだ土や砂、ホコリとなってございまして、こちらの1割の資源化は非常に難しい状況となってございます。

〇吉田 委員
燃えるごみのほうは、サーマルリサイクルというのが、今の時代、当然予想できたことなんですが、厄介な陶、ガラ、金というやつですね、これについても100%の資源化に向けて進捗していると、これは非常にすばらしいことだと思います。そして、そのうち約10%の残渣が発生するとのことですが、これ、何とか100%にする、向けた方策はありますでしょうか。
〇伊東ごみゼロ推進課長
なかなか難しい問題ですけども、現在のやり方の精度を高めるために、例えば事業者において新たに設備投資していただくとか、あと、分別にかかわる人手を多くかけることでその比率の割合を高めることは可能だと考えてございますが、それには相応の経費がかかるものと認識してございます。

また一方、入り口の議論としましては、区民の皆様などに、ごみや資源の分別や出し方のルールをきちんと周知、啓発を行っていきまして、きちんと守っていただくことによって、きちんと分別されて排出されることによって、ごみの適正な処理、資源化がさらに可能になるというふうに考えてございます。

〇吉田 委員
区は、ごみゼロの実現を掲げていらっしゃるわけです。この趣旨を確認するとともに、ごみゼロに向けた決意をお伺いします。
〇伊東ごみゼロ推進課長
まず1点目、ごみゼロの趣旨でございますけども、積極的にごみの発生抑制や資源の回収を行った上で、それでも残ったごみを焼却、あと熱回収ですね、サーマルリサイクルでございますけども、そういったことを行って、さらに最後、焼却して灰が出ますけども、灰も有効利用することにより、埋め立てるごみをゼロにするという趣旨でございます。

最後に、ごみゼロに向けましては、区民の皆様、事業者などの協力を得ながら、これまでの取組を粘り強く行うとともに、さらに、どういった取組が効果的かなど、特に来年度は、中野区一般廃棄物処理基本計画を改定する時期でございますので、その中で様々に検討してまいりたいと考えてございます。

〇吉田 委員
ごみゼロというのは、最終的には、最終処分場に持ち込むものをゼロにすると、全て再資源化、あるいはエネルギー回収をすると、これ、システム的には可能であります。これ、何とか経済的にも成り立たせて、その方向に行くように、またお知恵を絞っていただきたいなと期待をします。

そして、区は事業者として廃棄物を出している事業者でもあります。区自身については、ごみゼロの理念をどのように考えていますでしょうか。

〇髙田施設課長
区は、区有施設における環境政策として、中野区地球温暖化対策地方公共団体実行計画(事務事業編)を策定し、温室効果ガスの削減、ごみ排出量の抑制及びリサイクルの推進の取組を行っています。

ごみゼロの理念は、ごみの排出抑制とリサイクルの推進でありますが、今後もごみゼロの取組を推進するとともに、温室効果ガスの削減に取り組んでいきます。

〇吉田 委員
ありがとうございます。区の排出するごみは、事業系ごみの許可業者に委託して処理しているはずでありますが、これ、可能な限りリサイクルするなどの適切な処理をする事業者を選定すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
〇髙田施設課長
業者の選定に当たっては、許可を有する業者から選定し、最終処分場所の所在地、処分方法などリサイクル状況について確認しています。今後も、可能な限りリサイクルの向上に努めるよう求めていきます。
〇吉田 委員
心強い答弁です。そして最後に、区役所内のごみの分別の表記なんですが、私もこの議会棟を歩いていて、プラスチックを燃やさないごみ、紙くずなどは燃やすごみとなっています。家庭で出すときは、プラスチックも燃やすごみで出していますが、ちょっと区役所でのこの記載について、これ、ごみを捨てる人にとって非常に誤解を生じかねないと思うんですけども、いかがでしょうか。
〇髙田施設課長
家庭ごみと区役所などの事業系ごみは分類方法が異なるため、ごみの分別表記にイラストを活用するなど工夫してまいります。併せて、再資源化の取組も推進していきます。
〇吉田 委員
ありがとうございます。

では、次の項に移ります。生活保護についてです。

昭和29年、厚生省通知、生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置についてで、外国人が要保護状態にあると認めたときに、保護の実施機関は都道府県知事に報告することとなっています。

令和元年第3回定例会一般質問で、このことについて質問したところ、過去5年間のこの通知に基づく区から都への報告実績はなかったとの回答をいただきました。このことについて、令和元年決算特別委員会で担当課長に質問したところ、東京都からこの1年、都内の全ての自治体から報告を受けていないと聞いているとしながらも、平成31年3月末に厚生労働省から都道府県宛てに、生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置における地方公共団体から領事館等への確認の手続についてという事務連絡が発出されたことを受け、区から都への報告については、都と相談の上検討していくとの答弁がありました。

その後、国の通知に基づき、東京都に報告を行った自治体はあったのか、伺います。

〇只野生活保護担当課長
東京都からは、今年度、都内の福祉事務所から保護措置を行った外国人についての報告があり、該当する各領事館等へ問合せをしたとの情報を得ているところでございます。
〇吉田 委員
東京都が領事館等へ照会した結果はどうだったんでしょうか。
〇只野生活保護担当課長
東京都からは、報告を行った福祉事務所に対し、照会結果を回答したと聞いております。
〇吉田 委員
なかなか教えてもらっていないわけですね。区から東京都への報告について、都との検討の進捗状況についてお伺いします。
〇只野生活保護担当課長
報告については、都と相談を行ってきたところでございますが、今後は、昭和29年厚生省通知、令和元年3月の国通知に基づきまして、保護措置を行った外国人について、都に報告を行っていく予定でございます。
〇吉田 委員
ありがとうございます。非常に前向きで。

報告はいつから実施するのか、また報告の頻度はどの程度を予定しているんでしょうか。

〇只野生活保護担当課長
今年度の3月末には都へ報告を行うと考えております。

また、報告の頻度でございますが、新たに外国人に保護措置を行う事案は、年間20世帯以下と想定されることから、年1回の報告が適切であると考えております。

〇吉田 委員
中野区からも都に報告すれば、領事館と照会した結果、中野区も理解できるということで、また楽しみにしております。

次の項に移ります。子育て先進区について伺います。

私は、今定例会の一般質問において、子育て先進区を進めていくためには、今後の人口減少社会を見据え、子どもの出生率を増やすための具体的な施策に取り組むことが求められているのだから、合計特殊出生率など、子どもの出生数に関する客観的な指標と目標値を設定すべきである。また、基本計画など、区の総合計画においても、合計特殊出生率の目標を示していくべきではないかと質問をさせていただきました。これに対し、企画部長からは、少子化対策を進めるに当たっては、出生率を上げていくことが必要であり、どのような目標の設定が適切であるのか、基本計画の施策を具体化していく過程で検討していくと答弁をいただきました。よい答弁であります。

しかし、子育て先進区の担当部長からは、定住意向と認知度を必要とする考えであり、合計特殊出生率を子育て先進区の指標として設定することについては今のところ考えていないという、ちょっと肩透かしのような御答弁でありました。

子育て先進区を進めていく立場にある担当部長として、どのようなお考えであるのかを改めて伺います。

〇小田子ども家庭支援担当部長
区が目指す子育て先進区は、子どもが健やかに育ち、子育てをする上で必要な環境が整っており、子どもと子育て家庭の満足度の高いまちであり、それとともに、そうした区の子育て環境が区内外に認知され、多くの子どもと子育て家庭から選ばれるまちであると考えております。

区の現状では、子育て家庭の多くを占める年代については、転出超過となっておりますため、子育て家庭に住み続けてもらえる満足度の高い環境の整備が必要と認識しております。そのため、子ども自身と子どもの保護者の定住意向を指標とするとともに、併せて都内における子どもの保護者の認知度についても指標としたところでございます。

区といたしましては、子育て家庭が区内に住み続けてもらうことを目指し、安心して子どもを産み育てることができるよう、子育て環境の整備を進め、出生率の向上にもつなげていきたいと考えております。

〇吉田 委員
出生率の向上につなげていくということで、目の前の課題だけでなくて、客観的な指標についても積極的に考えていっていただきたいと思います。

国立社会保障人口問題研究所では、夫婦の理想子ども数、予定子ども数についての調査を行っています。2015年の調査では、夫婦に尋ねた理想的な子どもの数の平均値は、5年前より0.1人低下し、2.32人となりました。そして、夫婦が実際に持つつもりの子どもの数、予定子ども数の平均値も2.01人と過去最低になっています。こうした数値も客観的な指標の一つと考えられますので、中野区でもこうした調査を独自に行い、これを指標とすることも考えられると思いますが、お考えを伺います。

〇小田子ども家庭支援担当部長
国立社会保障人口問題研究所の出生動向基本調査は、夫婦の出生力に関する実情や独身者の希望の結婚像などを調査しているものでございます。この調査は、昭和15年に第1回の調査が実施され、戦後は昭和27年から5年ごとに実施されているものでございまして、これまで15回の調査で蓄積されたデータを基に、経年の変化や現在の情勢などを把握することができるものとなってございます。

夫婦の理想の子ども数、予定子ども数につきましては、過去の調査結果を把握いたしまして、その活用法などを研究してまいりたいと考えております。

〇吉田 委員
いい御答弁、ありがとうございます。

最後の項です。国民健康保険について伺います。

先日の一般質問において、私は外国人の資格管理の適正化や保険料の収納率に関する質問をいたしました。これに対して区は、東京都に対して、外国人の資格の適正な管理が行えるよう必要な措置を講じるよう要望している。そしてまた国に対しては、在留期間の更新及び出国時の審査において、保険料の完納を要件とするよう要望しているとの答弁をいただきました。

しかし、今、医療目的で来日し、本来であれば国民健康保険の加入資格のない外国人が留学などと偽って国民健康保険を使う事例があると聞いております。

そこで伺います。国に対して、在留期間の更新や出国時の審査だけでなく、入国時における在留資格の審査を強化するよう要望することを検討してはいかがかと思いますが、区の見解を伺います。

〇渡邊保険医療課長
国は、昨年1月、医療を受けることを目的とした外国人が、在留資格を偽装し、国民健康保険に加入して高額な医療などを受ける可能性が高い場合の不正対策として、入国管理局への通知制度を創設したところでございます。具体的には、国保の資格取得1年以内の外国人被保険者が、限度額適用認定証の交付申請を行った場合などに、就労状況などを聞き取り、本来活動を行っていない可能性が高いと考えられる場合には、市区町村が入国管理局に通知し、入国管理局が事実調査を行い、在留資格取消し事由に該当していると判断した場合は在留資格の取消しを行うものでございます。

区としては、国の動向を注視しつつ、特別区長会として、引き続き資格管理の適正化を要望していきたいと考えているところでございます。

〇吉田 委員
前向きな御答弁、ありがとうございます。

区長をはじめ皆様には、限られた時間、精力的に私の質問に対して対応していただきまして、心より感謝を申し上げます。区民のために今後も尽力していただくことを念願し、私も少しでも区民の役に立つよう働いてまいることをお誓いをして、本日の質疑を終了いたします。ありがとうございました。

〇山本委員長
以上で吉田 委員の質疑を終了します。