《クリミア、ロシア編入でもウクライナ依存―電気・水道の大半供給》
クリミアはライフラインをウクライナに依存している。これが今後の紛争の発火点になる恐れがある、との事です。
以下、記事抜粋。
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乾燥して風の強いクリミア半島には、名高いリゾート地と港湾を支えるための自前の資源がほとんどない。ロシアとは陸地でつながっておらず、天然ガスの約25%、水道の70%、電力の90%をウクライナ本土に依存している。
ロシアが先週末にウクライナ本土に侵入しガス輸送施設を一時占拠したことで示されたように、クリミアのウクライナ依存度の高さが紛争の発火点になる恐れがある。ロシアはクリミアへの資源供給確保のため、その他のインフラも占拠する可能性があるからだ。
ガス施設の占拠についてクリミア政府スポークスマンは、ガス輸送が停止され、クリミア東部が停電に見舞われたため必要だったと説明した。しかしウクライナ政府側は、輸送は停止されていなかったと否定した。
ウクライナ政府にとって、クリミアを失うことは政治的な打撃となる一方で、年間10億ドル(約1010億円)のクリミア向け予算の削減となる。ロシアがクリミアの併合に踏み切ったとしても、クリミアは存続のためにウクライナへの経済的な依存を続けなければならず、皮肉にも併合がウクライナにロシアとの交渉材料を与えることになる。
クリミアは家庭向けの水道供給は十分にあるが、かんがいや工場向けは本土に頼っている。天然ガスに関しては、沖合ガス田の生産がブームとなっているおかげで、需要の約4分の3は自前で賄える状況だ。
政情不安に加えてこうしたライフラインの供給不安があるため、観光客の足は遠ざかりそうだ。昨年クリミアを訪れた観光客の70%はウクライナ本土から来ていた。また、クリミアのインフラやホテルは投資不足のため老朽化が進んでいる。
ウステンコ氏によれば、今回の危機発生前から、インフラ問題や犯罪率の高さ、「影の経済」活動のせいで、多くの投資家はクリミアを敬遠していた。今やウクライナやロシアだけでなく国際投資家にとっても、クリミアに新規投資を行うのは問題外になるという。
今後はロシア政府がクリミアに対する主要な投資者にならざるをえない。ロシア政府当局者によると、クリミア併合に伴う費用は1年目だけで40億ドルに及ぶという。