沖縄県庁、財政統計数値を操作

沖縄県庁は、恣意的に財政資料を操作し、特定の主張をする為に悪用しているのではないか。

今回、沖縄県が県民経済計算の参考資料で、観光収入と基地収入を異なる基準で計算して比較し、「反基地」「脱基地」の県政に沿う形で、観光収入を過大に発表していた。

昨年1月には、1人当たり県民所得に関して、平成21年度に戦後初めて最下位を脱出した翌年度に計算方式を変更し、22年度以降も最下位を維持している事が明らかになっている。

主張や要望の為に、適正な判断をする為の基礎資料である公の統計を操作する事は断じて許されない。

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《沖縄県が観光収入を過大発表 基地の恩恵少なく見せ、反米に利用か》
2018.1.4 産経新聞

沖縄県が県民経済計算の参考資料で、観光収入を過大計上していることが3日、分かった。異なる基準で計算して基地収入と比較し、結果的に「反基地」「脱基地」の県政に沿う形で、観光収入を大きく見せかけていた。県民経済計算は売上高などから経費を除いたいわゆる利益部分を公表するが、同県の観光収入は売上高をそのまま公表。統計上欠陥がある状態で米軍基地反対運動の材料にも利用されている。(大塚昌吾)

沖縄県は翁長雄志知事が講演や記者会見で、観光収入を引用して経済の基地依存の低下を強調し、「沖縄経済の最大の阻害要因は米軍基地」との主張を展開。地元2紙や基地反対派による「沖縄経済が基地に依存しているというのは誤り」とするキャンペーンや、運動の材料になっている。

沖縄県は平成26年度県民経済計算の参考資料で、同統計には表れない「観光収入」(5341億7200万円)と、基地収入である「米軍基地からの要素所得」(1519億8300万円)を公表している。

県民経済計算は本来、売上高や出荷額から中間投入額(原材料費や光熱水費など)を除くルール。基地収入は、米軍雇用者所得と軍用地料などの合計で、もともと経費はかからないため、県民経済計算のルールに沿った数字だ。

一方、観光収入は、県内空港でのサンプル調査などをもとに県内消費額(ツアーも含む交通費、宿泊、飲食費、レジャー施設入場料、おみやげ代など)を推計し、かかった経費を差し引かずに公表しており、数字が大きくなる。

沖縄振興に関わる政府関係者は「基準の異なる数字を比較材料として使うのは、統計上重大な欠陥」と指摘し、政府の沖縄振興策の適切な執行のためにも、早急な改善を求めている。

工業立国だった日本の統計は製造業が中心で、サービス統計は弱体との指摘がある。県民経済計算でも、産業分類で「観光業」、あるいは最終消費支出で「観光」の項目はなく、「観光収入」の定義もない。

沖縄が基地収入と比較している観光収入について、他県は、観光客が県内で落としたお金=「観光消費額」として単独で公表している。統計が弱体だからといって、自らが志向する反基地政策の補強のために都合良く使っていいわけではない。

政府の経済財政諮問会議でも「統計の改善」が問題提起され、各省庁で作業が進んでいる。沖縄県も、観光立県という政策の実現に向け、米ハワイ州観光局なども参考にした正確な統計づくりを目指す必要がある。

【用語解説】県民経済計算 都道府県ごとの1年間の経済活動の状況を把握するための指標で、平成26年度が最新。国民経済計算に準拠し、県内総生産や県民所得の推計のほか、県の経済動向や産業構造を把握し、県の政策に生かす。

http://www.sankei.com/politics/news/180104/plt1801040003-n1.html

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《沖縄県の県民所得、低く計算 計算方式変更で最下位維持…「基地問題が経済的足かせになっていることを示したいのでは」》
2017.01.05 産経新聞

都道府県ごとの経済力を示す指標である沖縄県の1人当たり県民所得が、他県の例よりも所得が低くなる方式で計算されていることが4日、分かった。沖縄県は平成21年度の1人当たり県民所得が高知県を抜き、戦後初めて最下位を脱出した翌年度に計算方式を変更し、22年度以降も最下位を維持している。政府関係者は、基地問題が経済的な足かせになっていることを県内外にアピールする狙いがあると指摘する。(大塚昌吾)

政府が28年に行った調査では、調査時点で最新の24年度の1人当たり県民所得ランキングで、沖縄県は全都道府県の中で最下位の47位の203万5000円。ところが、高知県(調査時点では45位)と同様の方式で計算し直すと、沖縄県の1人当たり県民所得は266万5000円で63万円増加し、全国28位に浮上することが判明した。県内総生産も、公表されている3兆8066億円から4兆6897億円に上昇する。

高知県方式だと、使用する統計やデータが異なり、従業者数が増え、給与格差の影響が排除されて県内総生産が上昇するといい、政府の担当者は「沖縄県は他県に比べ、所得が低くなる方式で計算している」と指摘する。

政府の担当者は「県民所得は沖縄振興予算などの予算措置の判断材料にはならない」としながらも、「昭和47年の沖縄返還後も基地問題を抱え、そのことが経済的な足かせになっていることを県内外に示したいのではないか」と分析する。

今回の結果について、沖縄県の企画部統計課は「22年度の計算方式の変更は国の基準見直しに伴って行った。統計は自らの県の実情を反映させて計算しているが、恣意的に最下位になるようにしているわけではない」と説明している。

■ 地方創生の推進へ 正確な所得把握には統一基準が不可欠

政府は経済財政運営の基本方針である骨太方針に基づき、アジアの玄関口である沖縄を日本の経済再生の牽引役と位置づけ、沖縄振興策として、33年度まで毎年3千億円台の国の予算を投じている。12月22日にまとめた平成29年度予算案でも、沖縄振興予算として前年比200億円減の3150億円を計上した。

政府は、建前上は予算措置の判断材料にはならないとしているが、弱小県をアピールすることは、さまざまな支援獲得につながる。

統計の専門家も「現在の県民所得統計の計算方式は都道府県によってバラバラで、恣意的でないにしても数字を上ぶれさせたり、下ぶれさせることが可能」と問題視する。

県民所得は、国が示した大まかな基準に沿って、都道府県ごとのマニュアルに沿って推計されるが、具体的な方式は一般には公開されていない。12月に閣議決定した政府の地方創生の総合戦略の改訂版では、県民所得の向上が盛り込まれた。こうした政策の推進や国よる財政支援には、正確な所得把握や作成プロセスの公表が不可欠で今後、統計の統一基準や透明性の確保が急務になる。

【1人当たり県民所得】都道府県の経済力を表す指標の一つ。最新の平成25年度の首位は東京都の450万8000円、最下位は沖縄県の210万2000円で2倍以上の開きがある。

http://www.sankei.com/politics/news/170105/plt1701050006-n1.html