2014/06/11 18:34

備えましょう。

《「中国はすでに不動産バブル崩壊が進行中」野村系リポートの驚愕内容…中国GDPの1/5が“弾ける”》

 中国の不動産市場が崩壊の兆しをみせている。中国当局が発表した4月の主要70都市の住宅価格動向は前月の水準を下回る都市が増え、価格が上昇した都市でも値上がり率が鈍るなど、頭打ち感が顕著だった。景気の先行き懸念に住宅供給過剰が追い打ちを掛けており、アナリストの一部は不動産バブルの崩壊が始まっていることを示唆している。

■ 価格下落傾向が鮮明

 中国国家統計局が発表した4月の住宅価格動向(低所得者向けを除く)によると、新築、中古とも前月の水準を下回る都市数が増加した。

 新築物件の価格が前月比で下落したのは8都市で、都市数は前月の倍。特に浙江省は不動産投資が盛んな温州をはじめ、金華、杭州、寧波の4都市がそろって下落。最も高い下落率は杭州市の0・7%だった。

 一方、上昇したのは44都市だが、3月調査(56都市)より減少。最高の値上がり幅は福建省廈門市の0・4%にとどまり、北京、上海、広州、深●などの第一級の大都市に限ると上昇幅は0・1~0・3%に過ぎなかった。

 前年同月比で新築の不動産物件の価格上昇率を見ても、北京11・2%(3月調査では13・0%)▽上海13・6%(同15・5%)▽広州11・2%(同13・4%)▽深●11・2%(同13・0%)と、いずれも3月段階の調査を下回り、減速傾向が鮮明になってきた。

 中古住宅市場でも、前月比で値上がりしたのは35都市と、3月調査より7都市減少する一方、下落は8都市増えて22都市となった。

 温州市が前月比で0・6%下落するなど浙江省の4都市が下落したほか、江蘇省の無錫市と揚州市、山東省の青島市と済南市でも下落。首都・北京市でも0・2%下落した。

■ 不動産取引も鈍化

 中国の複数メディアは不動産取引の鈍化を伝えている。

 中国共産党中央委員会機関紙「人民日報」のインターネット部門「人民網」は、北京市統計局のデータを引用。それによると、今年1~4月の市内の分譲物件の販売面積は522万9千平方メートルで前年同期比3・5%減少したという。ちなみに第1四半期(1~3月)は同10・3%増となっており、4月が激減したことを示している。

 同市の分譲住宅では、販売面積は383万2千平方メートルで同17・7%減。4月単月では118万7千平方メートルで同41%もの減少となっており、4月下旬以降、取引量の落ち込みが目立っているという。

 取引件数ではどうなのか。同市の不動産取引管理ネットワークがまとめたデータによると、4月下旬の分譲住宅売買成約件数は1日平均291件にとどまり、同月上・下旬の平均約460件を大幅に下回ったという。

 不動産の価格動向は頭打ちの傾向にあっても売れていないのだ。

■ すでに崩壊中か?

 野村證券の関連会社は5月上旬、衝撃的なリポートをまとめた。中国の不動産市場は「調整(下方修正)が、もはや『有るか無いか』ではなく、『どれほど深刻になるか』のレベルに達している」としている。つまり、中国は不動産バブルの崩壊が進行中と示唆したのだ。

 複数の経済アナリストは、中国の国内総生産(GDP)の16~20%が不動産投資によるもので、世界各国の中でも異質な偏りが中国経済の最大の弱点と指摘している。野村のリポートは、最悪のシナリオをたどった場合、中国のGDPの伸び率が6%を下回ることもあり得るとした。

 中国の不動産は“バブル”と呼ばれて久しいが、このバブルが膨れ上がったのはいつのことか。それは、2008年のリーマン・ショック後に中国政府が行った4兆元(約66兆円)もの緊急経済対策といっても過言ではない。

 この資金がハコものや鉄道などのインフラに回り、金融緩和政策を背景に民間の不動産ブームに火をつけた。これが土地の異常な高騰や住宅などの過剰供給につながり、不動産バブルをふくれあがらせた。国策の失敗以外の何者でもない。

 中国経済の崩落は必ず世界経済に影響を及ぼす。世界経済の平穏のためにも、中国がソフトランディングを目指すべきなのは言うまでもない。ただ、国内でのテロ事件への対処、国際的に非難を受ける尖閣諸島や東南アジアでの無理な領有権の主張など、中国は内外に問題を抱え、身動きがとれなくなりつつあるようにもみえる。

 中国の自浄に頼らず、今から準備できることは何なのかを、各国は真剣に考えておくべきだろう。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/140611/wec14061107000001-n1.htm