《【ウクライナ情勢】疑念の会見、プーチン大統領「武力行使の可能性消えた」 米大統領「誰もだまされぬ」》
流血無くクリミアを制圧したロシア。今の段階で、プーチン大統領がクリミアの併合を「検討していない」と述べた事は大きな意味を持ちます。しかし、遅くとも今月30日までに実施予定の住民投票でロシアへの編入を求める意見が多数を占めた場合、改めて編入が選択肢に入ってくる事になります。
以下、記事抜粋。
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ロシアによるウクライナ南部クリミア自治共和国への介入は、プーチン露大統領が4日に「武力行使の可能性は消えた」と述べ、ロシア軍とウクライナ軍が大規模な戦闘に突入する事態が遠のいた。だが、プーチン氏の発言には、ロシアがすでにクリミア半島の実効支配を固めた現実を覆い隠す側面が強く、国際社会との激しい駆け引きは必至だ。
プーチン氏は4日の記者会見で「クリミアの緊張状態はなくなった」とし、本格的な軍事介入に踏み切らない考えを示した。クリミアを併合することも「検討していない」と述べた。欧米諸国でロシアに制裁を科す動きが広がったのを受け、プーチン政権は自国経済への打撃などを考慮して着地点を探り始めた形だ。
しかし、プーチン氏の発言は、目的だったクリミア半島の実質的掌握が達成されたとの判断に基づくものでもある。オバマ米大統領は4日、ロシアの行動が「国際法違反だ」と強調し、「プーチン氏の法律専門家たちは違う見解のようだが、誰もだまされることはない」と述べた。
自治共和国の中心都市シンフェロポリでは2月27日以降、議会と政府庁舎、空港が武装集団に占拠され、各地では所属不明の部隊がウクライナ軍施設を包囲して次々と支配下に入れている。プーチン氏は、各地の部隊が「地元の自衛勢力だ」と発言。あたかもロシア軍は投入されていないかのように述べ、これらの撤収には言及しなかった。
だが、自治共和国の議会を占拠しているのがロシア軍であることは2日、コンスタンチノフ議長が記者会見で実質的に認めた。ウクライナのメディアでも、同国軍と対(たい)峙(じ)する部隊の兵士がロシア軍の所属だと語るもようが報じられている。
これらが事実だとすれば、クリミアでは(1)露部隊が2月27日に議会などを占拠(2)露部隊支配下の議会でロシア系議員が新首相を選出(3)新首相がロシアへの治安維持を要請(4)ロシア軍が各地に展開し、重要施設を掌握-との時系列で事態が進んだことになる。
プーチン氏は政変でウクライナ大統領の座を追われ、ロシアで保護するヤヌコビッチ氏が「正統な大統領だ」と主張。同氏に派兵を要請されたことも介入正当化の論拠にする構えだ。
親露派地域を直接併合せずに実効支配する方法は、2008年のグルジア紛争後、ロシアが独立を承認したグルジアの南オセチア自治州とアブハジア自治共和国でも用いられた。
(関連)
《プーチン大統領、軍事介入せず クリミア併合も否定》
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140304/erp14030421270014-n1.htm