《露が揚陸艦の購入断念、極東配備計画も白紙…ウクライナ危機で仏が引き渡し凍結 賠償交渉に》
2015.05.27 産経新聞
【モスクワ=遠藤良介】ロシアの軍需産業当局者は26日、フランスがウクライナ情勢をめぐってロシアへの納入を凍結しているミストラル級強襲揚陸艦について、購入を断念したことを明らかにした。イタル・タス通信が伝えた。ミストラル級の1隻目は日本の北方領土をにらむ極東ウラジオストクに配備される予定だったが、この計画も白紙に戻ることになる。
ミストラル級はヘリ16機を搭載、海兵450人を輸送でき、遠隔地への兵力投入や指揮機能に優れている。ロシアは2011年6月に12億ユーロ(約1600億円)で2隻を購入する契約に署名した。
しかしフランスは昨年9月、ロシアがウクライナ東部に軍事介入していることを理由に、10月に予定されていた1隻目の引き渡しを凍結していた。
露当局者は、ミストラル級の購入断念が「既成事実だ」とし、フランスとの間で契約破棄に伴う賠償交渉に入っていることを明らかにした。ただ露紙コメルサントによると、賠償の額や手順をめぐり双方には大きな隔たりがある。
ロシアがミストラルを発注した背景には、08年8月のジョージア(グルジア)紛争で、旧式の揚陸艦艇が機能不全を露呈したことがあった。ロシアはこれを機に地域紛争に際して機動力向上させる大規模な軍改革に着手し、ミストラルはその象徴と考えられてきた。
ミストラル級の2隻目については、ウクライナ南部クリミア半島の黒海艦隊に配備するとみられていた。
http://www.sankei.com/world/news/150527/wor1505270005-n1.html