2014/09/02 10:16



安倍首相とモディ首相の日印首脳会談後、共同声明に「特別な戦略的パートナーシップ」を明記。同じく「特別な」と共同声明に明記した豪国と共に、インドは事実上の“準同盟国”に。インドは2020年代に人口が中国を超え世界一になると推計される核保有国であり親日国です。安倍外交を支持します。

《日印首脳会談、安保連携で一致 共同声明「特別な関係」明記》
2014.09.02 産経新聞

 安倍晋三首相は1日、東京・元赤坂の迎賓館でインドのモディ首相と会談した。安全保障面では両国の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)の設置検討で合意、海上交通路(シーレーン)の安全確保に向けた海上自衛隊とインド海軍の共同訓練の定期化でも一致した。経済分野では日印投資促進パートナーシップを立ち上げ、対印の直接投資額と日本企業数を5年間で倍増させる目標を決定。共同声明には両国関係について「特別」との表現を盛り込み、連携強化を印象づけた。

 安保協力は、海洋進出の動きを強めている中国を牽制するのが狙い。首相は会談で「アジアの2大民主主義国である日印の関係は最も可能性を秘めている」と指摘、モディ氏も「インド外交では日本が一番高い位置付けだ」と応じた。

 首相は海上自衛隊の救難飛行艇「US2」の輸出実現を働きかけ、モディ氏も前向きな考えを示した。日本からの原発技術供与を可能にする原子力協定については、首脳会談の直前に別途集中的な議論を行い、締結に向けて交渉を加速することで一致した。

 インドからのレアアース(希土類)輸入を早期に実現することでも合意。首相は、日本企業の投資を促す環境整備を要請した。

 首相はインド西部の高速鉄道計画に関し、日本の新幹線技術を供与する用意があることを表明、モディ氏は謝意を伝えた。

 首相がモディ氏と会談するのは、平成24年12月の第2次安倍政権発足後初めて。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140902/plc14090200150001-n1.htm

《インドのモディ首相、中国の領土拡張主義を強く牽制 日本との安保協力を強調》
2014.09.02 産経新聞

 【ニューデリー=岩田智雄】インドのモディ首相は1日、東京都内で行った講演で、領土問題でインドと対立する中国の軍事的台頭を念頭に領土拡張主義を強く非難した。モディ氏は、日本との安全保障面での関係強化を訴える一方、カシミール地方などでインド支配地域に人民解放軍を侵入させ、東シナ海などで挑発行為を繰り返す中国を牽制した形だ。

 モディ氏は講演で「世界は2つの流れに分かれている。1つは拡張主義、もう1つは開発だ」としたうえで「仏陀の教えを守り、開発を信じる者は、平和と発展の保証を得る」と強調した。また、世界各地で「18世紀にあったような拡張主義がみられる。ある地域では、ある国が他国を侵略している。海を侵害し別の国を占領しているところもある。こうした拡張主義は人類に発展をもたらさない」と述べた。

 モディ氏は首相就任前の今年2月、インドが実効支配し、中国も領有権を主張する北東部アルナチャルプラデシュ州での選挙演説で中国に拡張主義の放棄を求めたことがある。日本での講演は名指しこそしなかったものの、中国に向けた警告を含んでいることは明らかで、しかも、5月の首相就任後、もっとも厳しい非難となった。

 中国の習近平国家主席は、今月中旬に訪印する予定だ。モディ氏は対中赤字削減と経済浮揚を目指し、中国からの投資増を要請する方針だが、領土問題では一歩も譲らない姿勢を示したといえる。

 モディ氏はまた、訪日前の産経新聞など日本メディアとの会見で「(日本と)あらゆる面での防衛交流を強めることになろう」と述べている。モディ政権は、インドの防衛産業や鉄道事業への外資規制緩和に乗り出しており、日本からの投資の勢いも加速させたい考えだ。

 もっとも、インドはこれまで日中両国との「等距離外交」を維持、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐっても中立の立場を取ってきており、今回の“対中批判”は安倍首相へのリップサービスの側面もありそうだ。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140902/asi14090200270001-n1.htm

《日印共同声明の骨子》
2014.09.02 産経新聞

 「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップに関する東京宣言」(骨子)

 【政治、安全保障】

 ・年次首脳会談の継続、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)の設置を検討、外相間戦略対話と防衛相会談の年内実施

 ・海上共同訓練の定期化、印米海上共同訓練への日本の継続的参加

 ・防衛装備協力の推進を目的とした事務レベル協議の開始

 ・海上自衛隊の救難飛行艇「US2」の輸出交渉加速

 ・原子力協定交渉の進展を歓迎

 【地域、世界平和】

 ・日本の積極的平和主義を支持

 ・日米印外相会合の開催

 ・北朝鮮による核・ミサイル問題への懸念を表明

 ・国連安保理改革で連携

 【経済】

 ・日印投資促進パートナーシップの立ち上げ。対印の直接投資額、日本企業数を5年間で倍増。5年間で官民合わせて約3・5兆円の対印投融資。インドのインフラ金融公社に500億円の円借款供与

 ・日本へのレアアース(希土類)輸出の早期実現

 【その他】

 ・日印留学生数の大幅増、スポーツ交流促進

 ・女性政策での協力
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140902/plc14090200220002-n1.htm

《安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近》
2014.09.02 産経新聞

 安倍晋三首相とインドのモディ首相との会談で、両国の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)設置の検討で合意したのは、海洋進出を進める中国を牽制し、南シナ海やインド洋などの海上交通路(シーレーン)を守る狙いがある。安倍首相は海洋安全保障強化を図るため、日本とハワイ(米国)、オーストラリア、インドの4カ所をひし形に結ぶ「安全保障ダイヤモンド構想」を提唱しており、今回の会談は構想実現に向けた大きな一歩となった。

 ダイヤモンド構想は、首相が第2次政権を発足させた直後に英文で発表した論文「アジアの民主主義 セキュリティーダイヤモンド」で披露した戦略。中国は、バングラデシュやスリランカなどインド周辺国への支援を通じてインドを包囲する「真珠の首飾り戦略」を進めており、首相はダイヤモンド構想が中国と隣接するインドにとってもメリットがあると踏んでいた。

 ただ、インドは伝統的に「非同盟」の外交路線を取っており、特定の国との強い結びつきには慎重な面がある。そこで首相はかねて親交があり、経済政策でも共通点が多いモディ氏との個人的な信頼関係を活用し、インドを日本の安保戦略に引き込んだ。会談では、集団的自衛権行使を限定容認する憲法解釈変更の閣議決定について、モディ氏から支持を得ることもできた。

 8月30日夜に開かれた非公式夕食会には、谷内正太郎国家安全保障局長とモディ氏側近で知日派のアジット・ドバル国家安全保障顧問が同席した。両国の安保分野での協力関係が「順調かつ円滑」(外務省幹部)であることを内外にアピールするためだった。

 首脳会談を受けて発表された共同声明には「特別な戦略的パートナーシップ」との文言が盛り込まれた。友好国との2国間関係では「戦略的パートナーシップ」の表現が一般的で、インドは事実上の“準同盟国”にまで格上げされたことになる。

 首相は7月の日豪首脳会談でも、共同声明に「特別な」の文言を明記した。豪印両国との連携が進み、ひし形の完成は間近といえる。(山本雄史)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140902/plc14090200340003-n1.htm