11/17/2017 10:53:18 PM

東南アジアで最も中共に傾倒し依存を深めるカンボジア、民主主義の危機。フン・セン首相、野党を解党、有力紙を廃刊へ。
我が国は強い態度で批判し、圧力をかける必要があります。

《まるでミニ中国! カンボジアのフン・セン首相が「独裁」へ着々》
2017.11.18 産経新聞

 カンボジアで30年以上にわたって政治的実権を握っているフン・セン首相(66)が、与党の支持率が低迷する中、野党や批判的勢力への圧力を強めている。最大野党の党首を逮捕、解党を求める訴えを最高裁に起こしたほか、政権に批判的な新聞を廃刊に追い込んだ。強権的姿勢には内外から批判が高まっているが、フン・セン氏は意に介していない。強気の背景には関係を深めている中国の存在がある。(外信部編集委員 佐渡勝美)

 「解党されれば、君たちは政治的活動ができなくなる。今なら(与党)人民党は受け入れる用意がある」

 英字紙プノンペン・ポストによるとフン・セン氏は5日、最大野党カンボジア救国党の党員らに離党と自ら率いる人民党への合流を呼びかけた。救国党は、9月に党首のケム・ソカ氏が「外国勢力と結託して政権転覆を企て、国家を傷つけた」として国家反逆容疑で逮捕・起訴され、懲役5カ月の判決を受けた。

 党首が有罪になったことを受け、政党法に基づいてフン・セン政権は救国党の解党手続きを進めた。最高裁は16日から審理を始めるが、解党となる可能性が高い。

 救国党の幹部の多くは逮捕を恐れてすでに出国。一連の締め付けを「事実無根の政治的弾圧」と糾弾している。政権が強権的なのは、来年7月予定の総選挙で政権交代が現実味を帯びてきたことへの危機感があるからだ。

 野党が分裂していたこともあり、人民党は下院(定数123)で常に安定的多数を保ってきたが、前回2013年の総選挙では主要野党が一本化。人民党は議席を22減らして68となり、救国党が55議席と躍進した。さらに今年6月の地方選では得票率が、人民党53・7%、野党勢力46・3%と拮抗した。

 政権に批判的な論調で知られた有力紙カンボジア・デーリーは地方選後、「適切に納税してこなかった」として突然、当局から258億リエル(約7億円)の税滞納を指摘された。支払い不能となった同紙は「露骨な独裁制への転落」と題する1面記事を最後に掲載し、9月に発行停止を余儀なくされた。複数のラジオ局も閉鎖に追い込まれた。

 高まる政権批判にもフン・セン氏は馬耳東風の構えだ。英紙フィナンシャル・タイムズは「フン・セン氏の権威主義的な傾向は、西側諸国の援助に頼らざるを得ないという事情によって長く抑制されてきたが、近年は中国の巨額の経済支援がフン・セン氏に本性をむき出しにすることを許してしまっている」と分析する。たとえ国際的に孤立しても、中国の援助さえあれば政権維持は可能とフン・セン氏が判断しているという見方だ。

 カンボジアは南シナ海をめぐる問題でも中国の主張を支持。「何があっても中国は友人」と公言するフン・セン氏は、中国がノーベル平和賞に対抗して創設した孔子平和賞の今年の受賞者に選ばれた。

 日本は1991年のカンボジア内戦終結後、停戦監視や制憲議会選挙実施などでこの国の民主化とは深くかかわった経緯がある。傍観者でいいのだろうか。

フン・セン 1951年生まれ。1970年代のポル・ポト政権で軍司令官を務めたが、後に離脱しポル・ポトと対立した。内戦中の85年、ヘン・サムリン政権で首相に就任。内戦終結後の93年にカンボジア王国が復活した後も首相の座にとどまり続けている。

写真:11月9日、プノンペンで行われた独立記念日の祝典に参加したフン・セン首相(ロイター)

http://www.sankei.com/world/news/171117/wor1711170028-n1.html

https://www.facebook.com/koichiro.yoshida.jp/posts/874142172753320