2014/02/21 17:42

《歴史的大雪で山崎製パンが得たもの、テレビ局が失ったもの》

観測史上最大の大雪で露わになった、テレビ局の硬直性とソーシャルメディアの報道的価値と商業的価値の有用性について、鋭く分析しています。

以下、記事抜粋。

2月に入り、大雪が関東を襲った。一度目は、2月8日。二度目は2月14日。一度目は約半世紀ぶりの大雪だったが、二度目は観測史上最大の大雪となった。1週間経過した今も、山梨県、秩父、佐久、軽井沢などでは、家から出ることが出来なかったり、車が立ち往生していたり、通行止めになっている道路もまだまだ多くある。

2月14日の歴史的大雪については、人命にも関わる大変な状況にも関わらず、緊急報道番組が組まれるどころか、通常のニュースにおいても山梨県を始めとしたこれらの地域の情報がなかなか報道されなかった。また政府や行政の動きや対策についても、なかなか状況が明らかにならなかった。非常事態であった今回の大雪にも関わらず、このような状況になってしまった理由には、ご存知の通りソチ五輪開催がリンクしている。

テレビで放映されない大雪に関する情報は、主にソーシャルメディアを通じて得られるようになった。Twitterなどでは生命の危機を感じている人達の声がどんどん上がった。雪の状況を市民から吸い上げ、行政が発信・対応するケースも見られた。そしてソーシャルメディアでのニュースが大きくなっていくと、人々は五輪を見ている場合ではないほど甚大な被害を受けている地域があることに気づき始めた。

テレビ局が歴史的大雪によって失ったものの一つは、報道機関としてのポジションだ。情報自体もなく、発信するスピードも遅い。このような非常事態にこそ、必要な報道機関としての役目をテレビ局は自ら放棄したのだ。

報道機関としての役割だけでなく、広告としての価値も失った。2月8日から2月20日に至るまで、企業価値を著しく上げたのは五輪のスポンサーをしている企業ではない。企業価値を上げたのは、歴史的大雪に際して、素晴らしい対応をした企業だ。

例えば、甲府市で立ち往生した車の列にいた山崎製パンのトラックドライバーは、その荷台にあったパンを、周りの困っている人達やサービスエリアの人達に振る舞った。この対応は発生から24時間で19,000ツイートを超え、賞讃の声が相次いだ。その後、Twitterでの状況を見た読売新聞などのメディアが、この事例を取り上げるようになった。

もう一つ、事例を紹介したい。スズキジムニーだ。
スズキジムニーが立ち往生したトラックを牽引するビデオがYouTubeなどに複数アップされた。小さな車体が大きな車体を引っ張るシーンは合計100万回以上再生され、結果として通常の広告やPRでは得られないほどのPR効果になった。

当然、これはジムニーのPRや広告のためにアップされたものではなく、立ち往生したトラックを助けるためにアップされたものだ。だからこそ賞讃され、情報は拡散されていった。

2月8日からの2週間あまりで、テレビはその報道的価値を大きく低下させた。それだけでなく広告的価値も大きく低下させた。広告的価値で言えば、視聴率が何パーセントとか、ソーシャルメディアでの拡散数が何百万という数字が取り沙汰されるが、一番重要なのは情報の質だ。

大雪による被害が明らかになるにつれ、人々の中にはテレビでオンエアされている内容で良いのかという猜疑心を持つ人も増えて来た。

その意味で、この2週間によって、テレビ局はその存在意義を大きく低下させてしまった。もちろん、だからと言って視聴率が急落するわけではない。ただモノ言わぬ日本人の心の中に、テレビ局に対する失望感がジワジワと広がったのは確かだ。

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