2014/06/06 21:00

米国防総省報告書。WSJは、中国軍が世界的規模で米国に対峙、と巨視的な観点で報道。産経は、SLBM搭載の戦略原潜が運用段階、建造中の国産空母が数年以内に運用可能、中国が東シナ海に設定した防空識別圏を米国は認めない等、重要な具体的事項を報道。

《中国軍、世界的規模で米国に対峙へ―国防総省報告書が警告》

 米国防総省は5日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表し、中国が軍事費を急速に拡大させており、同国の影響力は高まり、世界規模で米国に対峙する方向に向かっているとの見方を示した。

 報告書によると、米国の軍事費は減少している一方、中国はステルス機やサイバー兵器、武装無人機の開発のほか、海軍の増強に巨額の支出を行っている。先にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議では、中国軍の高官が米国のアジアでの行動によって中国は敵対的にならざるを得なくなる恐れがあると警告したのに対し、ヘーゲル米国防長官は中国が「周辺国をかく乱する一方的行動」をとっていると非難した。

 国防総省によれば、中国の2013年の軍事費は1450億ドル(約14兆7900億円)超と推定されている。中国の公式の軍事予算は2004年以降年平均9.4%の伸びを示してきた。一方米国は13年間に及んだイラクとアフガニスタン戦争が終結に向かっているため、軍事費は今後抑制される見込み。報告書は「中国は軍備への投資により、戦力を遠方まで展開する能力をますます向上させている」と述べている。米国の13年の軍事費は約5800億ドルだった。

 世銀によれば、米国の軍事費の対国内総生産(GDP)比は約4.2%で、中国の2%を上回っている。米国の軍事費は縮小傾向にあるが、それでも中国を含むその他の国をはるかに上回っている。

 国防総省は、中国空軍について「前例のない規模で積極的に近代化を進めており、西側との能力の格差を急速に埋めている」と分析した。ただ、中国はステルス戦闘機を開発しようとしているものの、数多くの課題に直面していると指摘、少なくとも5年間は克服できないだろうと予想している。

 報告書はまた、中国は引き続き米国を標的にサイバー戦争を仕掛けていると警告した。米司法省は5月に、米企業のネットワークに侵入し企業機密を窃取したとして、中国軍当局者5人を起訴した。

 報告書はまた、中国が軍事費を拡大させている主因は依然として台湾問題で、同国は台湾に対し高度な軍事行動を起こす能力を一段と高めたと分析している。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304210404579607052346426762


《中国「有事に備え軍事力、演習を強化」 米が年次報告、SLBM運用段階に》

 米国防総省は5日、中国の軍事行動に関する年次報告書を発表し、中国が東・南シナ海での「潜在的有事」に備え、軍事力と演習を強化しているとの脅威認識を示した。

 報告書は「中国人民解放軍は台湾海峡有事、さらに南シナ海、東シナ海での潜在的有事に備えている」と指摘。中国海軍が「沿岸戦闘能力を強化しており、昨年新型コルベット艦(江島型)9隻が就役した」ことや、中国海警局で「2011~15年の計画で、少なくとも30隻の巡視船を追加する」ことを根拠に挙げ、米国の同盟国を含む周辺諸国との間で「摩擦を増加させている」と指摘した。

 さらに、昨年10月から11月にかけ、西太平洋の公海上で、東海艦隊など中国海軍の3艦隊が連合で参加する軍事演習を実施するなど、「実際的な戦闘シナリオに基づく訓練」を行っていることも、根拠として例示している。

 中国が東シナ海上空に設定した防空識別圏については「防空圏の中国の運用を、米国は受け入れも認めもしない。米軍の行動は変わらない」と改めて強調。昨年9月に「東シナ海で初めて無人偵察機が恐らく運用された」と指摘した。

 こうした動きを総括する形で、報告書は「中国軍の能力、戦略決定の透明性の欠如が、地域の懸念を増加させている」と批判した。

 一方、開発が難航していた巨浪(JL)2型とみられる推定射程距離約7400キロの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が運用段階に入り、年内に晋級原子力潜水艦に搭載される可能性があると指摘。建造中の国産空母は数年以内に運用が可能になると予測した。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140606/amr14060610200001-n2.htm