かつて我が国も、バラマキ公共事業で巨大な借金を積み上げ、規律ある財政運営が課題となっていますが、中国の場合、地方政府の巨大なインフラ投資の資金調達源が償還期日の短い「理財商品」であり、破綻の恐れが非常に危惧されます。以下、記事抜粋。
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《中国経済の切り札「空港乱開発」 利便性無視&赤字経営が続出中》
空港開発ラッシュがピークを迎えている。民用航空総局によると、’12年に183か所だった空港は、’15年までに220を超える見込みだという。年内には北京新空港の着工も開始し、完成すれば年間乗降客数1億3000万人という世界最大のハブ空港となる予定だ。一方チベットでも、世界一標高の高い空港の建設計画も進んでおり、上海の浦東国際空港でも年内に第4滑走路が完成するなど、新空港・既存空港の拡張が進む。
しかし、利便性を度外視した「乱開発」とも言える事例も。
「昨年末、深セン空港のターミナルが新設されたんですが、旧ターミナルからは数キロも離れていて、事実上、全く別の空港。閉鎖されることとなった旧ターミナルには、昨年やっと地下鉄が乗り入れたんですが、それも無駄になってしまった。噂によると、空港開発と地下鉄開発を所管するそれぞれの部門のトップが権力闘争を繰り広げて、こうなったらしい(苦笑)」
空港乱開発の一方で、空港経営の赤字問題も。民用航空総局によれば、黒字経営できているのは北京、上海、広州、深センなど大都市の空港のみ。全国の空港の約7割は赤字で、その総額は年間約250億円にものぼるという。
新ターミナルが完成したばかりの湖南省・長沙空港もそのひとつ。
「2年前に高速鉄道で北京まで直通で行けるようになってから、長沙空港が廃れた。今ではタクシーも行きたがらないので、街からは相場の1・5倍の料金を払って白タクを捕まえるしかない。滑走路も老朽化が激しく、ひび割れがひどく、ビクビクですよ」
こうしたなか、赤字空港や空港を管轄する地方政府は損失補填に躍起だ。『中国新聞社』によると、省内9つの空港のうち7つが赤字という江蘇省では、昨年、地元政府が行政部門に文書で「チャーター機を利用し、海外への出張・視察をせよ」と指示したという。
しかし、多くが赤字に苦しむなか、なぜ新たな空港が次々に建設されるのか。
「地方発展という大義のもとでの空港建設は、カネ集めのための公共事業としては最後の切り札。号令さえかければデベロッパーがカネを持って寄ってくるわけですから。経済が鈍化し地方財政が逼迫するなか、採算度外視でも自転車操業的に造り続けるしかない」