2014/06/02 11:37



衝撃的なニュ-スです。オランダのチームが100%の精度で量子テレポーテーションに成功!! と。まさしくSFの世界到来の扉が開かれ始めたのでしょうか。

《【SFの世界到来】オランダのチームが100%の精度で量子テレポーテーションに成功!!》

 テレポーテーションとは、ある地点から別の地点へと一瞬にして移動することをいうが、そんな夢のような実験に100%の精度で成功したとオランダ・デルフト工科大学が発表! 「量子もつれ」という現象を利用して、1つの粒子が3m離れた地点にある別の粒子へ光速を超える速さで情報伝達したのを確認した。

■ 「量子もつれ」+「観測」=「量子テレポーテーション」

 量子テレポーテーションとは、2つの粒子間にある「情報の伝達」の事を指し、実際に「物質」がA地点からB地点に移動するわけではない。

 とある2つの粒子(A,B)があるとしよう。「量子もつれ」の関係にあるこの2つの粒子は運命を共有する双子のような存在で、それらの性質は合わせてひとつ(±0)。粒子Aと粒子Bのスピン状態は右回り(+)にも左回り(−)にもなり得るが(重なり合った状態)、そのどちらがどちらかはわからない。

 しかし、仮に誰かがその2つの粒子の1つを「観測」した瞬間に、もう1つの粒子の状態が自動的に確定する。2つの粒子が「量子もつれ」の状態にある以上、”外部からの干渉が無い限り”、その粒子間の距離は数cm先であれ数光年先であれ関係なく情報が伝わるのだ。

 デルフト工科大学のロナルド・ハンセン教授はこう話す。「2つの粒子が量子もつれの関係にある時、それらのアイデンティティは融合します。2つの粒子の トータルの状態は完全に把握できても、個々の粒子の状態は全くわからない。対になった2つの粒子は、その距離がいかなるものであろうと2つで1つのように振る舞います。実験では3mの距離ですが、仮説ではその距離が宇宙の両端でも同じことです。アインシュタインはこの予言を信じず、不気味な遠隔作用(spooky action at a distance)と呼びましたが、数々の実験では量子もつれが事実存在することが確定しています」

 量子テレポーテーションとは、「量子もつれ」の性質と「観測」を利用して、2つの粒子間の情報を同時に確定するというもの。誰かが片方の粒子を観測した途端、もう一方の粒子の情報が、あたかもテレポーテーションしたかのように光速を超えて伝達するというとても奇妙な仕組みなのだ。(ただし情報が伝達されたかを知るのに人間は古典的通信手段を使わなくてはいけないので、これが光速を超えることはない)

■ 実験では3つの粒子で「量子複製不可能定理」を引き起こす

 今回の実験では3つの粒子A,B,Cを使い、初めて100%の精度で量子テレポーテーションを実現した。まずは「量子もつれ」の関係ある粒子(B,C)と、 レテポーテーションさせたい別の性質を持つ粒子Aを用意する(上記画像Beforeを参照)。次に粒子(A,B)を「観測」することで別の「量子もつれ」 の関係を持たせる。すると、先に絡み合っていた粒子(B,C)の特別な関係により、粒子(A,B)のもつれの情報が粒子Cへと伝わるのだ(上記画像 Afterを参照)。

 では粒子Cを観測したとき一体何が起こっているのか? 量子力学の法則の1つに「量子複製不可能定理」があるが、それは「量子の状態をそのままコピーすることは不可能」というもの。とても不可思議な世界だが、実験では粒子(A,B)が絡み合うと同時に(B,C)のもつれは解消され、先に粒子Aの持っていた性質が粒子Cへと伝播していたのである。

■ 量子コンピューターへの応用

 これまで数々の機関で量子テレポーテーションには成功していたものの、その精度は低いままだった。今回100%の精度でこれに成功したことで、いよいよ量子コンピューターへの実現に近づいた。ちなみにロナルド・ハンセン教授は今回の実験で超低温のダイヤモンド内に閉じ込めた電子と窒素原子を使用しており、それらはすでにチップとして実用できる実験材料なのだとか。ハンセンは次の実験で1,300m離れた量子テレポーテーションに挑む予定。

 今回の研究は『Science』に掲載された。
http://irorio.jp/sakiyama/20140601/139456/