2014/08/28 6:50

この未達の数値も信用できません。

《中国の上期GDP、全地域目標割れの異例事態 “甘い汁”の味忘れられない地方政府》
2014.08.27 産経新聞

 中国全土の31省・(直轄)市・自治区の今年上期(1~6月期)の域内総生産(GDP)が発表されたが、全ての地域で当初に設定した年間目標値を下回るという異例の事態となっている。下期に経済が急回復するのは難しく、年間でもほとんどの地域が目標未達に終わりそうだ。(フジサンケイビジネスアイ)

 中央政府は今年の全国GDP年度目標値を控えめの7.5%に設定した。これでも達成は難しいのではないか、との声が出ていたが、上期は財政面からのてこ入れ策が功を奏して、なんとか7.4%と目標値に近い水準を確保している。

 一方地方政府はどうかというと、中央政府の方針を無視して、勝手に高めの目標値を設定するところがほとんどだった。北京と上海はともに7.5%で、中央政府の目標値と同じだが、そのほかの地方政府はいずれも政府目標を大幅に上回っている。中でも高成長時代と変わらない10%以上の数値を打ち出したところが半数の16もあった。貴州にいたっては12.5%という超高成長の目標値である。

 結果的には今年春ごろから不動産価格が急落し始めたこともあり、上期のGDPは全ての省・市・自治区で目標値を下回った。

 目標値との乖離が最も大きかったのは黒竜江で、目標値の8.5%に対し上期実績は4.8%という不振ぶり。3.7%も下回ってしまった。このほか目標値を2%以上も下回ったのは山西、河北など6地域に及んだ。

 チベットや重慶のように10%を上回ったところも6地域あったが、それでも年間目標値には達しなかった。たとえば貴州は10.8%と10%大台を超えたが、目標値の12.5%には及ばなかった。

 今年下期も経済の好転は見込めない。サービス産業の盛んな沿海地方では、一部の地域が年間目標値を達成できるところがあるかもしれないが、ほとんどの地域で未達成に終わる公算が大きい。

 習近平政権は数カ月前から「新常態」という言葉を使い始めている。最近の全国GDPは7~7.5%に下がっているが、これは異常ではなく、常態なのだというわけだ。それなのに地方政府の中にはいまだに量的な拡大を追い求めて、「新常態」に気が付いていないところが多いと批判している。

 さすがに各地方とも来年については慎重に目標設定することになろうが、高成長時代に味わった甘い汁はすぐには忘れられない。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140827/chn14082717080005-n1.htm