中国の対ミャンマー直接投資が、2010年度の82億ドルから13年度の5692万ドルへと、100分の1以下に激減。ASEAN首脳会議でもミャンマーは中国と距離を置く姿勢を明確にしました。ミャンマーが今の侵略主義的な中国の影響下から離れる事は良い事です。
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《100分の1にまで激減した中国の対ミャンマー投資 住民を激怒させた“ズレ”》
中国の対ミャンマー直接投資が激減している。2013年度(13年4月~14年3月)は前年度の約7分の1となり、順位もトップから一気に8位に転落した。
11年から始まったミャンマーの民主化で、投資の面でも門戸開放が進み、東南アジア諸国連合(ASEAN)や日米などの対ミャンマー投資が急増しているが、中国はこうした変化に乗り遅れてしまったようだ。
ミャンマー国家計画経済開発省・投資企業管理局の発表によると、中国の対ミャンマー直接投資(認可ベース)は12年度には約4億ドル(約406億円)だったが、13年度はわずか5692万ドルに落ち込んだ。ピークだった10年度の82億ドルと比べると、100分の1以下である。投資額ランキングでは、中国に代わってシンガポールやマレーシアなどASEAN勢が台頭、日本や米国なども順位を上げている。
民主化が始まるまでは、中国の独壇場だった。とにかく閉鎖市場だったので、資源や原材料を中心に中国のやりたい放題がまかり通った。いまでもミャンマーと中国の政治的な関係が悪いわけではない。昨年秋には李克強首相がミャンマーを訪問し、テイン・セイン大統領とも会っている。軍事面での協力関係も続いており、近年の中国からの武器輸出はパキスタン、バングラデシュに次いで多い。
にもかかわらず直接投資が激減したのは、ミャンマーの変化に中国が追い付いていけなかったからだろう。
その象徴となったのが、北部カチン州のイラワジ川に建設予定だったミッソンダムに対する住民の反発である。中国が建設を主導したが、環境問題を引き起こすとして住民が騒ぎ出し、ミャンマー政府も11年秋に建設中止を発表した。中国側は諦めきれずに建設再開を働きかけているが、住民は断固反対の姿勢を貫いている。
いまミャンマーが望んでいる投資分野は、電信、紡績、飲料、靴製造、養殖など幅広い。これら業種は雇用吸収力もある。ASEANや日米などはこうした分野に積極的に進出を図っている。ところが中国は相変わらずエネルギーや原材料が中心で、しかも住民とのトラブルを引き起こしている。
中国の政府や企業が頭を切り替え、ミャンマーの変化に追い付いていこうと努力すれば、ある程度の回復は望めよう。だが長年守ってきたトップの座を取り戻すのはいまや、不可能に近いといえよう。
(フジサンケイビジネスアイ 元拓殖大学国際学部教授・藤村幸義)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140521/biz14052113300030-n1.htm