パプアニューギニア建国の父、ソマレ初代首相が安倍総理に語った「柴田学校」。ニューギニアに日本軍が進出し、ソマレ首相の村に進駐した中隊の柴田隊長が、文字も知らず、本も読めず、勉強の概念も知らなかった自分達に、柴田学校をつくり教えてくれた。感謝していると。
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《平成26年7月19日 長州「正論」懇話会講演会 安倍総理大臣講演より
パプアニューギニア訪問に触れて》
先週、パプアニューギニアを訪問しました。先の大戦の激戦地・ウエワクを訪問しました。空港では建国の父である、「ソマレさん」が出迎えました。建国の父である初代総理大臣です。この人はお札にもなった。総理の職を退いて、今は州知事を務めている。
ソマレさんが私にこういった。自分が初めて学校に出会ったのは柴田学校だった。ソマレさんは70年前の柴田中尉とのふれあいを熱く語ってくれました。ソマレ首相は大の親日家。日本が大好きなんです。私が行った日、州において休日に指定しました。町中の人が歓迎してくれました。なぜ彼はそんなに日本のことが好きなのか。柴田学校だからだ。
ソマレ首相の村に、進駐した中隊の隊長が柴田さんでした。それまで学校は全くなかった。文字も知らず、本も読めず、勉強の概念も知らなかった。柴田中尉がそのことを知って、柴田学校を作って、子供たちをみんな集めて読み書きを教えた。読み書きができれば人生がどうなるか、本が読めればあなたにとってどのような意味があるか、勉強するとはなにか。丁寧にソマレ首相に教えたんです。日本が去った後、残念ながら学校はなくなってしまったというが、自分が今あるのは柴田さんのおかげだと話してくれたわけです。
建国の父がこの日本観、日本人観をもっているので、パプアニューギニアまるごと日本ファンになっていると思っても良いと思います。
あそこでLNGがでました。先月、日本に第一便が届いた。LNGを供給する先は日本だとの思いで供給してくれています。本当に沿道に驚くほど、人が溢れていた。手書きで「ウェルカム」といっています。行った一行全員が感動して涙が出てくる。
そして、ニューギニアは12万人以上が日本軍が命を落とした土地であります。ニューギニア戦没者碑の前では1万人を超える人が集まってくれた。この碑の管理もニューギニアの人が自分たちでやってくれている。草を刈ってきれいにしてくれる。温かい思いに私たちは、応えていかねばならない。
そして、私は彼の地で戦没者に哀悼の意と尊崇の念を捧げ、御霊安らかなれと、手を合わせた所でした。蒸し暑いジャングルで家族の幸せを願い、祖国を思いながらお亡くなりになられた、12万人を超える尊い犠牲の上に今日の日本がある。そう胸に刻んだところであります。二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。その決意を新たにしました。
平和国家としての歩みはこれからも変わることはない。その歩みをさらに力強いものにする、その決断が、今回の閣議決定です。日本の平和が脅かされると批判する人がいる。では、何もしなければ日本の平和が保たれるのか。その保障はどこにもありません。平和国家ということを口で唱えるだけでは、平和が実現するわけではありません。私たちの平和は他の人から与えられるものではありません。私たち自身で築き上げていくほかありません。
「書は古なり。幸せは今なり」今と古と同じからず。幸せと書はなんぞよく一時あえせん」、松陰先生は弟子たちにこう説いた。行動を起こすのは現実に対応するものである以上、昔のことを書いてある書物に書いてある通りにやってはダメだという戒めです。世界が大きく変化する時代に、昨日までの常識が明日も正しいという保証はどこにもありません。現実から目を背けることなく、日本の平和を守り抜くためにその努力をこれからも怠ってはなりません。
(以下略)
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201407/19seiron.html