2015/07/03 23:40

《利下げも効果薄… バブル相場崩壊の警戒強まる中国株》
2015.07.03 産経新聞

 【上海=河崎真澄】中国の株式市場が急落を続けている。上海市場全体の値動きを示す上海総合指数は3日、前日終値比5.8%安の3686.9で取引を終えた。5178.2と年初来最高値を付けた6月12日から、3週間で30%近い下落を記録した。この間、中国当局は利下げや取引規制緩和などテコ入れ策を矢継ぎ早に打ち出したが、効果は限定的だった。市場はバブル相場崩壊への警戒を強めている。

 年初来の急騰も、その後の急落も、今回の株価の激しい値動きは、いずれも市場の約80%を占める個人投資家が“主役”だった。

 急騰局面は、銀行からの借入資金で株式売買を繰り返す「信用取引」を個人投資家が短期間で膨らませた結果だった。しかも国有企業を思惑買いだけで物色する傾向が強かった。

 だが、機関投資家が利益確定売りに転じた先月中旬以降、個人投資家に悲観論が走り、売りが売りを呼ぶ展開に陥った。ネット上では、信用取引の失敗で巨額な損失を出した投資家が自殺したなどとする噂も飛び交い、混乱が広がった。

 中国では5年前に信用取引が解禁され、今年5月末で約719万の口座が開設されている。昨年5月には1兆元(約20兆円)足らずだった信用取引の総額が今年5月段階で5兆元に膨張している。実際の資金の裏打ちのないバブル取引がアダになった形だ。

 経済的な混乱を避けようと、中国当局は先月27日に利下げと預金準備率の引き下げを発表したほか、今月1日には信用取引に関する証券会社への規制を一部緩和するなど、対策を強化した。一時的に相場が反発する場面もあったが下落は止められず、当局が死守しようとした4000台も今週あっさり割れ込んだ。

 市場リスク観念の薄い中国の個人投資家が今後、中国政府に株安の不満をぶつけることも予想され、当局はさらなる金融緩和など株価対策を迫られる。景気減速感が強まる中国経済全体の足も引っ張る。週明け以降も中国株の相場下落に歯止めがかけられなければ、東京やニューヨークなど海外市場に飛び火する可能性がある。

http://www.sankei.com/world/news/150703/wor1507030054-n1.html