2014/08/25 4:59

朝日新聞、慰安婦強制連行の教科書掲載に疑義を呈する政治家を目の敵に、「日韓漁業交渉に影響も」「韓国世論反発の恐れ」「これで『外交の小渕』か」と政権批判、常識的発言を撤回に追い込む。議員連盟は「慰安婦の強制 疑う集団」。捏造「強制連行」を政治目的にフルに悪用してきました。

《【歴史戦 第5部 「朝日検証」の波紋(中)1】「歴史教育議連」を狙い撃ち 「常識発言」撤回に追い込む》
2014.08.24 産経新聞

 終戦の日の15日、自民党本部で同党有志でつくる議員連盟「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・国家公安委員長、古屋圭司)が会合を開いた。朝日新聞が自社の慰安婦報道の誤りを一部認めたことを受けたものだった。

 講師に招かれたジャーナリストの櫻井よしこは、この中でこう指摘した。

 「5日の(朝日)1面には、朝日があたかも被害者であるかのようなことを書いている。(朝日報道で)『いわれなき中傷』を浴びたのは日本国だ。先人たちだ。私たちだ。未来の子供たちだ。朝日ではない」

 議連は党として独自の検証を行うべきだとの方針を確認した。

■ 初代会長に中川昭一氏

 この議連の歴史は長い。17年以上前の平成9年2月、慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話を反映して、8年の検定で合格した中学歴史教科書すべてに慰安婦の記述が載ったことの当否に疑問を覚えた議員らが結成した。

 初代会長は元財務相の故中川昭一、初代事務局長は現首相の安倍晋三だ。現官房長官の菅義偉もメンバーに名を連ねている。

 そして議連は、当然のごとく朝日新聞に目の敵にされていく。

 10年7月には当時、小渕恵三内閣の農林水産相だった中川が記者会見で、慰安婦問題に関して次のように述べたことがやり玉に挙げられた。

 「議論の分かれるようなことについて、すべての義務教育の教科書にほぼ同じ記載がされていることに疑問を感じ、いろいろな方の話を聞き(議連で)一冊の本にまとめた。強制性があったか、なかったか、それをわれわれが判断することは、政治家として厳に慎まなければいけない」

 「大半の専門家が納得できるような歴史的事実として教科書に載せることについて、われわれはまだ疑問を感じている」

■ 「韓国世論」持ち出し

 今からみればごく常識的なことを抑制的に語っているだけだ。ところが、朝日新聞は同年7月31日付夕刊で「慰安婦問題『事実としての教科書掲載、疑問』」「中川農水相未明発言」などと、中川が議連会長であることを含めて大きく報じ、発言要旨も掲載した。

 さらに8月1日付朝刊でも「日韓漁業交渉に影響も」「韓国世論反発の恐れ」との見出しで続報を載せ、「中川氏が交渉責任者として関係する日韓漁業協定問題の決着に、影響を与えることになりそうだ」との見通しまで示した。「これで『外交の小渕』か」と題し、小渕政権を批判する社説まで掲載した。

 中川は発言撤回に追い込まれた。(敬称略)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140824/plc14082413000009-n1.htm


《【歴史戦 第5部 「朝日検証」の波紋(中)2】慰安婦強制への疑問も批判対象》
2014.08.24 産経新聞

 平成10年7月、慰安婦問題を歴史教科書で取り上げることに疑問を示した当時の農水相、中川昭一を朝日新聞が強く批判したことについて、元週刊朝日副編集長の評論家、稲垣武は産経新聞の取材にこう語っていた。

 「所管外の歴史認識を無理やり聞き出し、『近隣諸国は反発している』と問題化するという、いつものやり口だ」

 中川が会長を務める自民党の議員連盟「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(後の議員の会)事務局長だった現首相、安倍晋三はこうコメントした。

 「朝日は『中川氏が会を脱会する』と報道しているが、中川氏は『脱会ではなく、閣僚期間中は会を休むだけ』と言っている。自説を変えたわけではない」

■ 透けてみえる悪意

 朝日新聞はその後も自社の論調に合わない中川や議連を批判し続けた。

 第1次安倍内閣の19年3月27日付夕刊の1面記事「ニッポン人・脈・記 安倍政権の空気(15)」は、中川の写真を添えて議連についてこんな見出しで報じた。

 「慰安婦の強制 疑う集団」

 まるで議連が怪しい集団であるかのようだ。朝日新聞は今月5日の慰安婦問題の特集記事で「軍などが組織的に人さらいのように連行した資料は見つかっていません」と認めたが、それまでは強制に疑問をはさむことも朝日の批判対象だったということか。

 記事本文にはこうある。

 「今年1月、米下院に出された日本に謝罪を求める『慰安婦決議案』に対し、首相の安倍は『当初、定義されていた強制性を裏付けるものはなかった』と弁明した」

 だが、安倍は「言い訳」の意味もある「弁明」をしたのではなく、単に「説明」しただけだろう。ここにも朝日新聞の悪意が透けてみえるようだ。

■ 対応鈍い地方議会

 こうした朝日新聞の積年の一方的な報道は、中央政界だけでなく地方にも影響を及ぼしている。

 特に民主党政権下では、慰安婦問題にからみ政府に「誠実な対応」を求める意見書の採択が各地の地方議会で相次いだ。意見書の前提にあった5年の河野洋平官房長官談話が実証的な根拠のない日韓合作であることが明らかになったにもかかわらず、地方議会の対応は鈍い。

 その一つ、韓国の不法占拠が続く竹島(島根県隠岐の島町)を抱える島根県議会は、国際問題に敏感であるはずなのに、過去の意見書について一向に修正の動きが見えてこない。

 「今まで県議会から何の音沙汰もない。県民の声をどう思っているのか」

 島根県出雲市の主婦、金築倫子(64)が憤りをあらわにした。

 金築は今年3月、意見書の撤回を求めて有志らと「日本を愛する島根女性の会」を発足、6月には県議会に約3600人の署名に添えて抗議文を提出したものの、県議会に具体的な動きは一切ないという。

 意見書は25年6月、民主、共産などに加え自民も退席した1人を除いて賛成に回り可決されたものだ。米下院決議を引用し「旧日本軍が女性を強制的に性奴隷にした」との文言まで盛り込まれた。

■ 「まずは国会が…」

 なぜ、自民すら修正に動こうとしないのか。関係者によると、民主、共産と歩調を合わせて意見書の採決を主導した自民の重鎮議員が若手議員を率いており、ベテラン議員のグループと反目、まとまる状況でないという。

 「河野談話が間違っていたなら、それは国家の問題だから、まずは国会が修正しないといけない」

 自民議員の1人はまるで人ごとのように言う。

 金築は「認識が低すぎる。地方議員であろうとしっかりとした国家観を持つべきだ」とあきれている。地方議員の意識の低さもまた、メディアのあり方と無縁ではない。(敬称略)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140824/plc14082414400010-n1.htm