2015/06/10 13:17

《東・南シナ海「緊張を懸念」…G7首脳宣言》
2015.06.09 読売新聞

 【ミュンヘン=中島健太郎、関根晃次郎】ドイツのエルマウで開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)は8日午後(日本時間8日夜)、首脳宣言を発表して閉幕した。

 宣言は、中国を念頭に、「東シナ海・南シナ海での緊張を懸念」するとともに、「大規模な埋め立てを含む現状の変更を試みるいかなる一方的行動にも強く反対」すると明記した。8日の「地球温暖化問題」の討議で安倍首相は、温室効果ガスを2030年度までに13年度比で26%削減する日本の新しい目標を国際会議で初めて表明した。

 首脳宣言は、自由と民主主義、「法の支配」と人権の尊重などの価値観に基づき、G7が様々な課題で結束していくと強調した。東・南シナ海での緊張の高まりに対し、「平和的紛争解決、世界の海洋の自由で阻害されない適法な利用の重要性」に言及した上で、「威嚇、強制または武力の行使、大規模な埋め立てを含む」現状変更の試みを強く非難。南シナ海で中国が進める岩礁の埋め立てをけん制した。

 昨年3月のロシアによるウクライナ南部のクリミア編入は、「違法」として非難した。同国東部で続くウクライナ政府軍と親ロシア派武装集団による紛争をめぐり、すべての当事者に2月の停戦合意を尊重するよう求めた。

 各国が行っている対露制裁に関しては、「ロシアによる停戦合意の完全な履行と明確に関連させるべき」と明記した。当面は制裁を継続する方針で一致し、ロシアの対応次第で制裁強化もありうるとした。メルケル独首相は8日の記者会見で、「場合によっては制裁を強化、延長しなければならなくなる」とロシアに警告した。

 北朝鮮による核・ミサイル開発や日本人拉致問題を強く非難したほか、イスラム過激派組織「イスラム国」に参加する外国人戦闘員問題を踏まえ、テロや暴力的過激主義との闘いを「すべての国際社会にとっての優先課題」と位置づけた。

 経済面では、世界経済の回復が進展していることを確認した一方、持続的な成長に向けて各国が「機動的な財政戦略を実施する」ことで合意した。

 安倍首相が提唱した「質の高いインフラ(社会基盤)投資」で成長を促進することも盛り込まれた。

 また、安倍首相は8日に行われたサミットの「地球温暖化問題」の討議で、2030年度までに温室効果ガスの排出量を13年度比で26%削減する新しい目標を表明した。G7首脳は、年末にパリで開かれる気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、すべての国が参加する新しい温暖化対策の枠組みの合意へ、強い決意を確認した。

 首脳宣言は、COP21について「世界の気候の保護にとって極めて重要だ」と明記、G7各国から20年以降の温室効果ガス削減目標が示されたことを歓迎した。

 安倍首相は討議で、日本のエネルギー効率が世界最高水準であることを説明した上で、日本の削減目標が国際的にみても野心的な目標であると強調した。資金支援や技術協力などを念頭に、G7が率先して途上国が温暖化対策に参加しやすい環境を整える必要性も訴えた。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150608-OYT1T50136.html