2014/09/02 11:48

米国における韓国系・中国系反日勢力は、慰安婦等の歴史問題での日本糾弾活動を90年代末から司法の場でも展開した。しかし米国の各裁判所は、それらの損害賠償請求を、国際条約で全て「解決済み」とする妥当な判断を下した。そこで中韓系反日団体は、標的を議会に移していく。

《【歴史戦 第6部「主戦場」米国(3)前半】
被告は「河野洋平」 司法にも持ち込まれた強制連行 談話を巧妙利用》
2014.09.01 産経新聞

 米国での韓国系と中国系の反日勢力は、慰安婦など歴史問題での日本糾弾を1990年代末から司法の場でも展開した。

■ 被告は「河野洋平」

 韓国、中国、台湾、フィリピン出身の計15人の「元慰安婦」と称する女性たちが共同で原告となり、2000年9月、ワシントンの連邦地方裁判所に日本政府を相手に損害賠償を請求する訴えを起こした。

 原告たちをサポートしたのが「ワシントン慰安婦問題連合」(慰安婦連合)を主体とする韓国系政治団体で、中国系の反日団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(抗日連合会)の協力を得ていた。

 この訴訟は「被告」として「日本政府の代表」である河野洋平を名指しした。彼が当時の外相だったからだ。日本政府は反論として、賠償はサンフランシスコ対日講和条約(1951年)での国家間の合意で解決済みという立場を取り、訴訟の却下を求めた。

 「慰安婦連合」が「元慰安婦」とともに米国の裁判所に起こした訴訟には奇妙な点がいくつもあった。いくら訴訟の自由な米国でも外国籍の女性たちが他の主権国家である日本政府を訴えることは「外国主権者免責法」で阻まれる。

■ 「慰安婦に商業性」

 ただし、同法には例外があった。訴えの対象の主権国家の行動が「商業的活動」であり、しかもその活動が米国に直接の影響を及ぼしたと判断されれば訴訟が可能だった。「元慰安婦」の原告側はこれを利用して「慰安婦の活動には商業性があった」と強調するとともに、「一部の慰安所は戦後、米軍将兵に利用された」とも主張した。

 「元慰安婦」たちの訴えの骨子は次のようだった。

 「約20万人の女性が日本軍により性的奴隷になることを強制されたが、その日本軍の行動は組織的かつ綿密に計画されたシステムであり、日本政府が決定し、命令し、実行させた」

 「日本政府は女性を強制的に連行し拘束するシステムの実行を事前に決めていた。戦後はそのことを否定していたが、やがて日本軍の関与を公式に認め一部の高官が謝罪した。だがそれに伴う賠償をしていない」

 朝日新聞の「強制連行」報道と、93(平成5)年に慰安婦募集の強制性を認めた官房長官、河野洋平の談話の巧妙な利用が、原告の主張の根幹部分を形成していたことがうかがえる。(敬称略)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140901/amr14090108480002-n1.htm


《【歴史戦 第6部「主戦場」米国(3)後半】
慰安婦訴訟、米司法・行政は「決着済み」 次の標的は議会》
2014.09.01 産経新聞

 韓国などの「元慰安婦」と称する女性たちが2000年9月に日本政府を相手に米国で起こした訴訟は、連邦地裁、高裁、最高裁、さらに高裁への差し戻し、高裁からまた最高裁への上告、そして最高裁による棄却と、複雑な経過を6年近くもたどる。

 ワシントン連邦地裁は01年10月、日本政府の主張を認める形で「元慰安婦」側の訴えを却下した。「元慰安婦」側はすぐにワシントン高裁に上訴したが、そこでも03年6月に却下される。原告側がさらに最高裁に上告すると、高裁への差し戻しとなった。

 ちょうどその時期、最高裁が第二次大戦中にナチスに財産を奪われたというオーストリア女性に下した判決が日本の慰安婦ケースに類似点があるとしたための差し戻しだった。

 しかし、高裁は再審でも当初と同様の判断を下した。原告が再度上告して、最高裁がついに06年2月に却下としたのだった。原告側の完敗だった。

■ 「すべて解決済み」

 このプロセスで米国の各裁判所が一貫して明示したのは、慰安婦問題は戦争時の案件として、1951年の対日講和条約、65年の日韓基本条約、72年の日中共同声明、78年の日中平和友好条約ですべて解決済みだとする判断だった。米国の司法が慰安婦問題は法的にはもう終わったとする審判を下したのである。

 韓国系の「ワシントン慰安婦問題連合」(慰安婦連合)が首都ワシントンを舞台に訴訟活動を始めたのとほぼ同じ時期の99年秋、中国系の「世界抗日戦争史実維護連合会」(抗日連合会)は、カリフォルニア州の地方裁判所を舞台に戦時中、日本軍の捕虜となった元米軍人たちの訴訟を全面支援した。

 戦時に日本の企業で労働を強いられたことへの損害賠償請求だった。フィリピンで捕虜となり、九州の三井三池炭鉱で労働を強制されたレスター・テニーという元米軍人らである。労働の場となった日本の企業体を継続したとされた三菱商事、三井物産、新日鉄などが訴えの相手となった。

 この時期、カリフォルニア州での日本企業に対する賠償請求訴訟は元米軍人に加え、日本軍に使役を強いられたというフィリピンや中国の人たちも入って、合計30件以上となった。

 しかし、米国の司法当局は、ここでもこの種の戦時賠償は対日講和条約と日本と戦争関係国との2国間合意によってもう済んだ、という判断を示し、原告の主張を却下したのだった。

■ 議会を次の標的に

 こうした裁判の過程で米政府も日本政府に同調して、日本の慰安婦や捕虜の問題は戦後の多国間、あるいは2国間の一連の条約や声明で法的に解決済みという見解を示していた。

 米国では司法も行政も日本の慰安婦問題はすでに完結という判断を明確にしていたのである。

 そうなると、国政のメカニズムで残された主要分野は立法となる。つまり議会だった。

 日本糾弾を企図する韓国や中国勢力は、慰安婦問題での「次の標的」を米議会に定め、新たな攻勢を強めていくことになる。(敬称略)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140901/plc14090115000014-n1.htm