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中国社会科学院(国務院直属の社会科学の最高学術機構)、「これまで謳歌してきた『メイド・イン・チャイナ』の春は二度と来ない」と断言。
とうとう中国の最も権威ある政府系シンクタンクが製造業の競争力の喪失と経済失速の深刻さを認めました。

《「春は二度と来ない」中国政府系シンクタンク、異例の〝弱気〟ついに海外論評にも屈服》
2016.01.26 産経新聞

 年明け以降も失速に歯止めのかからない中国経済。中国の政府系シンクタンク「中国社会科学院」が公表した報告書が、その深刻な状況の一端を伝え、波紋を広げている。過去の強気一辺倒の姿勢は影を潜め、現状を「春は二度と来ない」「前門の虎、後門の狼」などとする“自虐的”な表現も。かつてない弱気な内容に、専門家は「政府関係者の強い危機感の表れ」とみている。

■ 異例の内容に衝撃

 中国社会科学院は1977年に設立された中国国務院直属の社会科学研究などの最高学術機構。31の研究所や、45の研究センターをはじめ、3200人もの研究者を擁する。中国の五カ年計画策定の基本作業をするなど、政府の経済政策にも大きな影響を与えている。

 その科学院が経済失速を鮮明にしてきた昨秋、「『メイド・イン・チャイナ(中国製造業)』の新常態」と題し、中国経済に最新の分析を加えた報告書を公表。あまりに深刻な内容が、海外の専門家たちも驚かせた。

 まず報告書では、最近の中国の貿易状況について、「振るわない状態が続いているだけでなく、ますます悪化しているとも言える」と指摘。最新の貿易統計を引用し、「品質向上とシェア拡大の痕跡はみられる」と一定の評価はしたものの、「不確かでとらえ所がなく、自分で自分を慰めている感がぬぐえない」と厳しく批判した。

 さらに「心配なのは、中国の製造業が直面しているのは、不景気という一時の落ち込みではなく、国内外の経済環境の変化がつくり出した新常態である」と警告した。

■ 深刻な内情

 報告書は、中国経済が直面している数々の課題も浮き彫りにした。

 労働コストと運営コストが上昇し続けているとし、「労働力の比較優位性は次第に弱まり、構造転換と高度化をせまる十字路に至って、方向転換のために速度を落とさざるを得ない。製造業は内憂外患の双方からの圧力のもと、ボトルネックに入り込んでいる」と分析。

 さらに中国の製造業は、東南アジアや発展途上国との低コスト競争に直面する一方、先進国の攻勢に抵抗しなければならないとし、「『前門の虎、後門の狼』の中間に深く入り込んだ」と表現した。

 今後の見通しについても「戻ろうとしてもすでに退路はなく、これまで謳歌してきた『メイド・イン・チャイナ』の春は二度と来ない」と断言した。

■ 海外の指摘にも“屈服”

 また報告書は、海外の研究機関などが指摘する中国経済の深刻な状況についても、率直に認めた。

 米ボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表した報告書「主要輸出国25カ国の生産コスト比較世界の生産拠点の勢力図の変化」によると、中国の生産コストは、すでに米国と差がほとんどなく、米国の生産コストを100とすると、中国の指数は96に達している。

 報告書は、この分析を引用し、「(米報告書は)広く注目され、大きな波紋を起こした。ある一部の製品や事例を用いて刺激的な結果を出すことで、人々の興味を引き付けることが目的であるのは明白」と反論しながらも、「少なくとも一定程度、(中国の)製造業における労働コストという強みが確実に低下していることを説明している」と率直に認めた。

 報告書は英フィナンシャル・タイムズ紙の論評「世界貿易の新常態を知る」も引用。そこでは、世界の貿易量全体が減少する中で、中国が東アジアの生産工程の中で最終的な製品化を手掛けてきた状況が一変し、「貿易の経済成長に対する反応は長期的に下降傾向」にあるとしている。

 その指摘についても、報告書はおおむね認めたうえで、「製造業が直面している新常態を正確に認識し、判断しなければならない」と呼びかけた。

 中国の政府系シンクタンクが、これほど自国経済を“弱気”にとらえた報告書は異例という。

 報告書をみた専門家の間からは「これまでの強気の見方とは一変し、驚いた」とする声が上がる一方で、「経済失速への危機感が、政府関係者の間にも広がっている証拠」という意見も聞かれた。

http://www.sankei.com/west/news/160126/wst1601260001-n1.html

https://www.facebook.com/koichiro.yoshida.jp/posts/541061496061391