2014/06/27 4:24

江戸時代の「番屋」に遡る日本の「交番」制度が、JICAと警察庁の支援により、シンガポール、インドネシア、ブラジル、エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ホンジュラスと様々な国々に広がり、治安の改善に寄与しています。以下、記事抜粋。

《一部地域で早くも劇的効果、治安改善の切り札、日本の「交番」にブラジル全土が期待》

 ワールドカップ(W杯)開幕以来、観戦に訪れた日本人サポーターが強盗やひったくりの被害に遭うなど、ブラジルの治安の悪さがクロースアップされてきた。2年後にはリオデジャネイロ五輪も控えているだけに、治安の改善は急務だが、ブラジル国民が大きな期待を寄せているのが、日本が“輸出”した「交番制度」だ。

 サンパウロ郊外のハニエリ地区は、1995年当時、1カ月に発生する殺人事件の数が40件を超え、国連から「世界一危険な地域」に認定されていた。頭を悩ませた州警察が着目したのが、日本の治安の良さと独自の交番制度だった。そして1997年、サンパウロ州警察がブラジル初となる交番を導入。2000年からは国際協力機構(JICA)が日本の警察庁の協力を得て、日本での研修や短期専門家の派遣などを通じて、サンパウロ州の治安改善に向けた取り組みを行ってきた。その結果、ハニエリ地区で昨年1年間に発生した殺人事件は3件と激減したのだ。

 JICAは、1980年代からシンガポールやインドネシアなど、さまざまな国で交番制度の導入を支援しており、いずれも治安が劇的に改善。「最も成功した国際貢献のひとつ」とまで言われている。

 サンパウロ州では昨年4月時点で210カ所以上に交番が導入された。サンパウロ州に限らず、2008年にはリオデジャネイロ州にも交番ができるなど、2018年までにブラジルの全27州に交番制度を拡大することを目指している。

 また、こうした動きはブラジルだけにとどまらず、同じように治安の問題を抱えているエルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ホンジュラスといった中米諸国にも広がりつつある。

 日本の交番のルーツは、江戸時代の「番屋」にまでさかのぼるといわれる。その特徴は地域住民との密接な関係だ。地域に根ざしているからこそ、不穏な動きがあればいち早く察知し、迅速に行動することができる。この日本独自のセキュリティーシステムは明治以降も受け継がれ、市民の安全を守る上でなくてはならない存在となっている。
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/140626/wco14062617170012-n1.htm