一般質問
中野区議会議員 吉 田 康一郎
1 育児支援と独自の児童手当制度創設について
2 ミサイル等の武力攻撃事態への対処について(国民保護法)
3 平らで緑の歩道づくりについて
4 国際的人権侵害行為への区長の姿勢について
5 その他
- ○議長(内川和久)
- 次に、吉田 康一郎議員。
- 〔吉田 康一郎議員登壇〕
- ○12番(吉田 康一郎)
- 育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会、吉田 康一郎です。よろしくお願いいたします。
まず、育児支援、区独自の児童手当創設について伺います。
次の時代に次の世代がいなくならないこと、これは我が国にとっても、中野区にとっても最重要で、最優先に取り組むべき課題であることを繰り返し指摘し続けてまいりました。その結果、昨年9月に区が策定した中野区基本計画において、私が繰り返し指摘した出生率の向上を図ることがようやく盛り込まれました。そして、その到達するべき目標ですが、合計特殊出生率が人口置換水準である2.07に回復することを目標として取り組まなければならないことは言うまでもありません。
去る6月7日、他の議員からも言及がありましたが、参議院の内閣委員会に明石市長の泉房穂氏が参考人として意見陳述をされ、その発言が大きな反響を呼びました。まず、明石市の出生率が平成30年に1.7に改善したという文句のつけようのない成果を披歴した上で、具体的に様々なきめ細かな政策を説明していましたが、最も重要な点は、そのどの個別の政策でもありません。最も重要であった市長の説明内容とは、明石市は子どもの予算を126億円から268億円に倍増したということであります。そして国に対しても、予算を次年度から倍増、そして速やかに3倍にするべきだと訴えました。欧州の先進国に比べ、日本は子どもにかかる予算が少な過ぎる、明石市がしたことは、国に先んじて欧州並みの予算にしただけだという陳述でありました。ちなみに、令和元年の明石市の出生率は1.64でありました。
また、最近、地上波の民放で、育児支援に成果を上げている自治体として紹介された自治体の一つに岡山県の奈義町があります。奈義町は、令和元年の出生率が2.95でした。奈義町の特色ある育児支援事業としては、出産祝い金交付、子どもの誕生に一律10万円、在宅育児支援手当、満7か月から4歳までの保育園等に入園しない児童に、一人に付き月額1万5,000円、そして高等学校等就学支援、生徒1人につき年額13万5,000円を3年間支給などが挙げられます。
来年4月には、内閣府の外局として、こども家庭庁が設置されるなど、政府も子ども政策を強化します。我が国の育児関連予算は、周知のとおり、欧州各国の半分程度です。「子育て先進区」を標榜するのならば、予算の少なさを国任せにするのではなく、先進的な自治体を見習って、国の児童手当と別に、区独自の児童手当を創設し、先進区を標榜するにふさわしい支援事業を開始すべきだと考えますが、区長の見解を伺います。
次に、ミサイル事態への対処について伺います。
4月25日、内閣官房から消防庁に対し、「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の再開等について」という通知が発出され、同日、消防庁から都道府県に対し、「弾道ミサイルを想定した国と地方公共団体が共同で実施する住民避難訓練の再開等について」という通知が発出されました。それぞれの内容は、今年に入り、北朝鮮から弾道ミサイル等が高い頻度で発射されている。特に3月24日に発射された新型の大型弾道ミサイル級のミサイルと考えられるものが落下したが、本事案は、これまでの一連の発射とは次元の異なる深刻な脅威であり、このような状況を踏まえ、国として早急に、国と地方公共団体の共同訓練として弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を再開する必要があるというものであります。そして、自治体に対して、積極的に実施を検討いただいた上、回答願うというふうにしております。
そして、市町村においても適切に初動対処を行う必要があり、今般、「弾道ミサイルを想定した市区町村の初動対処マニュアル作成の手引き(令和4年4月、内閣官房・消防庁)」を取りまとめた。都道府県は、当手引の活用による市区町村における必要な取組を促し、都道府県及び市区町村における住民の理解の促進に取り組まれるよう願うという内容でありました。
特に、最近北朝鮮が発射に成功したと言われている極超音速ミサイルは、迎撃困難だとされています。そして、2月以降は、ロシアのウクライナ侵攻の現実を見て、国民、区民の間にも、ミサイル事態、武力攻撃事態についての現実的な恐怖、いざというときの対処のための準備の必要性に関する認識が高まっていると理解しています。
しかし、これまで区に何度か国民保護法に基づく武力攻撃事態への備え、取組について聞きましたが、住民避難訓練の準備などは進んでいませんでした。そして、今回の内閣官房及び消防庁の意向調査についても、手を挙げなかったと聞いています。国民保護は、自治体の責務であります。武力攻撃事態を想定した避難訓練を実施すべきでありますが、区は今後どのように備える考えなのか。特に手引に基づく弾道ミサイルを想定した市区町村の初動対処マニュアル作成を行う意思があるのか、年内に作成する意思はあるのか、区長に伺います。
そして、時間の関係があるので、若干順番を入れ替えます。
国際的人権侵害行為への区長の姿勢について伺います。
5月24日、アメリカのNPO共産主義犠牲者記念財団が多くの国際メディアと協力して、中国共産党によるウイグル人迫害の新たな証拠となる公安内部の文書や写真を集めた新疆公安文書を公表しました。中国新疆公安当局のシステムに対する第三者のハッキングによって流出した機密文書、政策文書、スピーチ原稿、2,800以上の収容者の写真、2万3,000以上の収容者データ、30万人以上の個人データ、収容施設における警察の武器や活動の拡大、膨大な資料、写真、情報がまとめられたファイルです。この新たな資料から、新疆におけるウイグル人ジェノサイドが習近平総書記の肝煎りの指示であることも判明しました。そして、強制収容所から逃亡しようとするウイグル人に対する射殺命令、殺人許可なども含まれており、想像を超えるすさまじさに国際社会が震撼しています。様々な細かな残虐な事例もるる書かれていますが、これは割愛します。そして、これらはジャーナリストの福島香織さんの記事から引用させていただきました。
この新疆公安文書が確認される以前から、中国共産党独裁の人権侵害問題を国際社会が強く批判し、制裁が実施されてきました。今からちょうど1年前の6月15日に、我々の中野区議会は、中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書を採択しました。今年2月1日には衆議院も対中非難決議を行い、北京オリンピックには我が国を含め多くの国が外交的ボイコットを行いました。そして、今月21日には米国では新法、ウイグル強制労働防止法が施行されました。新疆ウイグル自治区からの輸入を原則禁止し、輸入企業は原材料の調達から製造まで、強制労働に一切関与していないという証拠を求められます。
このような国際情勢の中、酒井区長は、昨年12月、北京市西城区との友好35周年事業行事を、私と竹村区議が中止を求める要望を文書で行ったにもかかわらず、完全にそれを無視し、西城区側に人権問題について何の抗議も言及も行わず事業を行いました。まさしくジェノサイドに加担したと言わざるを得ません。
そこで伺います。区長は、2月24日に開始されたロシアのウクライナ侵略については、3月1日に抗議文をロシア側に送付しました。しかし、共産党独裁中国が行っているジェノサイドについては、何の発信もありませんが、衆議院や中野区議会が決議したのと同様の抗議、非難を声明すべきと考えますが、いかがでしょうか。
そして、今年は日中国交樹立50周年に当たります。とはいえ、共産党独裁中国は、我が国の尖閣諸島の領有権を主張し、公船による領海侵犯を繰り返し、沖縄の分離工作を行い、爆撃機や海軍の艦船に日本を周回させて威嚇し、我が国へのいわれのない批判と挑発と恫喝を繰り返すなど、全く友好的姿勢を示していません。共産党独裁中国の側から、この50周年について、厚顔にも記念事業等の申入れがある可能性がありますが、区から西城区などへの記念行事を実施する旨申入れをする考えはあるのか。あるいは中国側から申入れがあれば事業を行うのか。そのような事業を行うのは、現在の状況では全く適切でないと考えますが、見解を伺います。
そして、その他を先に入れます。中野区あんしんすまいパックについて伺います。
中野区あんしんすまいパック事業については、このサービス事業と、住宅確保要配慮者については加入時の初回登録料を区が補助する助成事業は、それぞれ有用な事業だと認識しています。そして、この事業に加入を希望する住宅確保要配慮者には、高齢などの理由で区の窓口まで申込みに来られない方がたくさんいらっしゃると思います。そして、この事業自体、民間賃貸住宅への入居、住み替えを円滑にすることを目的としている事業ですから、住宅確保要配慮者が仲介の不動産事業者からこのサービスを知ることも多いようであります。
そして、その住宅確保要配慮者が区の窓口に行くことが難しい、この場合に、仲介の不動産事業者が理解して、本人の代わりにその申込みをしてあげようとすることがあります。しかし、私が知っているあるケースでは、本人と相談し、窓口に出向き申込みをしようとした事業者が、出向いたたびに書類の不備を指摘され、都合3回、役所に足を運ぶはめになりました。不動産業者などが、代理の者がサービスの申込み、あるいは契約をした場合でも、補助対象者がサービスの利用に同意し、利用料相当額を不動産会社等に対してその利用者自身が支払う、こういう意思があれば、補助申請を認めるべきではないか、伺います。
そして、この補助の申請についても、先ほど申し上げたとおり、窓口に来られないことについて、区の、役所の側から「本当は窓口に来るべきなんですよ。あなたは来ないけど、認めてあげますけど」という内容の高圧的な電話があったというふうに私は伺っています。こういうようなことが中野区、こういうことが行われていいのか。3回窓口に代理で足を運ぶことになった。あるいは本人が行かなかったからといって、嫌がらせのようなクレームを受けた。こういうことがなく、手続が1回で済むようにし、そして提出書類はなるべく必要最小限で済むように工夫すべきではないか。区長の姿勢認識をお伺いします。
時間が限られましたので、これで質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
- 〔区長酒井直人登壇〕
- ○区長(酒井直人)
- 吉田 議員の御質問にお答えいたします。
私からは、初めに、ミサイル攻撃に対する備えについてでございます。ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮によるミサイル発射など、区民の中には様々な脅威を感じる人もいるものと考えられます。区では、防災行政無線でミサイル発射に関わるJアラートのテスト放送を通じて、区民への意識の啓発に努めているところであります。
国民保護関連については、他自治体の例も参考に、各関係機関とも連携し、有事の際の対処能力を向上させてまいりたいと考えております。
そして、次の初動対処マニュアルの作成についてでございます。国から示された弾道ミサイルを想定した市区町村の初動対処マニュアル作成の手引、これを基に適切に作成していく考えでございます。
そして次に、あんしんすまいパックについての御質問でございます。あんしんすまいパック補助金の申請につきましては、高齢や障害などの理由によって、申請者本人が窓口に来られない場合は、委任を受けた方の窓口申請を受け付けておりまして、申請者の負担軽減と利便性向上を図っているということでございます。個別の事情に応じて丁寧に対応していくとともに、今後手続に必要な書類の内容の見直し、記載例や委任された方の申請方法の提示等改善を図りながら、周知を徹底してまいりたいと考えております。
- 〔企画部長石井大輔登壇〕
- ○企画部長(石井大輔)
- 私からは、子どもに関する予算についての御質問にお答えいたします。
令和4年度の予算は、基本計画で掲げる重点プロジェクトなど、5項目を重点事項とし、限られた財源を優先的に配分したところでございます。令和5年度予算におきましても、重点プロジェクトの一つである子育て先進区の実現に向けて、子育てや教育関連などの施策を強く推進していくための予算を検討してまいりたいと考えております。
続きまして、国際的人権侵害行為についてでございます。中華人民共和国におけます人権侵害についてでございますが、現時点で区から非難声明を出す考えはございませんが、外交課題に引き続き注視し、人権侵害につきまして情報収集を行っていく考えでございます。
- 〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕
- ○子ども家庭支援担当部長(小田史子)
- 私からは、区独自の児童手当制度についての御質問にお答えさせていただきます。
「子どもにやさしいまち」の実現を図るためには、区の子育てや子育ち環境の充実は重要であると認識しております。一方、現金給付などの経済的支援策は、その効果や公平性、財政負担などを総合的に勘案していく必要があり、今後、他自治体の取組等を研究してまいりたいと思います。
- 〔文化・産業振興担当部長高橋昭彦登壇〕
- ○文化・産業振興担当部長(高橋昭彦)
- 西城区との交流についてお答えいたします。
西城区との交流につきましては、令和3年12月に両区の友好関係発展に関する覚書を交わしたところであり、引き続き交流関係を継続していく考えでございます。
- ○議長(内川和久)
- 以上で吉田 康一郎議員の質問は終わります。