《台湾・行政院占拠 主導者は大学院生 学生運動を組織化》
林飛帆氏(25)。なるほど、今回の学生運動を指揮している人は、こういう人でしたか。
以下、記事。
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台湾の立法院(国会に相当)占拠は、行政院(内閣)敷地内への学生らの乱入と警察による強制排除という近年でもまれに見る激しい対立に発展した。史上初とされる一般市民による議場占拠を指揮しているのが、各大学の運動を統合する組織だ。その「総指揮」と呼ばれる学生は、馬英九政権下で進む対中接近に反発し、学生運動の組織化と街頭での直接行動を指揮してきた。
この学生は、台湾大の政治学系大学院修士課程に所属する林飛帆氏(25)。林氏は野党の勢力が強い南部の台南市出身で、地元の大学を卒業後、同大学院に進学した。林氏は23日、台湾各地の大学に授業のボイコットを呼びかけ、24日には一部で呼応する動きが出始めた。
台湾メディアによると、林氏が政治運動に関わる契機となったのは、2008年11月、中国の対台湾窓口機関トップの初訪台。馬政権は台湾の旗の掲揚を認めないなど中国への配慮を示し、抗議活動を強制排除。林氏はこれに腹を立て学生運動に身を投じた。
約1カ月後、馬総統の謝罪などの目標を達成できずに運動が解散した際、学生組織間の連携の悪さが原因と分析。自ら学生団体を立ち上げ、他校との連携を進めた。
12年には、中国に深い利害を持ち、尖閣諸島(沖縄県石垣市)への抗議漁船に燃料代を寄付したことでも知られる企業グループ「旺旺」による大手ケーブルテレビ買収に反発。「反メディア独占」を掲げて9月に行われた大規模デモでは、学生団体を指揮した。旺旺は同テレビに加え、大手紙の買収にも失敗した。
林氏は18日夜からの立法院占拠では、「サービス貿易協定」について「条項ごとの審議」から「馬総統との直接対話」「協定撤回」などと徐々に要求をつり上げてきた。ただ、過激な行動には一貫して否定的な姿勢を示しており、これに不満を持つ学生らが23日夜、行政院への乱入に踏み切ったとされる。
行政院の江宜樺院長(首相)は強制排除後の記者会見で、「抗議活動はすでに変質し、制御できなくなっている」と学生側を非難。与党、中国国民党寄りのテレビ局、TVBSは「学生運動がタカ派とハト派に分裂」と報じており、ハト派とされる林氏の指導力がいつまで続くかは不透明な側面もある。