中野区基本構想について

第13号議案、中野区基本構想について

討論

○議長(高橋かずちか)
次に、吉田 康一郎議員。
〔吉田 康一郎議員登壇〕
○12番(吉田 康一郎)
育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会、吉田 康一郎です。今回の基本構想に反対の立場で討論をいたします。

予算特別委員会でも申し上げたとおり、この基本構想には決定的に欠けている面があります。

多くの議員の皆様が御指摘されたとおり、基本構想は中野区の最上位の構想である、これは論をまちません。区の最上位であるということは、これは美辞麗句を並べるのが目的ではなくて、区民に必要な行政の内容が少なくとも網羅されている必要がある、ここから全ての計画や様々な政策が引き下ろされる、そういうものでなければなりません。

ところが、この基本構想には、国民保護法制に基づく国民保護計画に基づく住民の防護、擁護、避難、こういったことに係る言及、文面、文言が全くありません。

この賛否を問う、あるいはこの構想の説明を受ける段階で区から受けた説明は、10ページぐらいから成るこの構想の一番最後、「危機の発生に備えた体制を強化します」、この文言が国の自治体に対する責務を定めた国民保護法制に関する文面だ、このように説明を受けました。

そこで、この僅か4行の文言を読みます。「自然災害や感染症などの危機の発生時においても区民の生命・健康・財産が守られるよう、リスク管理や危機管理を徹底し、区民生活に密着する行政サービスの提供を維持するための仕組みと機能を強化します。」

これ以外に該当する文面はない、区はこのように説明をいたしました。「自然災害や感染症などの危機の発生時において」、これは国民保護法が求める武力攻撃事態への自治体の対処、住民保護を説明する文言ではありません。

確認をすれば、武力攻撃事態を国は法律で四つに類型を定め、自治体に責務を定めています。一つはミサイル攻撃事態、二つ目に着上陸事態、三つ目に航空攻撃事態、四つ目にテロ・特殊部隊による攻撃事態。この四つのいずれも、自然災害や感染症などの危機ではありません。

どのような美辞麗句を並べることも結構でありますけれども、最低限国が法律で自治体に定めた責務について、たった一言でいいから、武力攻撃事態における住民の保護、これをきちんと推定させる文言が入っていなければ、基本的な最上位の中野区の構想と私は認めることはできません。

区長は、誰一人取り残さない、こういう区政を目指す、このように標榜しておられるはずですけれども、このような武力攻撃事態において誰一人守ることができない、守ることを定めない構想、これでは欠陥構想であると判断せざるを得ません。

そして、これを予算特別委員会でも申し上げましたし、他の状況でも申し上げましたけれども、区の説明は、パブリック・コメントが終わったから文言は変えられません、こういう御説明でありました。憲法に定められた議会、これが行政手続法で定められたパブリック・コメントよりも劣位にある、このような区の説明は、二元代表制の一角を占める議会として決して認めてはいけない。

この構想の賛否ではなく、これが議案で出されたときに議会から指摘があったときに、議会がどのような指摘をしても、パブリック・コメントが終わったから変えられないんだ、このような区の姿勢をきちんと指摘し、是正させないでこの構想に賛成することは議会の否定です。

でありますので、私は、この構想、内容にも不備がある、手続にも不備がある、この二点において賛成することができない。ぜひ議会としてきちんと機能を発揮するべく、パブリック・コメントが終わった議案は一字一句変えられないなどという区の姿勢に、きちんと、それではいけません、このような意思表示を求め、反対を全会一致でしていただくことを求め、反対討論といたします。

○議長(高橋かずちか)
他に討論がなければ、討論を終結いたします。