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性善説に基づく我が国の土地所有権の強さ、諸外国の外国人土地所有規制、近隣諸国の我が国領土への侵略意図等を踏まえ、外国人の土地所有について規制が必要です。

GHQにより死文化された外国人土地法の1条並びに4条に基づく政令の制定を含め、条約の見直し、各種法整備が必要です。

《「外国人による土地買い占め」は本当は何が問題なのか
北海道の森林や水源地、飛行場周辺の土地に殺到する中国系投資家たち》
2017.07.25 文春オンライン 牧野知弘

 日本で不動産を購入すると、その対象が土地であろうと建物であろうと、ほぼ完全な形で所有権を持つことができる。実は不動産に対して完全なる所有権を持てる国というのは世界では少数派だ。

■ 日本以外のアジア諸国では土地取引は借地権のことが多い

 たとえばアジア諸国などでは多くの場合、土地取引は借地権である。50年や70年といった期限があり、土地自体を所有するということは多くの国で認められていない。ちなみにイギリスで土地を買っても、それは借地権にすぎない。イギリスの土地は女王陛下のものだからだ。

 また日本国内では外国人が不動産を購入するに際してはほぼ何らの制限も存在しないが、日本人が外国で不動産取引する場合は、かなりの制限が課せられることが普通だ。東南アジアの多くの国々では、日本人や日本の会社が単独で土地を所有することはできず、多くの場合、現地人や現地法人とシェアして所有することとなる。当然、日本側の所有権割合はマイナーシェアの50%未満ということになる。

 日本はこと不動産取引については規制のない、グローバルなマーケットと言ってもよい。

■ 北海道や軽井沢のリゾートマンションに殺到するアジアの富豪たち

 このことは、外国人による日本の不動産に対する関心を大いに刺激している。北海道のニセコで売り出される新築のリゾートマンションの最近の買い手に、今や日本人の姿はなく、主役は香港、シンガポール人だと言う。新築物件の価格も、坪当たり500万円を超えている。100平方メートルで1億5000万円だ。この価格は東京の港区あたりの新築マンションの価格に匹敵する。
外国人が押し寄せるニセコのスキー場 ©getty

 香港人には軽井沢も大人気だ。香港には高原リゾートが存在しないので、軽井沢や北海道の別荘やリゾートマンションは、富裕層の間ではちょっとした投資ブームとなっている。

■ 飛行場周辺や水源地、鉱泉地を狙う中国系投資家

 これが別荘やリゾートマンション程度ならばよいのだが、最近は飛行場やダムの周辺の土地、水源地、温泉源になる鉱泉地などを買う中国系投資家も後を絶たない。

 農林水産省の調べによれば、昨年1年間に外国人により買収された国内の森林は、202ヘクタールにも及んでいる。買収された森林のほとんどが北海道だ(約201ヘクタール)。買い手の多くがシンガポールやマレーシアなどの華僑だという。

 日本の不動産の所有権は極めて強固であるために、いったん取得をされてしまえば、その取扱いは限りなく彼らの自由だ。

 日本の不動産は誰でも自由に所有できるために国にとっての重要な社会インフラや国防上重要な土地などの買い占めには、国として注意が必要になってきているのである。

■ 「私権」の強さは空き家対策やマンション管理にも影響

 この「私権」の強い日本の不動産だが、国内でも徐々に問題になりつつある。空き家は全国で820万戸にもおよび、その対策が急務となっているが、2015年に空家等対策推進特別措置法(空き家特措法)が施行されるまでの間は、地域で問題を引き起こしている空き家が存在しても、自治体の職員が空き家の所有者を特定するために固定資産税台帳を閲覧することができなかったし、敷地内に入って内部を調査することさえ許されてはいなかった。敷地内に入ることが不法侵入にあたるからだ。

 築年数が経過し老朽化が著しくなったマンションでは、住民の高齢化により、マンション管理組合の活動に参加する人が減少しているところが増えているが、大規模修繕の実施や建替えの協議をするにあたっても、いっさい話し合いに応じない所有者の存在に悩まされ始めている。

 欧米などでは所有権を持っていても、社会コミュニティーの意識が強いので、コミュニティーに参画しない人は、排除される傾向にある。ところが日本では、所有者が家の中に閉じこもってしまうと、容易なことでは動かすことはできない。

 かつて成田空港の用地買収の際に、大規模な反対運動があったが、国家的見地から新しい空港建設を決定しても、なかなか不動産の権利者を動かすことができない国、それが日本なのだ。

 コンパクトシティ化を目指す自治体でも、都市郊外部に拡散した不動産の所有者を中心市街地に集約することを妨げているのがこの「私権」の強さだ。

■ マンションの老朽化と住民の高齢化による悪夢のシナリオ

 このことを家選びで考えると、特にマンションのような区分所有権で長く不動産を所有することは得策ではないことに気づく。自分は一生懸命管理費、修繕積立金を支払っても、他の権利者が滞納すれば、必要な修繕や建替えなどは叶わなくなる。管理組合でもいつでも皆が同じ方向を見つめるとは限らないのだ。

 そもそも日本人はコミュニティー意識が希薄なので、築年数が経過して、所有者が高齢化しているようなマンションになるほど、区分所有者間の合意形成は絶望的になってしまうのだ。

 マンションの中には建物の老朽化と住民の高齢化で、マンションとしての価値がなくなり、売却もままならない物件が増えつつある。そんな中、こうしたマンションを相続してしまうと、賃貸にも供せず、売却もままならずに、管理費、修繕積立金と税金だけを永遠に払い続けなければならない結果にもつながりかねない。

 不動産における私権の強さは、今後日本の不動産に多くの難題を突き付ける可能性を持っているのだ。

■ 牧野 知弘 まきの ともひろ
東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し、ホテルリノベーション、経営企画、収益分析、コスト削減、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT(不動産投資信託)市場に上場。2009年株式会社オフィス・牧野設立およびオラガHSC株式会社を設立、代表取締役に就任。2015年オラガ総研株式会社設立、代表取締役に就任する。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)『老いる東京、甦る地方』(PHPビジネス新書)『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)『2020年マンション大崩壊』『2040年全ビジネスモデル消滅』(ともに文春新書)などがある。テレビ、新聞などメディア出演多数。

写真:ニセコの羊蹄山©iStock.com

http://bunshun.jp/articles/-/3430

https://www.facebook.com/koichiro.yoshida.jp/posts/819395698227968