2014/03/20 22:53

《【集団的自衛権 第1部 欠陥法制(3)】
尖閣侵入でも…何もできないグレーゾーン 六法片手の作戦立案》

1機が撃墜されても、別の機が撃墜の瞬間を視認した場合にしか反撃できない。
中国漁船から中国人が尖閣に上陸し、中国公船が漁民保護の名目で拠点を構築し、実効支配を宣言しても、警察権しか行使できない自衛隊は武器使用ができない。
外国潜水艦が日本領海に侵入し潜没航行を継続しても強制排除できない。

この様な、国の安全が現実的に脅かされている今の状態を改善する為の「安全保障の法的基盤の再構築」に反対している政党、学者、メディア、活動家達が守ろうとしているものは、絶対に国民の命と安全ではありません。

以下、記事。

 《航空自衛隊那覇基地を緊急発進(スクランブル)で飛び立った2機のF15戦闘機は、中国のレーダーに映らないよう東シナ海の海面をなめるように超低空で飛行。中国機の真下に入ると急上昇し、追い払う》

 一昨年9月の尖閣諸島(沖縄県石垣市)国有化以降、中国軍機が尖閣周辺などで日本領空に接近する飛行が急増する中、空自が編み出した撃退法だ。効果的だが、領空侵犯の恐れが強い時しか使わない。強い威圧で刺激すれば攻撃されかねず、空自は武器使用に不安も抱えているためだ。

 仮に中国軍機に空自の1機が撃墜されても、別の1機の空自パイロットは撃墜される瞬間を視認した場合にしか反撃できない。刑法の正当防衛の要件である「急迫不正の侵害」はすでに終わっていると認定されるためで、「自衛権」ではなく「警察権」に基づく対抗措置は軍事的合理性が度外視されてしまう。

 スクランブル時の戦闘機撃墜は「有事」「平時」に色分けできない「グレーゾーン」だ。安倍晋三首相は18日の衆院本会議で、グレーゾーン事態への対処を念頭に、「個別的自衛権の課題は(政府の)安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)の報告を踏まえ対応を検討する」と述べ、安保法制懇で集団的自衛権だけでなく個別的自衛権についても議論していることを強調した。

■尖閣防衛で露呈

「海」のグレーゾーンも明日にも起きかねない。中国による尖閣奪取だ。

 現行法制では、本格的な武力侵攻を受けた場合の自衛権行使を除けば、自衛隊の行動は大きく制約されている。どの段階でどう行動するかも極めて曖昧で、六法全書を片手に作戦を強いられるような法的欠陥を抱えており、その欠陥は尖閣奪取シナリオで露呈する。

 シナリオは3つの局面に大別される。

 (1)中国漁船が尖閣周辺海域に大挙して押し寄せ、日本領海に侵入。海上保安庁巡視船は攻撃を受け、一部の漁船が尖閣に接岸し中国人が不法上陸-。

 この局面は海保が前面に出る。漁船を強制的に停止させる権限を持つが、漁船が量で圧倒する事態は海保だけでは対処しきれない。

 だが、近くに海上自衛隊の艦艇がいても、海上警備行動が発令されない限り動けない。海保巡視船が攻撃されても、海自艦艇は海保巡視船を管理下に置いていないため、正当防衛も適用しにくい。

 (2)上陸した中国人グループは武器をちらつかせ、中国人民解放軍の特殊部隊であることを示唆-。

 自衛隊に本格的な武力行使が可能な「防衛出動」を首相が命じることができるのは、「組織的かつ計画的な武力攻撃」を認定できるケースだけだ。外国勢力による尖閣不法上陸は、組織的かつ計画的な武力攻撃とは認定しづらい。

 防衛出動ではなく「治安出動」「海上警備行動」で陸上・海上自衛隊を展開させることはできる。ただしそれらは警察権行使にあたり、外国勢力を制圧する武器使用は許されない。

 海自の作戦中枢である自衛艦隊司令官を務めた元海将の香田洋二氏は「海保と警察が対処できない事態にまでエスカレートしているのであれば、同じ警察権しか行使できない状態で自衛隊が出動しても事態を打開できない」と語る。

 有効に対処できないまま最終局面を迎える。

 (3)中国公船が漁民保護の名目で尖閣に向かい、拠点を構築し、中国国営メディアは実効支配を宣言-。

 悲観的なシナリオを踏まえ、海自幹部は「法的な隙間を埋め、自衛隊を早い段階から投入し、効果的に運用できるようにする『領域警備法』を制定すべきだ」と訴える。法的な隙間を埋めることは自衛隊と海保、警察の3者の対応の隙間を埋めることにもつながる。

■強制排除できず

 安倍首相はグレーゾーンの一例として「潜没航行をする外国潜水艦が日本領海に侵入し徘徊(はいかい)を継続する場合」も挙げた。昨年5月、中国軍は3度、潜水艦を潜没させたまま日本の接続水域内を航行させている。

 接続水域は領海の外側にあり、潜没航行は国際法違反には当たらないが、中国には接続水域への侵入を常態化させる狙いがあったとみられる。尖閣奪取シナリオでは潜水艦で特殊部隊を送り込むことも想定され、危険な兆候だが、ここでも法制の不備が横たわる。

 潜没潜水艦が領海に侵入しても、海自はソナーで潜水艦の位置を捕捉し続けるだけで、海上警備行動が発令されたとしても任務は退去要求が加わる程度だ。長時間にわたり航行されても「武力攻撃」とは認められず、強制排除はできない。

 海自幹部は「他の国だったら、主権を侵害されれば個別的自衛権で強制排除する。それは国際法上、何の問題もないが、日本は自衛権行使に厳しい制約を課しすぎている」と指摘する。

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