日産が14年前に自動運転技術を開発、当時のシーマに搭載すると国交省が激怒。以後、認可せず。自動ブレーキも門前払い。日本の自動運転技術は進化が止まった。今般、経産省は、国交省が禁じてきた自動運転の世界基準を突如日本で作りたいと。しかし既に世界からは遅れ。またです。
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《日本車の自動運転技術がベンツに追いつけない理由》
日本人は「日本の技術が世界一だ」と思い込みがちだ。自動運転も日本の得意分野だと考えているかもしれない。結論から言えば、数年前に並ばれ、今やトップランナー達の背中がドンドン小さくなってしまっている感じ。理由は簡単。がんじがらめの規制を受けているからです。
現在世界TOPの技術を持っているベンツのシステムを紹介したい。まず車両の前方は、物体を感知するレーダーと、人間の目と同じ距離や形状を感知出来る2つのカメラ(ステレオカメラ)で常時チェック。衝突が避けられないと判断された場合、急ブレーキで自動停止させる。
さらに対向車とスレ違いする際、ギリギリで接触するような可能性出てくれば、車載コンピューターが判断。わずかに車両の向きを変え、ギリギリで避けてくれます。もちろん歩行者も認識するため、衝突する状況になったら自動ブレーキで対応。前方の安全性確保は万全となった。
さらに後方や側方もレーダーで常時監視しており、車線変更で接触する可能出てくれば警告。警告に気づかずハンドルを切ってしまっても、車両側で車線変更を拒否してくれる(具体的に書くとハンドル操作を阻害する)。後ろに壁のある場所でバックしようとしても、動かない等々。
この機能を使い、車速30km/h以下の渋滞路では、ボタン操作1つでアクセルとブレーキ、そしてハンドルも操作してくれ、先行車の後を追従してくれる。ドライバーはクルマを監視していれば良い。現在30km/hの速度を徐々に上げていけば、技術の進歩と共に自動運転になっていく。
日本最先端のシステムを搭載してるのはスカイラインである。ただ残念ながらベンツより全てのセンサー性能が劣っているため、後出しにも関わらず性能で届いていない。加えてハンドル操作しない状態での走行も出来ないまま。物理的には可能なのだけれど国交省が認可していないのだ。
日産は14年前に「ハンドルを操作しないで走れるクルーズコントロール」を開発し、当時のシーマに搭載。すると国交省が激怒。以後、二度と手放しで走れる技術を認可していない。自動ブレーキもこの時に登場したがこちらは門前払い。この時点で日本の自動運転技術は凍結され、進化が止まってしまった。
自動運転は細かい制御の進化によって可能になる。ベンツのように低い速度域から経験を重ねていくことにより、ノウハウを得られます。なのに日本の経産省は国交省が長いこと禁じてきた自動運転の世界基準を突如日本で作りたいと言い始めたのだった。同じ国の中ですら意見がまとまっていないのに世界基準を作ろうとしているワケ。
もう1つ。自動運転にはビッグデータが必要だ。人間だって初めて走る道と、毎日走る道じゃ運転の容易さが全く違う。コンピューターも同じ。グーグルは世界中の道路の情報を集めている(ストリートビューは動画のデータになっている)。こういったベースを持たない日本式は、もはやガラパゴス状態。
というか、そんな勇ましい状況にゃほど遠い。国際基準作りどころで無く、今すぐにでも自動運転技術の進化を阻害している規制を止めない限り(例えば低速走行時であっても手放し運転を認めない、といった内容。すでにヨーロッパは認めている)、ドンドン遅れていってしまうだろう。
http://allabout.co.jp/newsdig/w/67243