10/18/2016 07:52:46 AM

米民間機関による北朝鮮の世論調査。国民が金正恩政権に激しい怒りや敵意を抱く、と。

《【北朝鮮情勢】国民は正恩政権に激しい敵意も、実力行動は…米民間研究機関が初の“世論調査”》
2016.10.18 産経新聞

 米国の北朝鮮研究組織「境界線を越えて(BP)」がこのほど北朝鮮国内で秘密裏に世論調査を実施し、その結果を初めて公表した。それによると、北朝鮮の国民は金正恩(キム・ジョンウン)政権に激しい敵意を抱きながらも実力行動を起こすには至らないが、私的な経済活動を政府が弾圧することには最も強い怒りを感じているという。(古森義久)

 BPは、本拠をワシントンに置く戦略国際問題研究所(CSIS)やピーターソン国際経済研究所、ブルッキングス研究所、アメリカン・エンタープライズ研究所などの民間シンクタンクが集まり、今年7月に結成された北朝鮮研究専門の合同調査班。CSIS朝鮮部長のビクター・チャ氏やピーターソン国際経済研究所朝鮮研究部長のマーカス・ノーランド氏が中心的役割を果たす。

 今回の世論調査はBPが独自のルートで北朝鮮内に住む計36人(男性20人、女性16人)を対象に実施した。年齢は20~80歳で、職業は工場労働者や主婦、料理人、医師など多様だ。地理的にも北朝鮮内の9行政区に及ぶ。これまで北朝鮮国民に対するヒアリングは、脱北者を対象したものがほぼ全てだった。

 BPでは今回の世論調査の手法は秘密としながらも、調査は実際に口頭で相手に直接、質問して回答を得たとしている。質問の内容は政府への認識、生活実態、苦情や不満などだ。

 北朝鮮の総人口約2500万人のうち36人のみの回答ということで正確度に課題はあるが、直接、北朝鮮の国民を対象に行った世論調査は初めてという点で意義がある、としている。

 BPが発表した調査結果を集約すると以下の通り。

 自分たちが「社会主義パラダイス」に住んではいないことを熟知▽政権に激しい怒りや敵意を抱いているが、なお政権打倒を現実的に考えるには至っていない▽政府の食糧配給制度に、もはや依存してはいない▽闇市場利用など非合法とされる私的な経済活動への政府の弾圧や懲罰に最も強い反感を抱いている。

 北朝鮮では建前として市場経済的な活動は禁じられているが、現実には闇経済として広範に行われている。政府は私的な闇経済活動を取り締まることが多いのだが、今回の調査では、私的経済活動への弾圧に対し最も激しい怒りや反発を感じるという回答が圧倒的に多かったという。

 また「政府の食糧配給制度はあなたの適切な生活の維持に必要な食糧を提供しているか」という質問には、肯定する回答がゼロだった。その結果、同調査では「北朝鮮では政府が内外に宣伝してきた食糧配給制度は事実上、崩壊した」と総括した。

http://www.sankei.com/world/news/161018/wor1610180076-n1.html

https://www.facebook.com/koichiro.yoshida.jp/posts/659742314193308