2014/03/30 3:16

《【ウクライナ情勢】落とし所探り駆け引き 首脳会談で露大統領 沿ドニエストル併合に言及》

軍事オプションを明確に示唆する国(ロシア)と、無い事を宣言した国(米国)との外交は、ここまで一方的なものになるのかと、将来、繰り返し例示される事になるでしょう。日本が将来どう扱われるかも、良く分かります。

以下、記事。

 ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の併合後、初めて米露首脳が電話会談し、プーチン露大統領がウクライナ問題で落とし所を探り始めた。プーチン政権は、同国で5月25日に予定される大統領選に先がけ、ロシアの影響力を行使できる政体をウクライナに創出することを主眼としている。モルドバの親露分離派地域・沿ドニエストルを併合する可能性もちらつかせ、激しい駆け引きに出る見通しだ。

 プーチン氏がオバマ米大統領との直接対話に動いたのは、クリミア併合の既成事実化を急速に進めた今、もはや米欧がクリミアの扱いをめぐって要求を突きつけるのは難しいと踏んでいるためだ。その上で、ウクライナの政体をめぐる議論を米欧との間で始める時期だと判断したもようだ。

 国営テレビ「ロシア24」によれば、チュルキン国連大使は29日、ウクライナで憲法会議を招集し、その作業結果を住民投票に付すべきだとの考えを明らかにした。「その後は新たな状況、新たな憲法ができ、全ての地方が安全だと感じるようになる」とチュルキン氏は発言。親露住民の多い東部と親欧米的な西部を軸にした連邦制の導入を念頭に置いているとみられる。

 ロシアはウクライナとの国境付近に数万人規模の部隊を集結させ、同国東部にいつでも侵攻できる態勢をとっている。同国西部に隣接するモルドバ・沿ドニエストル地域の併合に動くこともありうると示唆し、米欧がロシアの主張を飲むよう圧力をかけている形だ。

 プーチン政権は、ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)加盟国との間の「緩衝地帯」としておくことに国益を見いだしている。ウクライナ東部に広範な自治権がある親露政権を樹立することや、ウクライナがNATOに加盟しないとの確約を得ることがロシアの狙いだと考えられる。

 ロシアは、米欧とサウジアラビアなどが連携し、国際石油価格を急落させる“対露制裁”を最も恐れている。今後は、ウクライナの政体を大国間で取り決めるロシアの手法を米国が受け入れるかが焦点だ。