2014/04/13 7:19

嬉しいですね。敢然と戦えばこそ、味方に転じてもくれます。他国のいいなりに捕鯨をやめていたら、こうはなりません。

《シー・シェパード側から一転「捕鯨の歴史や正当性を伝えたい」 和歌山・太地に魅せられた豪ジャーナリスト》

 反捕鯨団体「シー・シェパード」のドキュメンタリー番組を撮影したオーストラリア人の映像ジャーナリストが、和歌山県太地町の捕鯨とその歴史に魅せられ、文化を世界に伝えようと活動している。母国や欧米で反捕鯨の世論が高まるなか、「江戸時代から連綿と続く太地の捕鯨の歴史を伝えれば、世界の認識は変わるはず」と訴えている。

 和歌山大学の特任助教、サイモン・ワーン氏(57)=和歌山市在住。オーストラリアの民間テレビ局のカメラマンを経て、フリーランスでタスマニアの環境問題などを伝えてきた。

 平成19~20年にかけて、アメリカの人気番組「ホエール・ウォーズ(鯨戦争)」の撮影に参加。南極海で、日本の調査捕鯨船を妨害するシー・シェパードを5週間取材した。

 取材の間にメンバーが捕鯨船に乗り込み拘束される事件が発生。引き渡されたメンバーに話を聞くと、捕鯨船の日本人船員は妨害工作をしかけたメンバーの話にも耳を傾け、環境問題などをテーマにした日本の人気アニメ映画「もののけ姫」のDVDを手渡すなど、対話の姿勢を見せたという。しかし、そうした情報は番組ではいっさい触れられなかった。

 番組は米テレビ界の最優秀作品に与えられるエミー賞にもノミネートされたが、「見せたいものだけを放送する」方針に疑問を抱き、撮影クルーを外れた。

 20年の秋、日本の捕鯨について詳しく知りたいと太地町を訪れた。複数の船で鯨を網に追い込み、銛(もり)を投げて仕留める古式捕鯨。江戸時代初期に生み出されたその歴史と、先祖代々受け継がれてきた技術とチームワークに感銘を受けた。

 「日本は欧米のように油だけを取って鯨を捨てるようなことはせず、すべての部位を使って無駄にしない」。しかし、歴史や背景を当の日本人が知らないことに驚いた。「太地の真実のストーリーを伝えなくては」。捕鯨の研究を進めながら、和歌山大観光学部で教壇に立つ。

 今年1月、米ソールズベリー大学の学生9人を太地町へ案内した。捕鯨の歴史や鯨を供養する文化を説明すると、学生たちは熱心に耳を傾けた。「自分の足でその地を訪れ、歴史や背景を知ることが事実を知ることにつながる」と話す。

 キャロライン・ケネディ駐日米大使がイルカの追い込み漁を批判するコメントを短文投稿サイト・ツイッターに出したのは、その数日後のこと。ワーン氏は「ケネディ氏も一度、太地を訪れてみてほしい」と訴える。

 「日本はこれからも捕鯨を続けるべきだ」。3月末、オーストラリアの訴えにより国際司法裁判所が南極海での日本の調査捕鯨停止を命じたことについては、悲観的にとらえていない。「日本の捕鯨の正当性を世界に伝える絶好の機会ではないか」と話す。

 「必要なのは欧米の批判を気にせず、捕鯨の真実を伝えること。太地は自信をもって立ち向かえばいい」。真剣なまなざしでそう語った。