2014/10/28 17:36

この様な共産党独裁政権の支配する国との友好や経済協力など、恥ずべき事でしかありません。

《中国の「大後退」》
2014.10.27 夏業良

中国共産党の指導部は10月20~23日に、1つのテーマを中心とする全体会議を開いた。「法の支配(法治)」がそれだ。

 だが、最近、中国の人気ソーシャルメディア「微信(ウィーチャット)」の複数のグループが、香港での抗議活動を支持する中国人活動家が50人近く逮捕されたと伝えている。

 一方で、香港のデモや人権活動、法の支配を支持する著者の書籍の出版や販売を禁止する官命について伝える人たちもいる。このことは、政治の近代化という明示された目標に対する政府の決意の信憑性に大きな疑問を投げかける。

■ 「法治」をテーマとした全体会議の前に起きていたこと

 書籍の出版・販売を禁止された著者の1人が、2012年に「ミルトン・フリードマン自由賞」を受賞した茅于軾氏だ。

 茅氏の著作が禁止されたのは、これが初めてではない。2003年には、1989年の天安門広場でのデモに参加し、その民主化運動が大虐殺で終わった学生たちを無罪とすることを政府に求める嘆願書に署名した後、同氏の著作が発禁となった。

 中国は多くの場合、検閲の正式公示を出すことさえしない。政府機関からのものと理解される、出版社あての「匿名」電話一本で事足りる。筆者自身の著作でもいくつかの項目が正式な説明もなしに削除されたし、定期刊行物や新聞に寄せたコラムや解説でも、一部のフレーズやセンテンス、パラグラフがよく削られた。

 やはり尊敬されている論客で84歳の余英時氏も、香港の抗議活動を支持しているために、厳しい立場に立たされている。米アイビーリーグの複数の大学で教鞭をとった余氏は50年以上にわたって、共産党を批判する著作をたくさん記してきた。

 余氏はその著作で、中国の伝統的な文化と古典的な哲学を批判し、西側の学術的な伝統に基づく普遍的価値観を推奨してきた。同氏の著作は現代の政治問題に直接言及していないが、中国政府はそれらを共産党支配に対する批判と見なし、ひいては社会の安定を害するものと考えている。

 そして、慎重にして良識的な学者で中国憲法学会の副会長を務める張千帆氏がいる。

 政治分析に対する張氏の穏健なアプローチ――北京大学で同僚だったころ、同氏は現政権に対して過度に軽蔑的だとして、筆者の立場を批判することがあった――からすると、政府の標的としては、張氏はいくらか意外な人物だった。

 張氏は、香港の抗議を支持する多くの同輩(筆者を含む)の決断に反対している。1989年当時のように、政府が暴力的な抑圧に訴えることを恐れてのことだ。そう考えると、張氏の著作の発禁はきっと、抗議活動に対する同氏の見解ではなく、同氏の憲法研究が持つ意味合いが理由なのだろう。

 それと比べると全く意外ではなかったのが、この10年間、いわゆる「微妙な」問題の多くに関与してきた著名活動家、人権運動家の郭玉閃氏が最近逮捕された一件だ。例えば2012年、同氏は世界的に有名な盲目の活動家、陳光誠氏が自宅軟禁から脱出するのを助けるうえで重要な役割を担った。脱出劇は中国にとって国際的な大恥だった。

 とはいえ、今月の全体会議の直前にあたった郭氏の逮捕のタイミングは、ことが法の支配に及んだ時の共産党の誠意の欠如を浮き彫りにしている。

■ 反体制派に対する忌むべき処遇

 国内外にいる中国の反体制派の扱いは、忌まわしいものだ。彼らは罪とされる行為で投獄されるか、あるいは、中国の家族の元を訪れるのを禁止される。時として、それは20年、30年に及ぶこともある。

 これは、声高に反共産党を掲げる人だけの運命ではない。学者や研究者――元プリンストン大学教授のペリー・リンク氏やコロンビア大学のアンドリュー・ネイサン教授、チベットの近代史を専門とする著述家兼歴史家の李江琳氏ら――のみならず、ビジネスマンでさえ、中国へ帰国することを禁じられている。

 中国で人権運動に共感したり、共産党の立場に相反する見解を表明したりするだけで、ビザの発給を拒否されたり、ビザを取り消されたりするのだ。

 中国市民は、その政治的信念にかかわらず、自由に母国を出たり入ったりできるべきだ。それを正当化する法的な理由もなくこの権利を奪うことは、近代の国際的規範に明白に違反している。

■ 経済的には中国を前進させようとしている習主席だが・・・

 習近平国家主席の前例のない汚職撲滅運動は、法の支配に基づく、より透明な制度への移行を象徴するはずだった。

 しかし、実際は、これまでに粛清された政府関係者は皆、習主席の政敵であり、この取り組み全体が同氏の権力基盤を固める役目を果たしてきた。

 この二枚舌は、現在中国で繰り広げられているに対する締め付けにもはっきり見て取れる。習氏は、中国を経済的に前進させようとする一方で、政治的には後ろへ引っ張っているように見える。

■ 夏業良(Xia Yeliang)北京大学の元経済学教授、現在は米ケイトー研究所の客員研究員

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42058