中村圭志氏FBより
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「台湾の声」【解説】学生たちが立法院を占領した危機感とは何か
台湾の声 2014.3.23 22:30(文:多田恵)
本日開かれた日本李登輝友の会総会でも台湾の学生が立法院を占拠して、サービス貿易協定に反対していることが話題になった。しかし、参加者によれば、日本ではまだ中国国民党政権の非民主的性格が十分に理解されていないようだという。
立法院占拠のきっかけとなったのは、3月17日の立法院内政委員会での出来事である。
この台湾の中国とのサービス貿易協定の審査は、条文ごとに審査を行うということが、与野党間で合意されていた。
ところが、この日、内政委員会招集人である国民党の張慶忠が、会議の開会を宣言してから30秒しか経たないのに、隠し持ったマイクを使って「委員会での審査が3ヶ月を超えたので、立法院職権行使法61条の規定により、審査終了と見なす」と宣言したのだ。この宣言が有効かどうか、大きな疑義がある。民進党はこの宣言は無効だと考えている。王金平院長は、「審査を委員会に差し戻すにしても誰が審査を行うのか」と、張慶忠氏の進行では審査がもはや進められないという見方を示している。
立法院職権行使法61条というのは、行政命令を審査する際の規定である。サービス貿易協定は実際には条約なのだが、国民党の言うところの「中華民国」の枠組みによれば、条約ではないので、行政命令として扱われているのだ。
そのような建前はさておき、与野党の合意を反故にして、問題のある方法で、「審査」を強行する与党の姿勢が台湾人を不安にさせた。
委員会での審査を通過したら、あとは、本会議で、全体的に採決するだけになる。それでは、野党をまじえた十分な審査が尽くせない。これが、立法院を占拠した学生たちの危機感である。そして国民党が多数を占める立法院で、このまま強行採決されれば台湾が中国の属国になってしまうのである。採決は立法院の本会議場で行われるのであるから、立法院を占領することで、その暴走にストップをかける。学生たちは、このような危機感を世論に訴えようとしたのだ。
学生たちによる日本語の文書では、すでに採決されたように表現されているが、これは内政委員会の「審査終了」を指しているのであろう。
台湾人としては、これは行政命令ではなく、条約なのであるから、批准の手続きが必要だと考えるのだが、馬英九政権は、何が何でも通すつもりである。本日朝の国際記者会見でも、支離滅裂ながら、そう主張した。
台湾社会の未来を、民意の基礎のない協定で闇に葬る権限があるのか、という学生たちのこの問いかけを、台湾の民意はサポートしている。
政治家も、民進党が付きっ切りで支持しているのみならず、李登輝元総統が学生の声を聞き入れない馬英九を問題視し、国民党側でも、王金平院長が与野党協議を破った国民党の議会運営を問題にし、[赤β]龍斌・台北市長も「学生たちを警察力を使って強制排除することはない」と学生たちに理解を示している。
なお、台湾独立建国聯盟日本本部の王明理・委員長からは次のメッセージがあったので、ここにあわせて紹介する:
“今日、日本李登輝友の会で何人かの方から、「台湾の学生たちの議会占拠の様子が日本のメディアからは伝わってこないので、何かみられる方法があったら、台湾の声で知らせて下さい」と言われました。
それで、比較的分かりやすいものを選びました。”
台湾の民主主義を守るために立ち上がった学生達
http://youtu.be/nCaQJCkt8wk (日本語)
http://youtu.be/D5yCoDX0hWk (中国語)
http://youtu.be/o2XyhLbWKOw (英語)