プーチン大統領、ウクライナ派兵承認の取消しを上院に要請。義勇兵派遣等の手段は残っていますが、ロシアがウクライナ東部を要求しないという、プーチン氏の明確な意思表示でしょう。
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《【ウクライナ情勢】露大統領が「派兵取り消し」 融和路線へ舵、欧米との関係改善図る?》
ロシアのプーチン大統領は24日、露軍をウクライナに派遣することを認めた露上院の決定を取り消すよう要請した。上院は25日に決定を撤回する方針。これにより、露大統領の国外派兵を可能にする法的根拠が失われる。ウクライナ東部の親露派勢力も23日、ウクライナのポロシェンコ大統領の停戦提案を受け入れると表明。ロシア軍によるウクライナ侵攻の公算が当面は小さくなり、東部情勢は緊張緩和に向かう兆しが出てきた。
プーチン氏は24日、上院議長に書簡を提出し、クリミア問題が緊迫化した3月に上院がロシア系住民保護を理由に派兵を認めた決定を取り消すよう求めた。大統領報道官は、要請は「ウクライナ東部情勢を正常化させるため」としている。
プーチン氏は同日、外遊先のウィーンで、「(ウクライナ政府が発表した)7日間の停戦では不十分だ」と述べ、停戦期間を延長し、ウクライナ政府と親露派勢力が実質的対話に入るよう促した。取り消しを求めた理由については、ポロシェンコ氏が「和平プロセスに向け重要な一歩を踏み出したからだ」と述べた。
ポロシェンコ氏はこの直後に声明を発表し、自らが打ち出した和平計画にプーチン氏が応じる「最初の実務的な一歩だ」として歓迎を表明した。両者は今月6日にフランスで初会談し、その後も協議を重ねて露軍のウクライナ派兵撤回などで合意したとみられる。
プーチン政権がウクライナへの融和路線に転じる構えを示した背景には、追加制裁の姿勢を崩さない欧米諸国との関係改善を図る狙いもあるとみられる。
ロシアでは昨年来、国民のプーチン人気の原動力となってきた経済成長に陰りが見え、今年はウクライナ危機のあおりを受けてマイナス成長に転じる恐れを指摘する声も出ている。ポロシェンコ政権の背後にいる欧米諸国との対立を和らげることは、自国経済を悪化させる不安定要素の解消にもつながる。
これに先立ち、ポロシェンコ氏は23日、親露派勢力の拠点であるドネツク州庁舎で円卓会議を開いた。欧州安保協力機構(OSCE)代表とウクライナ駐露大使を仲介役とし、ポロシェンコ氏の要請を受けたクチマ元大統領や親露派勢力幹部が一堂に会し、27日までの戦闘停止で合意した。
ロシアの外交評論家のルキヤノフ氏は、この会議で「ウクライナ政府が親露派勢力の政治的正当性を間接的に認めたことになる」と指摘、政府側が親露派に譲歩する姿勢を示したとの見方を明らかにした。
両国では、今回の動きは緊迫化する一方だった東部情勢が正常化に向かう契機になると評価されている。
しかし、西側外交筋は「プーチン政権はクリミアや東部地域を、自らの影響力を及ぼす『てこ』と考えており、簡単には手放さない」と語る。実際、ドネツクの円卓会議にはプーチン氏と関係が深いウクライナの政治勢力代表が出席しており、専門家は「今後の交渉はロシア側に有利に進む」と指摘している。
ロシアは軍事派遣の選択肢を放棄したとしても、露側からウクライナに「義勇兵」や兵器を流入させれば、ウクライナ東部に圧力を加え続けることができる。ロシアは常に「介入カード」を懐に用意している状態といえ、緊張緩和は一筋縄では進みそうにない。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140625/erp14062508410004-n1.htm