国立遺伝学研究所。縄文人は現在、東アジアや東南アジアに住んでいる人々より早く枝分かれした。現代の「本土日本人」に縄文人から伝わった遺伝情報は約12%。
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《「本土日本人」に含まれる縄文人の遺伝情報 約12%》
2016.09.01 NHK
現代の「本土日本人」に含まれている縄文人からの遺伝情報は、およそ12%だとする研究結果を、国立遺伝学研究所などの研究グループがまとめました。細胞の核に含まれるDNAを用いた新たな解析によるもので、研究グループは「縄文人が大陸系の人類と交流して、現在本土に住む人々を形づくったことを裏付けるデータだ」としています。
国立遺伝学研究所の斎藤成也教授らのグループは、福島県にある縄文時代の集落の遺跡、「三貫地貝塚」から出土した、およそ3000年前の縄文人の歯から、細胞の核のDNAを取り出しました。
縄文人のDNAは、これまで細胞の中にある「ミトコンドリア」という器官に由来するものしか得られていませんでしたが、細胞の核のDNAはミトコンドリアのDNAに比べ、数千倍から数万倍の情報量があり、遺伝情報がより詳しく分析できます。
研究グループが、人類が各地に移り住む中で枝分かれする過程を探ろうと、このDNAを基に、さまざまな人々との関係を新たに調べたところ、縄文人は現在、東アジアや東南アジアに住んでいる人々よりも早く枝分かれしたと考えられることがわかりました。
そのうえで、現代の「本土日本人」とも遺伝情報を比較したところ、縄文人から伝わったと考えられる遺伝情報の割合は、およそ12%だったということです。
「本土日本人」は、縄文人と大陸から稲作などを伝えた弥生系の人々が交流して形づくられたという仮説が有力で、斎藤教授は「縄文人の遺伝情報が、1割以上も伝わっていることがわかり、改めて仮説を裏付けることになった」と話しています。
研究結果は日本人類遺伝学会の学会誌に掲載されます。
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