2014/03/27 22:03

《「狙いは技術」使い捨ての韓国企業 危うい引き抜きの実態 東芝技術流出事件》

技術者の処遇と雇用契約の改善、技術盗取を行った外国企業との訴訟、制裁…、国益を損なう技術漏洩の防止に、国としてはどの様に支援と取組みができるでしょうか。

以下、記事抜粋。

 東芝の半導体の研究データが韓国のライバル企業に不正流出した事件で、半導体メーカーの元技術者、杉田吉隆容疑者(52)は転職先の韓国企業をわずか3年足らずで事実上、解雇されていた。海外企業が求める人材は二極化し、末端の技術者では技術だけを吸い取られ、“使い捨て”にされる実態が浮かぶ。日本企業の大量リストラの余波で、解雇を覚悟で転職する技術者も出始め、今後も日本の国益を損なう技術漏洩(ろうえい)が相次ぐ危険性をはらむ。

■ 一致する利害

 杉田容疑者は平成20年5月に半導体メーカー「サンディスク」を辞め、同7月に韓国の同「SKハイニックス」に転職。直後に東芝から盗み出した「NAND型」フラッシュメモリーの研究データを渡し、その後も研究部門で働いていたが、23年6月に退職した。サン社の2倍以上の給与を受け取っていたが、事実上の解雇だったという。

 技術者の海外移転に詳しい関係者によると、給与などの条件面で好待遇をうたって引き抜いても、技術を吸収してしまえば、数年後の契約更新で延長しないこともある。技術者側にも数年で大金を稼ぐ狙いがあり、使い捨てを了解している場合が多く、両者の利害が一致しているという。

■ 自ら売り込み

 日本企業からの技術流出が顕在化したのは、20年以上前にさかのぼる。90年代には、週末のソウル行きの航空機に日本人技術者が大量に搭乗し、韓国のサムスン電子などで技術を伝授する見返りに高額の報酬や接待を受けていたという。

 「日本型モノづくりの敗北」の著書がある元半導体技術者の湯之上隆さん(52)も知人経由で勧誘を受けたことがあり、「サムスンは次の技術開発に何が必要かを検討し、あらかじめリストアップした日本人技術者の中から適任者を探し、高額な年俸で引き抜いていた」と振り返る。

 ヘッドハンティングを手がける会社関係者によると、日本人技術者の流出は日本企業でリストラが相次いだ約2年前がピーク。自ら海外企業に売り込む技術者も出始め、雇用条件は一時よりも下がっている。

 一方で、マネジメント能力も備えた技術者には「年収は前職の2、3倍。車やマンション、通訳に、家族が訪れる際の往復航空券」といった好条件が用意されており、求められる人材は二極化しているという。

■ 新興国も参戦

 近年はインドや東南アジアなど新興国の企業も日本人技術者の獲得に乗り出しているほか、大気汚染対策などの新たな研究分野のニーズが高まるなど、多様化が進んでいる。

 経済産業省が平成24年に約1万社を対象に技術流出の実態を調べたアンケートでは、過去5年間で「営業秘密」の漏洩や漏洩の可能性がある事例があったとした企業が約15%に上った。明らかに漏洩があった事例の半分は中途退職者によるものだった。