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マイケル・ヨン氏。真実を追求しているジャーナリストです。

《憎しみの種を植える中国 加担する記者たちは責任を負う 米国人ジャーナリスト、マイケル・ヨン》
2017.02.25 産経新聞

 アメリカ人のジャーナリストに、「あなたは中国政府を信じるか」と尋ねてみなさい。もし、答えがイエスであるなら、もうその人と何も話す必要はない。しかし、もし、答えがノーであるならば、次には「彼ら(中国政府)は、日本について真実を語っていると思うか」とたださなければならない。

 中国は、死をもたらす情報戦争を主導している。第一の標的は日本。最終的な目標は米国だ。2年以上、私たちのチームは、中国が推し進める過激化プログラムが、日本を標的としたテロの発生につながるだろうと警鐘を鳴らしてきた。これらの警告が正しかったことは、小規模な攻撃が加えられたことなどから証明されている。

 2015年11月には、過激な韓国人の男が靖国神社内で爆発物を起爆させた。男は韓国に逃亡したが、翌月、日本に戻ったところを逮捕された。

 2013年には、別の韓国人の男が靖国神社に不法侵入し、建物にシンナーが入った缶を投げつけて取り押さえられた。これは2011年に中国籍の男が靖国神社の門に放火した事件を模倣したものとみられている。同じ男がその後、ソウルの日本大使館を襲撃し、逮捕された。しかし、男が靖国神社放火犯だとわかると、韓国当局は男の身柄引き渡しを拒否した。

 さらに、2010年に日本大使殺害未遂事件を引き起こした韓国人の慰安婦活動家が、2015年には、米国のリッパート駐韓大使暗殺未遂事件を起こし、大使は刃物で顔を切りつけられて血まみれになった。

 中国、韓国のメディアと両国政府が、日本を悪魔のように扱うことが多くなるにつれ、同様の事件が増え、それが当たり前のようになってきているのだ。

 私は個人的に、この題材などについて中国、韓国、日本、タイ、台湾、フィリピン、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、そして米国の11カ国・地域で調査を行った。だが、反日感情を持つとプロパガンダ(政治宣伝)されているこれらの国のほとんどが、まったく逆の状況であった。たとえば、インドネシアでは、日本人は同国の独立のために戦ったとして、米国のアーリントン国立墓地に相当するインドネシアの墓地に埋葬されている。私と研究チームの仲間は実際、数千ものイスラム教徒が眠る墓地に、日本人がまず先に埋葬されているのを見た。

 タイも、(日本人に対する)恨みを持った国であると喧伝されている。私は米国人だが、私のタイ人の家族は、休暇には日本に旅行する。タイ人たちは、日本人に対する恨みなどはない。彼らは、(日本人を)仲間だと思っている。市民の草の根レベルから政府まで、関係は良好である。

 私の事務所近くのバン・カットには、日本兵を祀った大きな記念碑が学校の敷地内にある。もし、日本人が地域を破壊し尽そうとしたなら、タイ人たちは1万8000人もの日本兵士の記念碑を学校に建立するのを許すだろうか。タイのアピシット・ウェーチャチーワ元首相とバンコクで個人的に話す機会があり、靖国神社や慰安婦について、タイの立場について尋ねたが、答えは、何もないだった。

 一握りの日本人たちは、第二次大戦の戦場だったバターンやカンチャナブリで戦争犯罪は行われなかったと、主張している。私たちはこれらの場所やほかの場所でも調査を行った。その結果、日本兵による戦争犯罪は事実であった。ただ、反日プロパガンダとは異なり、その問題について学んだほとんどの日本人は、証明された事実やほぼ確実な事実については痛恨の念を表明している。

 しかしながら、日本人が慰安婦として40万人もの女性たちを性の奴隷として組織的に誘拐していたというプロパガンダは偽りだ。そうしたことは起きなかった。20年前、先ほどの誘拐された女性の数は20万人だったが、その前には2万人だった。このまま増え続けると、そのうち100万人になるだろう。誰も、慰安婦という名の合法的な売春制度が存在していたことを、議論しようとしているわけではないのだ。慰安婦制度は存在していた。そして、韓国にも、そのほかの国にも、いまなおそうしたものが存在している。

 こうした慰安婦たちは、旧オランダ領のジャワ島でいくつか報告されているほか、私もミャンマーのカロゴン村で新たに3人の元慰安婦の女性を見つけた。97歳の生存者にも聞き取り調査も行った。しかしながら、ほとんどの女性たちは自ら奉仕していたと語った。ただ、朝鮮人のブローカーたちにだまされて、連れてこられたという女性たちもいた。

 ある米国人の作家で、有力な雑誌のジャーナリストが、ソウルを旅して突然、慰安婦についての記事を発表した。彼の記事は、中国と韓国の視点を載せたものだった。私は彼に電話をして、どこから情報を得たのか尋ねた。

 彼と、ほかのジャーナリストたちはツアーに招かれ、「説得力のある」展示をみせられたのだ。私も同じツアーに参加したが、時期が違った。詐欺であることは明らかだった。真摯な研究者はこうした罠には陥らない。しかし、ジャーナリストたちは、日々、誤った方向に報道を繰り返す。偽りのニュースは広がり、しばし、それを邪魔する者を破壊するのに十分な慣性を得るのである。

 私は、丁重に彼が情報戦の渦中に踏み込んだことを知らせた。彼は、自らを守る姿勢に転じ、私がホロコーストを否定する者であると非難した。ホロコーストは実際にあった出来事だ。その証拠は動かしがたい。だが、日本とはまったく無関係なのである。彼は、反日勢力理想的な道具となった。情報の戦士たちは、キーボードをたたくことで雄叫びをあげる。勝ち誇った叫び声なしに、情報戦はうまくいかないのだ。

 ソウルでの3週間に及ぶ調査では、毎日のように、時には1日に数回、ソウルの日本大使館前の慰安婦像に足を運んだ。今から1年以上前のことだが、反日団体として知られる韓国挺身隊問題対策協議会の活動の一環として学生たちは、像のそばに24時間体制で寝泊まりしていた。カトリック教会の修道女たちもしばしば彼らとともに夜を徹して抗議行動を行うのだ。ソウルのカトリック教会は、公然とこうした政治的な憎悪が波及するのを助け、日本大使館前で毎週のように行われる抗議行動に参加している。ソウルにあるフランシスコ会修道院の入り口にまで、慰安婦像が設置されていた。

 中国の南京では、大虐殺をテーマにした巨大な博物館に行った。建築費は、数千万ドルはかかっただろう。そこは、中国政府が支援してつくった、日本への憎しみを焚きつける場所のひとつであった。建物の前には、生徒たちで満員となったバスが次々到着し列をつくり、生徒たちは鮮やかな色の旗を持ったガイドに連れられてディズニーランドの水準にある博物館に入る。博物館の展示物は、忘れられないほどショッキングなものだ。1000点以上にも上る展示品は、スマホのカメラで撮影しやすいようにライトで照らされ、斬首している人形の写真撮影を勧めている。博物館は、まさに(情報戦争の)最前線の武器となっているのだ。

 南京で様々な者たちによる戦争犯罪は起きた。日本人も部分的には責任を負っている。しかし、中国側が誇張するほどのものではない。日本は過ちに対する自責の念を表明したが、中国は決して自らの過ちを認めない。中国側は現在、30万人が殺害され、多くの女性がレイプされたと主張している。米国の反日ジャーナリストたちは、当時の犠牲者数は2万から3万人だとしている。中国側は決して明らかにはしないだが、犠牲者の多くは、中国国内で起きていた内戦に起因するものなのである。

 現段階で最低限言えることは、▽南京において戦争犯罪は発生した▽犠牲者の数は、宣伝されている数より遙かに少ない▽中国人の軍人自身が多くの残忍な行為に関わっていた▽そして、現在、中国側はそれ(南京事件)を、国民が日本への憎悪を育むための肥料として使っている-という事実である。

 米国のベストセラー作家、ローラ・ヒレンブランド氏が著書『アンブロークン』において、第二次大戦中の1944年、日本軍が北マリアナ諸島のテニアン島で、5000人の朝鮮人を皆殺しにしたと偽りの主張を二度もして、真っ黒なしみを残してしまった。私たちは、彼女の主張に反論した。そして、軽蔑され、さげすまれた。ヒレンブランド氏は、まだ生存している可能性がある人々たちに対して、戦争犯罪の疑いをかけたのだ。戦争犯罪に対する時効というものは存在していない。

 ヒレンブランド氏が1944年に起きたと主張する虐殺のすぐ後に、米軍はテニアン島に侵攻し占領。その島から2つの原爆投下作戦を遂行した。私たちの調査チームは、朝鮮人たちが元気に生存していた証拠である米国の月間人口調査報告など多くの文書を見つけた。それらの中には、朝鮮人たちが日本を敗戦に導くため、666ドル35セントの寄付をしたとする文書も含まれている。

 私たちは、ヒレンブランド氏が彼女の読者たちを欺いたことを証明した。最後に私は、ヒレンブランド氏、もしくは彼女の告発が正しいと証明できた最初の人物に対し、2万ドルを支払うと公表した。もし、その告発が真実であるなら、驚くほど簡単に証明できるはずだが、いまだ証明した者はいない。

 もう一つの情報戦の舞台は、東京にある靖国神社だ。私を含む米国の退役軍人の多くがその聖なる地を参拝し、自分たちの祖先とかつて戦った日本人に敬意を示している。慰安婦や南京に焦点を当て憎悪を扇動することは、人々が靖国神社への参拝に対し、感情的に反応するよう仕向けているのだ。しかしながら、靖国神社を批判する者や抗議する活動家たちは、北京でガラスの下に横たわる、史上最悪の大量虐殺を行った毛沢東の蝋人形を中国が崇拝している、という皮肉を決して口にはしない。

 靖国神社とアーリントン国立墓地を比較すると、アメリカ人の中にも反発する人が出てくる。彼らは、自分たちにとって都合のよい見識に合うように勝手に決めつける人か、靖国には戦犯たちが合祀されていると、反発するかのどちらかだ。しかし、アーリントンにも戦犯たちが埋葬されていると反論することはできる。私たちの内戦(南北戦争)で(合衆国に反旗を翻し、敗れた)南軍の軍人たちもアーリントンには眠る。彼らは、奴隷制度存続のために戦った。フィリピンでの暴動や、アメリカ大陸の原住民に対する扱いなど、ほとんどすべての戦争の戦犯たちがアーリントンには確かに埋葬されているのである。

 ベトナム戦争中に起きたソンミ村での虐殺事件で、軍事法廷で処分を受けたコスター准将も、その一例である。コスター准将は、第二次大戦後に戦犯として処刑され、靖国神社に合祀された山下奉文大将とも比較される。コスター准将は、(米陸軍士官学校の敷地内につくられた)ウエスト・ポイント墓地(第18区画、G列、墓標番号084B)に埋葬された。果たして、米国人はベトナムの大統領からの不満表明を真剣に受け止めるだろうか。あるいは、政府高官がアーリントンかウエスト・ポイントの墓地に敬意を表したとして、何か問題が起こるだろうか。

 米国で尊敬されている指導者のひとり、米軍人のカーチス・ルメイ大将は、こんな名言を残した。「もし、私たちが戦争に敗れれば、われわれはすべて戦犯として罰せられていただろう」

 日本人の死生観は、ほかの多くの国の人たちとは異なっている。神道では、死んだ人はすべて平等になる。突如として、将軍も、個人の権利も、犯罪者も、聖人もなくなるのだ。すべての人は、ニュートラルなものとなるのだ。ロサンゼルスには、ほとんどの隊員が日系アメリカ人からなる第442連隊戦闘団の記念碑がある。第二次大戦中につくられた第442連隊戦闘団は、米国史上最も多くの勲章を受けた部隊となった。第442連隊戦闘団は、記念碑を有し、それは正真正銘、名誉ある場所なのである。第442連隊戦闘団の記念碑は、戦没した英雄たちの名が刻み込まれた大きな壁だ。だが、そこに階級は記されていない。彼らの魂は平等なのだ。これが日本人の価値観なのである。

 靖国神社には、240万柱以上の英霊が祀られている。朝鮮人も、軍務で亡くなった動物たちも含まれている。その中には、14柱のA級戦犯も含まれている。中国人は、これをうまく使ってアメリカ人をだまし、韓国人をたきつけ刺激する。その一方で、中国人は、日本の残虐行為を批判しながら大虐殺を行った毛沢東を礼賛し続けている。だまされやすいアメリカ人は特に、この皮肉の意味を理解できないのだ。朝鮮人たちは、彼らが日本国民として、日本軍兵士や将校として戦った事実に目を背けたいようだ。ただし、アメリカ人捕虜たちを虐待した「日本の」憲兵隊の多くは、実は朝鮮人たちだった。しかし、こんな事実もほとんど語られない。

 中国は、日本人が悪霊を呪文で呼び起こすために靖国神社に祈りを捧げていると宣伝することで、中国自身の犯罪から目をそらさせ、日米の関係に摩擦を起こすという一石二鳥の効果を得るのである。これはまるで、映画の筋書きのようである。

 2016年12月29日、日本の防衛大臣が靖国神社を参拝した。予測されたように、米紙ワシントン・ポストは次のように伝えた。

 「東京発-米国の真珠湾から先ほど帰国した日本の防衛大臣、稲田朋美氏が木曜日、戦犯たちを含む日本の戦没者を祀った東京にある神社を参拝した…稲田氏の参拝と、それに先立ち行われた別の閣僚による同神社への参拝は、日本に隣接する韓国と中国から非難を浴びた」-。

 中国政府は、人々の心に憎しみを植え付け、過激化させることで、紛争が起こるように仕向けている。これは、マインド・ゲームどころの話ではない。人々が武器と化すのである。

 中国が人々の心に植え付ける憎悪によって日本人が殺害されるのは、もはや時間の問題である。そして、中国が作り出す、日本で軍国化が進んでいるという神話は、もはや単なる予言ではなくなるだろう。だまされやすい記者たちは、そうした結果をもたらすことに責任を負う必要がある。

■ マイケル・ヨン 1964年、米国・フロリダ州ウィンターヘイブン生まれ。元グリーンベレー隊員だったが、90年代以降、独立した特派員として活動を開始。イラク戦争やアフガニスタン戦争の前線の真実を伝えたリポートが評価された。慰安婦問題では、米政府が3千万ドル(約35億6200万円)と7年の歳月をかけた調査で強制連行や性奴隷化を裏付ける証拠は発見できなかったと結論づけたIWG報告書をスクープした。

 ヨン氏は「中国の謀略としての慰安婦問題」と題してジャーナリストの古森義久氏とも対談。その内容は発売中の正論3月号に掲載されている。

http://www.sankei.com/premium/news/170225/prm1702250023-n1.html

写真左:マイケルヨン氏(菊本和人撮影)
写真右:雨の靖国神社(マイケル・ヨン撮影)

https://www.facebook.com/koichiro.yoshida.jp/photos/a.188901204610757/733307620170110/?type=3