《「#2366 ミス・インターナショナル」》
春川正明 読賣テレビ放送報道局解説副委員長ブログより
ネットと海外メディアだけが報じ、日本のメディアが「横並びで一斉に沈黙している」ミス・インターナショナル吉松育美さんの被害事件。
日本のメディアは本当に腐敗し、国民に真実を報道しません。秘密保護法で「国民の知る権利が」などと騒ぐ資格がありません。
以下、記事。
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新聞に載っていた週刊誌の見出し広告を見て、会合で何度かお会いした方が何かトラブルに巻き込まれていると思いながらも、その記事の内容までは読んでいなかった。外国特派員協会で記者会見をする予定も知っていたが、ミス・インターナショナルの1年間の活動についてだと思っていた。
恥ずかしながら、今回の件で司法記者クラブや外国特派員協会で記者会見したことを昨日まで知らなかった。ましてや、日本の新聞やテレビ局が報道していない中で、ワシントンポストやFOXニュースなど欧米の多くのメディアがニュースとして取り上げていることを知らなかった。
日本人として初めて2012年ミス・インターナショナルの世界一に輝いた吉松育美さんが、ストーカー被害にあい、その影響で2013年のミス・インターナショナル大会に出席できず、今年の女王に王冠とガウンを受け渡すことも出来なかったという。
吉松さんのブログによると、ことの経緯は以下のようなものだ。吉松さんは1年前からずっと大手芸能プロダクションの幹部で芸能界やマスコミに影響力のある男性からつきまとい、嫌がらせ、脅迫、脅し、業務妨害を受けていた。男性はミス・インターナショナルの協賛企業に脅迫とも言える電話をし、大きなスキャンダルになることを恐れた主催者から体調不良を理由に出席を自粛してほしいと言われ出席が叶わなかった。その男性は吉松さんの両親にまで連絡をし、吉松さんが自殺してしまうようなことになると言ったということだ。
吉松さんはブログの中で「この1年間私の実体験を通して、パワハラ、セクハラ、ストーカー、嫌がらせ、脅迫等、女性がターゲットになりやすい問題に対して、日本はまだまだ被害者が完全に守られていないことに気がつきました」と語った上で、日本人初の世界一に選ばれた使命を考えて「同じ悩みをもつ多くの女性のためにも」「私は声を上げなければいけないと思いました」とその胸の内を明らかにした。
これに対して男性は、週刊文春によると、吉松さんの海外エージェントの男性と金銭トラブルになっているのに連絡がとれないため、吉松さんの実家に連絡したと主張している。
吉松さんはこの男性を相手に、威力業務妨害で刑事と民事の両方で訴えを起こしたという。しかしながら、私の知る限り新聞もテレビもほとんどこのニュースを報道していない。海外エージェントの男性の関連が明らかでないことなどから報道を控えていることも考えられるが、もしもネットで指摘されているように大手芸能プロダクションの影響力に配慮しているとしたら情けない限りだ。相手の言い分も含めて報道すべきではないか。
私がこのブログで取り上げようと思った理由は、事実関係はまだはっきりと分からないものの吉松さんの言う通りだとすればストーカー被害がかなり深刻であることもさることながら、メディアが横並びで一斉に沈黙を守っていることの気持ち悪さだ。
当初は国内でほとんど報道されなかったのに、外国特派員協会での記者会見をきっかけに国内でも報道された田中角栄首相(当時)の金権政治に関する報道を思い出す。報道で働く者の1人として考えさせられる。アメリカのメディアは、今回の件について、「日本の沈黙する報道陣」と伝えている。