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リアル「戦車道」ではありませんが。

《世界最強を決める! NATO「戦車コン」は実弾使用のガチ、優勝したのは?》
2016.05.31 産経新聞

 本番さながらの射撃競技などで欧州最強の戦車を決める「戦車コンテスト」が5月10~12日の3日間、ドイツ・バイエルン州のグラーフェンヴェーア訓練場で開かれ、北大西洋条約機構(NATO)の6カ国が参加。実弾も使った“タンクバトル”で勝利したのは、やはり戦車王国のドイツだった。   (岡田敏彦)

■ NATOの最精鋭が集結

 コンテストの正式名称は「ストロング・ヨーロッパ・タンク・チャレンジ」。NATO加盟国のアメリカ、ドイツ、デンマーク、イタリア、ポーランド、スロベニアの計6カ国が参加し、各国戦車師団が精鋭の1チーム(1個小隊)4台、米国だけは2チーム計8台を派遣した。

 装備戦車も一流揃いで、米国はM1エイブラムスの最新型「M1A2SEPv2」。イタリアは国産の「アリエテC1」がエントリー。

 ドイツはレオパルト2A6、デンマークとポーランドはレオパルト2A5と、いずれも独製レオパルト2の進化型で参加。スロベニアは旧ソ連(ロシア)の「T-72」の発展型「M-84」で、セルビアやクロアチアでも使われている、旧東側の技術を汲む戦車で挑んだ。

 なかでもM-1の最新型「SEPv2」(システム拡張型バージョン2)と、レオパルト2の最新型「A6」という、世界最強の下馬評が高い2車種が同じ土俵で“戦う”とあって、在欧米陸軍ホームページ(HP)でも特集を組むなど、盛り上がった。英国の戦車「チャレンジャー2」やフランスの「ルクレール」が不参加とはいえ、事実上の「世界最強戦車決定戦」といえる。

■ 120ミリ砲が唸る

 コンテスト内容は、3つのカテゴリーの“競技”で満点の1000ポイントを競うもの。仮想敵のロシア陸軍に見立てた標的を相手に攻撃戦闘(350ポイント)と防御戦闘(同)などを行うもので、実弾を射撃して撃破率などを競う。

 競技前には各国の戦車兵がお互いの戦車を紹介しあうなど、ほほえましい場面も展開されたが、競技が始まると雰囲気は一変。各チームは高速走行しながら標的を狙い撃つ「行進間射撃」など、高い練度が必要な課題に次々と挑戦した。

 このほかIED(仕掛け爆弾)攻撃を受けた際の対処と乗員の救助、応急手当て▽核兵器や生物化学兵器の攻撃への対応▽故障戦車の回収作業や履帯(無限軌道)の交換▽敵味方識別▽カムフラージュネットなどを用いた擬装作業▽脱出時を想定した戦車乗員の小銃(ピストル)射撃-などの競技が行われた。

■ 優勝は、やっぱりドイツ

 審査の結果、優勝したのはやはり第二次大戦以来の「戦車王国」の伝統を受け継ぐドイツだった。同国防軍のHPでは、競技内容を紹介しつつ「パンツァー、フラー!」(戦車バンザイ!)と喜びのコメントを掲載した。

 2位はデンマーク、3位はポーランドで、車種別にみればレオパルト2が1~3位を独占した。

 ドイツのレオパルト2「A6」は長砲身の55口径で、デンマークやポーランドの「A5」の44口径と比べると遠距離砲戦の命中精度の点で「A6」の方が有利とされる。しかし欧米メディアでは「ドイツだけ射撃の的が小さかった」という指摘があり、ある程度のハンデが設定されたうえでの堂々の優勝だったようだ。

 またポーランドチームは攻撃戦闘時の実弾射撃で、2キロ以上離れた標的の75%を破壊し、350点満点のうち285点を獲得したという。

 対称的に、米国のM1A2SEPv2の2チームは下位に沈み5、6位というまさかの展開。91年の湾岸戦争以来、中東で実戦を重ね、世界で最も「コンバットプルーブン」(実戦での性能証明)された戦車のM1が選外となった点は、米軍にとって今後の課題となりそうだ。

 米ネットメディア「デイリー・シープル」などでは、米軍はアフガニスタンやイラクで、ゲリラやテロリストを相手にした「非対称戦」に傾注するあまり、東西冷戦時代から欧州で重視されてきた「戦車対戦車」の訓練を重視してこなかったことが原因だ、との軍幹部の声を紹介している。

 そして極めて重要なこととして、イタリアは米軍の2チームを差し置いて4位を獲得した。最下位はスロベニアだった。

在欧米陸軍の公式動画はhttp://www.eur.army.mil/tankchallenge/

http://www.sankei.com/west/news/160531/wst1605310006-n1.html

https://www.facebook.com/koichiro.yoshida.jp/posts/611389012361972