2015/01/07 1:44

出産直後の母乳がほとんど出ない時期に糖水、人工乳を全く与えない完全母乳栄養児は、生後3日間は飢餓状態に陥り、脳神経発達に害を与える危険がある。

低体温や低血糖による障害児発生が、WHOの勧告に基づき厚労省が母乳育児促進キャンペーンを推進した1993年以降に増加に向かい、同省が2007年に母親向けの『授乳・離乳の支援ガイド』で完全母乳、カンガルーケア、母子同室を推奨した以降は激増。

「赤ちゃんは3日間生きていられる」のと「望ましい栄養状態である」のは違います。

《「カンガルーケア」と「完全母乳」で赤ちゃんが危ない【1】》
2014.12.29 NEWSポストセブン

「少子化」に苦しむ日本。2013年の出生者数は過去最少の約103万人で、40年前の第2次ベビーブーム世代の半分だ。社会を「支える世代」の減少は、年金、医療など社会保障制度を崩壊させ、労働力不足を深刻化させる。政府は「少子化対策」や「子育て支援」と称して増税まで行なったが、出生数の減少に歯止めはかからない。

 その一方で、出産の現場では、新生児の医療事故が増え、発達障害児が急増しているという事実はひた隠しにされている。「赤ちゃんが危ない」―─これまで2万人の赤ちゃんを取り上げたベテラン産科医が意を決して問題提起する。(全6回)

■ 34時間の栄養は「ミルク30cc」だけ

 メディアには報じられないが、いま、この国では知られざる赤ちゃんの重大な医療事故が相次いでいる。

「また新たな『完全母乳』と『カンガルーケア』による赤ちゃんの事故が起きてしまった。早くこの国のお産を変えなければ子供たちは大変なことになります」

 そう語るのは久保田史郎・久保田産婦人科麻酔科医院院長(医学博士)だ。

 これまでに約2万人の赤ちゃんを取り上げ、出生直後の新生児の体温や栄養管理を長年にわたって研究し、国(厚生労働省)が推進する「完全母乳」「カンガルーケア」「母子同室」という出産管理が赤ちゃんを危険にさらしていると強く警鐘を鳴らしてきた。同業の医師たちも認める名医であるが、同時に“業界”の常識を真っ向から否定する風雲児でもある。

 事故は2014年4月に東京都内のある総合病院で起きた。元気に生まれた男児の容体が34時間後に急変し呼吸が停止、NICU(新生児特定集中治療室)に搬送されて一命は取り止めたものの、重大な後遺症を負った。

 いまも自発呼吸ができずに人工呼吸器をつけられ、「重度の蘇生後脳症」(植物状態)と診断されている。

 病院が立ち上げた事故調査委員会の報告書は近く提出されるが、男児の父親が現在の思いを語った。

「最初はレアな事故だと思っていましたが、調べてみると類似の事故や裁判が増えている現状に衝撃を受けました。もし久保田先生が提言されてきた内容を出産前に知っていればと悔やまれてなりません。病院や医師、助産師、関係者が理解して取り組んでいれば、絶対に発生していなかった医療事故だと思います」

 母親は男児を出産。帝王切開ではあったが、赤ちゃんの体重は3300gで母子ともに健康だった。

 担当の助産師は母乳の長所を力説した上で母親にこう尋ねた。

「母乳は最初、ほとんど出ません。でも生まれたての赤ちゃんは3日間分の栄養を体の中に持っているので、母乳がしばらく出なくても大丈夫。どうしますか」

 手術後の疲労は大きかったが、少しでも母乳を与えたいと考えた母親は「あげたいです」と答えた。すると助産師はカルテに「完全母乳」と書き込んだ。

「完全母乳」とは人工乳を使用せず母乳のみで哺育する方針で、なかには「人工乳」を悪として人工乳や糖水を一切与えない「行きすぎた完全母乳主義」を貫く病院も多い。

 病院は母親に3時間毎に授乳を促す「完全母乳」をスタートさせた。男児の様子に変化が現われたのは翌日だった。おっぱいをくわえてもすぐ離してまったく泣き止まない。母親は助産師に相談、人工乳を30cc与えることになった。

 その夜9時頃、再び男児が泣き止まないので母親はナースコール。

「お腹が空いているんじゃないでしょうか?」

 と別の助産師に相談し、昼と同様にミルクを与えてもらうことになった(しかし病院の方針からか、このとき追加の人工乳は与えられていなかった)。

 母親は出産と術後の傷口の痛み、睡眠不足で体を自由に動かすこともできない状態で赤ちゃんに添い寝していつでもおっぱいを吸えるよう授乳を続けていた。

 消灯後の夜11時過ぎ、見回りに来た助産師が異変に気付いた。男児は唇にチアノーゼ(酸素不足で紫色になる症状)が見られ、心拍はあるが、自発呼吸はなし。母親は泣かない男児を眠っていると思っていた。

 すぐに男児はNICUに搬送されたが、意識が戻ることはなかった。

 体重3300gの新生児に最低限必要なミルク(母乳)は1日約240ccとされる。この男児が生後34時間に与えられた栄養はわずか「30cc」のみ。10分の1以下だった。

 男児の父親から相談を受けた久保田医師が語る。

「この男児は栄養不足で深刻な低血糖状態に陥ったと考えられます。低血糖症が進めば無呼吸や心肺停止に陥ってしまいます。

 出産直後、母親の母乳はほとんど出ません。赤ちゃんに必要な量が出るのは平均して3~5日目から。しかし、完全母乳を推奨する医師や助産師の多くが『赤ちゃんは3日間分の栄養を体の中に持っているので大丈夫』と信じて母乳以外与えようとしないため、深刻な栄養不足に陥るケースがある。しかも出産直後で体力が奪われた母親に管理を任せっきりの母子同室も行なう。母親に赤ちゃんの小さな異変を見逃すなというのも責任転嫁ではないでしょうか。

 これほど危険なのに日本の産婦人科や助産院の多くが赤ちゃんには一滴も人工乳や糖水を与えないという『行きすぎた完全母乳』をいまだに正しいと信じ込んでいる。だから同じような事故が繰り返されてしまうのです」

 生まれたばかりの赤ちゃんを母親の胸に抱かせて管理させる「カンガルーケア」(早期母子接触)と人工乳を一切与えないで育てる「完全母乳」、そして新生児室ではなく出産直後から母親の側で添い寝させる「母子同室」の3点セットが、厚生労働省が国策として推進してきた新生児管理だ。久保田医師が「赤ちゃんを危険にさらしている」と警告するこの3点セットは、いまだに多くの病院や産院で実践されている。

 前出の父親は語る。

「病院側の説明は『低血糖』など栄養不足を否定し、原因不明の呼吸停止による乳幼児突発性危急状態(ALTE)と主張し原因不明といわれました。しかし、せめて病院側が必要な経過観察を行なっていれば事故は防げたはずです。

 誰よりもつらい思いをしているのは息子です。こんな悲しみは私たちの子供で最後にしてほしい。日本全国のすべての病院やクリニックで改善や対応に取り組んでいただくことを切に願います」

■ 20人に1人が発達障害児と診断

 この数年、「カンガルーケア」や「完全母乳」による同様の事故が相次ぎ、大阪、福岡、宮崎、埼玉などで訴訟になっている。福岡の国立病院のケースも帝王切開後の麻酔で朦朧としている母親のもとに看護師が「授乳させてください」と赤ちゃんを連れてきて「カンガルーケア」をさせてそのまま放置。容体が急変して植物状態になり、2014年3月、福岡地裁は病院側の責任を認めて約1億3000万円の賠償を命じた(国=国立病院機構は控訴)。

「カンガルーケア」と「完全母乳」の危険性を訴える久保田医師の元には赤ちゃんが事故にあった両親から多くの相談やメールが寄せられている。

 ある病院では帝王切開で双子を出産した母親に赤ちゃんを2人ともカンガルーケアと完全母乳をさせ、2人は見る見る体重を減らして1人が死亡。母親は退院するとき、病院から「母乳が足りないときは人工乳を与えてください」といわれ、「それなら出産直後のあのときになぜ母乳だけしか与えるなと指導したのか」と激しく後悔したという。

「これは氷山の一角です。呼吸停止という大事故に至らないまでも、相談内容から完全母乳やカンガルーケア中に低血糖や低体温に陥っていたと疑われるケースはかなりある。低血糖は脳に障害を与えるリスクが高いことが知られていますが、正常出産の場合は新生児の血糖値は測らなくてよいとされているため、低血糖の記録は残りません。赤ちゃんに一時的に低血糖が疑われる症状が現われても、その後回復して“大丈夫です”といわれてそのまま退院したケースも多いでしょう。しかし、その時は回復したように見えても、誕生直後の重大な異変が発育にどう影響を与えているか非常に心配です」(久保田氏)

 驚くべきデータがある。

 福岡市では乳幼児健診や医療機関を受診した際に障害の疑いがあると判断された場合、市立の心身障がい福祉センターなど3施設で発達状況について医学的診断を行なうことになっている。そして障害があると診断された未就学児の人数を「発達障害」「運動障害」「精神遅滞」などの種別ごとに毎年調査している。

 この調査によると、1989年に33人だった「発達障害児」の診断者数が、2013年には726人と20倍以上に急増している。「精神遅滞」など他の障害を合わせた診断者数は1192人。同市の出生者数はこの数年、年間1万4500人前後で推移しているから、生まれる子供たちの約5%にあたる20人に1人が発達障害と診断されていることになる。

 発達障害は、注意力が散漫で情緒不安定、椅子にずっと座っていられないといった「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」や知的発達の遅れがない「高機能自閉症」、聞く、話す、読む、書くなどのうち特定の能力の習得が著しく困難な「学習障害」などの症状を示す脳の障害とされている。

 久保田医師は発達障害児急増の一因に「完全母乳」などによる低血糖症があるのではないかと指摘する。

「私は新生児の低血糖症や低栄養による障害児が増えるのではないかと予測して研究してきました。理由は、ある時から厚労省が母乳のみの育児を推奨し始めたことです。とくに93年に『医学的な必要がないのに母乳以外のもの、水分、糖水、人工乳を与えないこと』というWHOの勧告に基づく完全母乳を推進してからは危機感を強くした。母乳推奨には私も大賛成だが、出産直後の母乳がほとんど出ない時期に糖水、人工乳を全く与えない完全母乳栄養児は、生後3日間は飢餓状態に陥り、脳神経発達に害を与える危険がある。そのことはこれまでも学会などで再三警告してきました。福岡市の発達障害データは予測が最悪の形で現実になったものと感じている」

 再び福岡市の発達障害の増加を国の政策との関連で見ると、厚労省が母乳育児促進キャンペーンを推進した1993年以降に増加に向かい、同省が2007年に母親向けの『授乳・離乳の支援ガイド』で完全母乳、カンガルーケア、母子同室を推奨した以降は激増と呼べる増え方を示していることがわかる。

 このデータは福岡市が市議会の要求に対して毎年報告している数字で、記者会見などで公表しているものではない。そのため、新聞・テレビは一切報じていない。

■ 発達障害は生まれる病院で5倍違った

 発達障害児の増加理由は、「完全母乳」や「カンガルーケア」といった誤った出産管理が原因なのではないか―─その鍵となる1つの研究論文がある。

 表題は『福岡市の発達障害児の実態調査』。福岡市立こども病院を中心とする小児科医グループが2008年にまとめた研究報告書だ。

〈福岡市でも発達障害の診断を受ける小児が急増しており、医療・福祉の対応が急がれている。(中略)今回、私たちは福岡市内の発達障害児の推移を把握し、病歴聴取時に得た周産期障害の有無、分娩施設間の情報を統合し、病態危険因子の検討を行った〉

 実際に発達障害の診断を行なっている医師たちは、6年前の段階で危機感を募らせて原因を探ろうとしていたのである。彼らが注目したのも久保田氏と同じく出産直後の問題だった。

 この研究が世界にも類がないのは、同市のこども病院などで発達障害と診断されたすべての子供たちのカルテの記録をデータベース化(氏名、住所は除く)し、1989年までさかのぼって、生まれた病院によって発達障害の発生率がどのくらい違うかを比較調査したことである。

 研究目的が書かれた文書には、チームの問題意識がこう綴られている。

〈新生児初期の低体温や低血糖が障害児発生と密接な関係があるのではないかという仮説がある。私たちは多数の小児神経患者の診療を行っている中で、新生児の低体温や低血糖に対する予防対策を厳重に行っている医療機関では、障害児の発生が少ないという印象を持っている。

 障害児の周産期歴を調査して、分娩施設間で障害児発生に差があるか否かを検討することは、障害児の発生原因を追求する上で非常に有意義なことと考える〉

 驚くべき結果が見られた。

 報告書には、同規模のA、B2つの個人病院の比較で、発達障害の発生率に約5倍の違いがあった。また過去5年間分を比べてもその差はほとんど変わらなかったと報告された。

 久保田医師が語る。

「発達障害の原因について分娩前後の周産期医療の視点からの研究はほとんどなされていません。この調査は出産直後の赤ちゃんの栄養(血糖値)や体温の管理がその後の障害の発生に関係しているかどうかを問題提起した画期的な内容でした。報告書ではA病院とB病院の間で何が違うかまでは踏み込んでいませんが、研究を継続してカンガルーケアや完全母乳の病院と、出産初期の赤ちゃんに糖水や人工乳で栄養を補っている病院間で障害の発生率に差があるかを多くのサンプルで調査すれば、どちらが赤ちゃんにとって安全な新生児管理のやり方かがわかるでしょう」

 厚労省にとっては、国策として推進した政策が誤っていたかどうかの審判をつきつけられかねない研究だったということができる。それだけに、こんな重要な報告だったにもかかわらず、政府も医学界も動きはにぶかった。

 福岡市の研究チームの報告書の結語には、〈幼児期以降の発達予後の情報を産科と共有しさらに詳細な検討が必要であると考えられた〉と調査継続の重要性が指摘されていたが、研究が継続された形跡はない。

 いまや日本の医療界では、「カンガルーケア」「完全母乳」「母子同室」に異論を唱えることは“タブー”とされているのだ。

■ 調査に乗り出さない厚労省

 発達障害児の増加は福岡市の地域的な現象なのか。

 文部科学省が行なった『学校基本調査』によると、少子化が進んでいるにもかかわらず、通常の学級(通級)に在籍しながら個別的な特別支援教育を受ける児童や生徒がこの20年間で約6倍、そのうち「注意欠陥・多動性障害」「学習障害」「自閉症」など発達障害の可能性があるとされている子供は、分類が始まった2006年の9792人から2012年には3万6691人へと4倍近くに増えていることがわかった。

 小中学校の特別支援学校・学級に在籍する児童・生徒の数も制度が変わった2007年から特別支援学校で約2割、小中学校の特別支援学級で3割増加し、全国で増設が進んでいる。

 さらに障害児教育が専門の久田信行・群馬大学教育学部教授は、通常学級在籍者(約1000万人)の中にも、教師から「学習面か行動面で著しい困難を示す」と判断されている児童生徒が7.4%いると推計している。つまり、すでに特別学校や特別学級で学ぶ子供とは別に、70万人以上いるということになる。

 久田教授は、「注意欠陥・多動性障害など発達障害とみられていても、成長につれて落ち着く子が多い。発達には個人差が大きく、障害と決めつけて通常学級から排除する風潮は問題が大きい」と前置きしたうえでこう語る。

「発達障害児の増加には診断基準の変更など様々な要因が考えられるが、長年障害児の研究をしてきた立場から見て、教育の現場で注意が必要だと思われる児童生徒の割合が増えているのは確かです」

 全国的に増加が見られるというのに、医療行政を担う厚生労働省は発達障害児が増えていることを頑として認めようとしない。

 同省は発達障害児の診断件数やその推移について全国調査をしていないが、発達障害増加を示唆するデータがないわけではない。疾病ごとの患者数を3年ごとに医療機関にサンプル調査している「患者調査」によると、「発達障害」に該当する推計患者数は、1999年に調査した約2万8000人から、2011年には約11万2000人に増えているのである(成人を含む)。

 しかし厚労省社会・援護局障害福祉課はその数字を「増えているわけではない」と説明する。

「患者調査の結果を、“最近、発達障害の人が増えてきた”とは捉えていない。平成17年に発達障害者支援法ができて発達障害の普及啓発の義務が定められ、それまで発達障害とは何か知らなかった人が、『私もそうなのではないか』と診察を受けるケースが増えている。それが患者数が増えている原因ではないか。福岡市の発達障害のデータは聞いていないが、もし、発達障害児の診断件数が増えているとすれば、1歳半健診などの早期発見の取り組みで早めに見つかるようになったからだと思われる」

 各自治体の成育医療センターなどに発達障害児の診断件数を調査させるべきではないかとぶつけると、

「診断を特定施設に集約することになり、患者が身近な病院で診断が受けられないし、長い時間待たされる」(同前)

 と否定的だった。どうしてもこの問題の調査、対策を行なうのが嫌なようだ。

 非常事態であるはずの福岡市はどうか。同市こども発達支援課はこう説明した。

「従来は『落ち着きのない子』とされてわざわざ病院や相談機関を受診しようと思わなかったケースでも、発達障害認識が広がったことで、相談に来たり、診察を受ける例が増えている。その結果、診断者数が増えていると分析している。発達障害児の診断者数の増加は全国的な傾向だが、他の政令市では民間病院で受診しているケースは集計が難しいと聞いている。当市は障害児が福祉サービスを受けるためには基本的に市の3施設で診断を受けることになっているため、統計に人数がほぼ正確に反映されている」

 いくら“時代のせい”にしようとしても、世間の常識がここ数年で劇的に変わったとするのは無理がある。ここ数年で劇的に変わったのは新生児管理についての厚労省の指導である。しかも、小学校や幼稚園、保育園の現場から「発達障害児が増えている」という報告が続々と上がっていることは隠しようもない事実であり、それをどう説明するのか。

 厚労省も福岡市も、現実は障害児急増への対応に追われている。

 同市には現在、3~5歳までの障害を持つ子を通わせる施設(児童発達支援センター)が8か所あるが、満員のうえに年々待機者が増え、3年前に1か所新設したのに続いて、新たな施設を建設中だ。全国でも、少子化が進む中、前述のように特別支援学校・学級の増設が進んでいる。どうみても教育現場は障害を持つ子そのものが増えて対応を迫られているのである。

 なぜ、これほど深刻な発達障害児の増加に正面から目を向けないのか。

 佐賀県各地の保健所長として発達障害児の支援に取り組み、海外の多くの論文を研究してきた仲井宏充・元伊万里保健所長(医学博士。内科医)が語る。

「欧州では完全母乳やカンガルーケアの危険性やリスクに関する研究が非常に多く発表されている。しかし、日本ではほとんど紹介されていません。中には日本の研究者の論文もあるが、英文で発表しても日本語にはしていない。心ある研究者は生まれたばかりの赤ちゃんに糖水も人工乳も一切与えないなど非常に危険なケアだとわかっているが、推進派からたいへんなバッシングを受けるから声をあげることができない状況になっている。しかし、いま声をあげないと障害を持たされる赤ちゃんが増えて日本の将来はたいへんなことになります」

 日本の「お産の闇」は深い。実は、政府が調査せずとも真実は明らかなのだ。久保田医師の30年、1万4000人に及ぶ調査は、なぜ「完全母乳」「カンガルーケア」「母子同室」が危険なのかをはっきりと示しているのである。(【2】に続く)

<プロフィール>
久保田史郎(くぼた・しろう):医学博士。東邦大学医学部卒業後、九州大学医学部・麻酔科学教室、産婦人科学教室を経て、福岡赤十字病院・産婦人科に勤務、1983年に開業。産科医として約2万人の赤ちゃんを取り上げ、その臨床データをもとに久保田式新生児管理法を確立。厚労省・学会が推奨する「カンガルーケア」と「完全母乳」に警鐘を鳴らす。

※週刊ポスト2014年11月7日号

http://www.news-postseven.com/archives/20141229_295081.html

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