2015/01/07 2:18

虚々実々。

《台湾、米首都で36年ぶり「国旗」掲揚式典 中国にらみ独自色誇示? 米は事実上の黙認》
2015.01.06 産経新聞

 【ワシントン=加納宏幸、台北=田中靖人】米台断交から36年にあたる今月1日、台湾当局が所有する米首都ワシントンの施設で、台湾の「国旗」掲揚式典が断交後初めて行われた。米台の慣例から踏み出す「国旗」の掲揚を米政府は“黙認”した形だが、中国側は再発防止を求めて米側に抗議するなど、新年の冬空に掲げられた旗は米中関係に波紋を広げている。

 台湾が「国旗」とする青天白日満地紅旗の掲揚式典は、断交前まで台湾の大使公邸として使用された「ツイン・オークス」という邸宅の庭園で1日朝、台湾の沈呂巡駐米代表(大使に相当)ら駐米台北経済文化代表処(大使館)の職員が参列して行われた。式典では台湾の武官らが軍服を着用し、「国歌」斉唱も行われた。

 沈代表はあいさつで、断交前日の1978年12月31日に同じ場所で行われた「国旗」降納式典に触れつつ、「われわれは尊厳、尊敬と栄誉とともに戻ってきた」と述べた。

 米中の国交樹立後、台湾の「国旗」は、「ひとつの中国」政策の下で米国内できわめて敏感な扱いを受けてきた。ツイン・オークスについても、台湾の在米資産ながら利用方法が米側との協議で制限されており、「国旗」の掲揚式典は行われてこなかった。

 慣例の枠を踏み出した「国旗」の掲揚式典について、台湾の総統府は2日、報道官談話で、「馬英九総統は非常に満足し、外務職員の長年の努力の成果を評価している」と論評した。

 これをみた中国外務省の華春瑩報道官は5日、「台湾当局の駐米機関がいわゆる“国旗掲揚”式典を行ったことに断固反対し、米側に厳重な申し入れを行った」と発言。米中関係の基本文書である3つのコミュニケの順守や、再発防止を米側に強く要求した。

 矛先を向けられた米国務省では、サキ報道官が5日、「式典については事前に承知していなかった」と弁解した。さらに「式典は米国の政策と一致しない」として、中台問題に関する米政府の外交政策に変化がないとの姿勢を示した。

 式典について、台湾側では米側の事前了承を得ていたとしており、サキ氏の発言は「政策の一貫性に基づく対外的な説明」(高安・外交部報道官)として、受け流す構えだ。

 台湾側の踏み込んだ動きは、馬総統が目指した中国の習近平国家主席との首脳会談が実現せず、中国への過剰な配慮は不要との判断が働いたとみられる。さらに、米側で台湾重視の声が強まったことで、台湾側は存在誇示に一歩踏み出したようだ。

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【用語解説】ツイン・オークス(双橡園)
 米首都ワシントン市内にある19世紀の豪邸。1937年に当時の中華民国駐米大使公邸となり、47年に国民政府が所有権を取得した。79年1月の米台断交まで9代の大使が居住。断交後の中国による接収を避けるため、一時米国の団体にタダ同然で払い下げられ、82年に台湾当局が買い戻した。敷地面積はホワイトハウスを上回る。命名の由来となった2本のカシの木は現存しない。

http://www.sankei.com/world/news/150106/wor1501060048-n1.html